大学の頃に読んでいる。あまりにも有名な小説ですね。古井由吉の「杏子」に似てますね。トーマス・マンの『魔の山』も意識してるのかな。
私とキズキ君は本当にとくべつな関係だったのよ。私たち3つの頃から一緒に遊んでたのよ。私たちいつも一緒にいていろんな話をして、お互いを理解しあって、そんな風に育ったの。はじめてキスしたのは小学校六年のとき、素敵だったわ。私がはじめて生理になったとき彼のところに行ってわんわん泣いたのよ。私たちとにかくそういう関係だったの。だからあの人が死んじゃったあとでは、いったいどういう風に人と接すればいいのか私にはわからなくなっちゃったの。人を愛するというのがいったいどういうことなのかというのも。(村上春樹『ノルウェイの森』)
私たちは普通の男女の関係とはずいぶん違ってたのよ。何かどこかの部分で肉体がくっつきあっているような、そんな関係だったの。あるとき遠くに離れていても特殊な引力によってまたもとに戻ってくっついてしまうようなね。だから私とキズキ君が恋人のような関係になったのはごく自然なことだったの。考慮とか選択の余地のないことだったの。(中略)とにかく私たちはそんな具合に成長してきたのよ、二人一組で手をとりあって。普通の成長期の子供たちが経験するような性の重圧とかエゴの膨張の苦しみみたいなものを殆んど経験することなくね。(村上春樹『ノルウェイの森』)
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