「エヴァンゲリオン」

エヴァでは、昔、子供たちが見てきた、ロボットアニメの意匠がさかんに喚起される(実際に、主人公は人型ロボットに乗り込み、敵と戦う)。そう考えると、学校生活と、昔のロボットアニメが、アニメの中でシンクロすることは、自然な流れとなるだろう。こういった後発の作品としては、そんなに不自然ではないと思うが。
綾波レイとはなんなのか、についても、語り尽された感がある。たとえば、彼女は、学校の中で、孤立している(と描かれる)。しかし、学校というところは、そもそもそういうところではない。学校にいる生徒はどこでも、その立場に合わせた作法を習い、演じるのであって、それは、イジメで悩むこととすら矛盾しない(学校は、皆徴兵制を目指して導入された場所なのであり、最終的に、国のために命を捨ててくれる存在になってくれれば、なんでもいいという構造をもっている。逆に言うと、そもそも、孤立するような、この命題を否定する人は理由はなんであれ、学校に来なくなる)。また、彼女の部屋がうつる場面があるが、見事なまでになにもない(もちろん、こんな子供は日本中どこを探したっていない)。もっと言えば、彼女は、主人公のように苦悩しない(なぜ戦うかに悩まない)。こういう感じで、彼女は、異常な形で描かれる(そして、その異常さは、物語の後半で、試験管で作られた存在であることで示唆される)。もちろん、そのことは、この主人公の妄想が生み出した、彼の世界の幻想なのだと考えれば、自然なことなのだろうが...。主人公は、自分を徹底的に避ける父親が、彼女とは親しく会話している姿を見ることで、混乱する。父親と親しく話すとは、母親を表象する。もちろん、母親のわけがないのだが(物語の後半では、母親との関係も示唆される)、論理的に、その感情は、自分の恋愛対象と区別できなくなる。例えば、母親とは、さまざまに自分がコミュニケーションをとることをお互いが「義務」付けられた存在なのだから、いろいろ主人公がアプローチしていくことが自然になる。恋愛とはいつも一方的なもので、お互いが一方的な幻想を抱き続けている場合だけが長続きしうるという話もありますね。幻想の中の偶像と考えれば、上記の異常さは、幻想の中では逆に、要求されていることでもあるでしょう。また、そういった関係は、彼女だけに限らない。この主人公の世界において、ミサト、アスカ、など、主人公のまわりに現れる女性は、どこかしら恋愛的な関係や振舞いを連想させる行動をする。それぞれ、違った部分を補完しているのでしょう。
この作品では、使徒と呼ばれる謎の存在と人類の未来をかけて闘っているということになっている。そして、主人公のまわりに現れる人々は、たえず彼に戦うことを求める。しかしね。彼の戦っている相手の使徒と、彼のまわりでサポートする人たちは、主人公を戦いへ導いていくという点では同じ存在でしょう。よく分からないけど、戦っていること、戦いから逃れられないことが問題なんですね。作品の終盤は、謎の存在とされている使徒が、主人公の、その一個人の心理、成長と、密接に関わっていることが暗示され、その意味が解明されることを目指してストーリーが進む形になっている。

NEON GENESIS EVANGELION DVD-BOX ’07 EDITION

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