宮台真司「徹底ドキュメント/「地方テレクラの時代」 青森編」

宮台真司については、いろいろ多方面の活動があり、いろいろ言えると思うが、この短かいエッセイについて書こうと思った。
彼は、けっこう昔であるが、こういった形で、テレクラなど、若い女性の、性の、フィールドワークをしていて、そういった結果を、いろいろ本にしている。自由主義と平行した問題として語ったこともあったりなどして、上野千鶴子も同調して、性の問題を、赤川啓介と対談したりしていた(彼女の場合は、フェミニズムの関係からも、海外の、ウーマン・リヴの性革命の流れを意識したものもあるのだろう)。
このエッセイは、その青森で、ある「売り」をする少女の話を聞くところで終る。

青森に来てからアルバイトをいろいろしているが、先々で男たちからチョッカイを出される。「ノーをいうのが苦手だから」男たちから車で送ってやるとか、ウチでお茶していこうとか誘われても、うまく断れない。でも、そのたびに車の中でフェラを強要されたり、男の家でエッチを強要されたり輪姦(まわ)されてきた。周りの子たちに相談するけれども取り合ってもらえない。エッチ恐怖症になった彼女はイトコに相談すると、「エッチに慣れてないからだよ」と売春を勧められる(!)。

彼の論調としては、こちらに来た彼女の前にいた、都会の身持ちの固い学校などの、環境の方こそ、問題なんだということらしい。

でも、この場合、「罪」なのは、彼女をそういう隔離された存在にしてきた「東京的環境」ではないのか。

彼は、これを「悲劇」というのだが、こういった言い方が、坂口安吾堕落論」の最初の自殺する少女の話を思わせて、不快にさせる(浅田彰なら、たんに、「嫌なら逃げろ」となるのだろう。そう思って読むと、前半で、若い女性が、なぜ東京に出てこないか、みたいなことが書いてある)。いずれにしろ、こういった、「同調圧力」の問題を考えてきた人という印象がある(「同調圧力」という言葉はこの人の本で始めて知った)。