イビチャ・オシム『日本人よ!』

自分は、サッカー少年ではなく、どちらかといえば、野球少年だった。弟が、サッカーやっていたが。ただ、中学は、サッカーが、さかんなところで、サッカーの体育の授業がやたら多かったのを覚えている。フランスW杯か日韓W杯だったか、やたらと、渋谷か新宿に、若者が集まっていたのを覚えている。
サッカーというのは、足を使って、かなり細かい作業を行うスポーツで、一般の日常生活としては、あまりない動きである。しかし、それだけに、ものすごい、脳への感覚の覚醒を起すものだと思う。たいへん、不思議な感覚・快感・興奮を起すようなものだと思う(それに比べれば、野球は、いろいろな人間の日常生活に近い要素の多いし、流動的にプレーが流れないので、大変クールなスポーツといえるのではないか)。
この本は、オシムが、脳梗塞で倒れる前に書かれたものだが、内容は大変興味深い。印象としては、とても普通のことばかり書いてある。そして、いろいろなサッカーの側面を、バランスよく、書いている。
それにしても思うのは、川淵さんの、Jリーグたちあげが、すべてであった。川淵さんという個性が、日本のサッカー文化をつくってきたんだと思う。それだけに逆に、川淵さんが、亡くなったとしたら、まともな方向性をうちだせるのか、大変疑問である。それは、オシムもいみじくも書いているが、この日本の土地の中で、サッカーをやることの意味はなんなのか、そういったことが、どんな社会的な合意を形成していくのか。今迄は、完全に、川淵さんのカリスマについてきただけだったんだと思う。

日本人よ!

日本人よ!