リチャード・マシスン『ある日どこかで』

何年か前に読んだ。オカルトちっくだけれど、LOVE・STORY です。変わった LOVE・STORY が読みたかったら、気軽に読んでみたらどうでしょうか。

リチャード、わたしはいままで男性とロマンティックな関係になったことがありません。信じてもらえるなら、何度でも書きます。いままでおつきあいした男性はいないの。嬉しいことに、そう、とても嬉しいことに、いままでぜんぜん信じていなかった----子供のような夢は描いていましたが----男性が、わたしをあんな心持にさせてくれるなんて。そうなの、ミスター・コリア、わたしは、自分の行き方が間違っていたと気づいたの。わたしのように、人生のなかで複数の男性から求愛されてきた女性は、幸福な女になるか、それとも不幸のどん底に落ちるかのどちらかしかありません。わたしは一度に、両方を体験しました。あなたが愛してくれ、わたしもあなたに対し、絶え間ない幸福感を味わいました。(リチャード・マシスンある日どこかで』)
髪を梳き終わったばかりのとき、不意にわたしは「あなたを愛しています、リチャード!」と思い、激しい恍惚の衝撃に心臓が高鳴るのをおぼえ、この気持ちを静めるには手紙を書くしかないと考えました。そうしないと、あなたをゆり起こして、愛する気持ちを伝えたい衝動に負けてしまうから。どんなことがあろうとも、安らかな眠りをかき乱すわけにはいかないので、手紙を書いています。愛しています、わたしのリチャード。(中略)わたしたちは、たがいに相手のために生まれてきたのね、ほかは関係ないわ。それが真実だとわかっています。今夜、愛情というものがなんなのかをはっきりと知りました(いまなら、ジュリエット役を完璧にこなしてみせます!)。愛はすべての心の鍵。あなたの愛は、わたしの心を永遠に解き放ってくださいました。わたしにとって、この世界はあなたとともに始まり、あなたとともに終わる。もうこのへんにしておきます。愛しいあなた、おやすみなさい。たぶん今ごろ、わたしを夢に見ているのでしょうね。そうだといいな。心と魂をつくして、あなたを愛しています。ああ、夢のなかまでご一緒できればいいのに!(リチャード・マシスンある日どこかで』)

ある日どこかで (創元推理文庫)

ある日どこかで (創元推理文庫)