NHKスペシャル取材班『激流中国』

今日からかな。さっぽろ雪まつり、だそうで。今年は、韓国の去年、放火により焼失した、南大門(ナンデムン)、もあるそうで。この雪の彫刻というのは、不思議ですね。自衛隊が、いわば、「暇」なんで、実現してるところがあるんですよね。観光にも多く資するところあると思うし、いつも、たいしたものとは思いますけど。日本は平和なんですかね。
さて、掲題の本ですが、以前も、少し紹介した、NHKスペシャルのノベライズ。
このシリーズが、たしかに重要だったんですが、むしろ、このシリーズが、中国の方々に与えた印象なんですね。日本の人にとっても、多くのことを学ぶわけですけど、中国の方たちも、このシリーズをみて、その「構造」に思いをめぐらせるわけです。
けっきょく、人間にとって、二つのことなんじゃないか、と思うんですね。それは、医療と教育です。
マイケルムーアの映画「シッコ」をみるとわかりますけど、キューバが、どれだけ、医療大国であるか。同じく、今のような改革開放路線の前の、社会主義国、中国では、医療は、当然、ただであった。
それが今、どうなっているか。「まったく、保険なし」。アメリカ方式です。一切の医療サービスを「買う」ためには、その一つ一つの施術の前に、前払い。病院に行くためには、ぶ厚い札束をもっていかないとなんない。
なんなんでしょーね。命とは、お金で「買う」ものだったんですね。自分はあと何年、生きたいか。その生きたい分だけ、札束を積み上げろ、というわけです。
しかし、私は、教育至上主義、のところがある。それなりに、知的な子供たちが、その知性を能動的にフル回転させてくれるなら、未来の可能性も開けるのではないだろうか。
しかし、そこには、大きな問題がよこたわっています。貧富の格差(都会と田舎)。

その夜、謝春燕の家では、家族がこれからのことを話し合った。期待した奨学金はもらえず、借金返済日は近づいていた。弟の成福が切り出した。
「僕が出稼ぎに行くしかない。まず銀行の借金を返さなきゃ。姉さんは勉強に集中してよ。借金と家のことは僕に任せてくれ。姉さんは公務員にでもなれるようがんばって。僕みたいに畑で苦労しても貧しいままだから」
謝春燕は弟の言葉に驚いた。高校進学さえあきらめた弟が、姉の大学進学と借金返済のために出稼ぎするという。自分が期待に応えられるか心配になった。
「私にできるかな...」
そして弟に尋ねた。
「進学して私まで家を出たら母さんの世話はどうするの? 畑はどうするの?」
弟はすでに考え抜いていたらしく、即答した。
「母さんは親戚で順番に預かってもらおう。家畜は処分して、畑は人に貸そう」
弟の言葉に謝春燕も母親も息をのんだ。しばらくの沈黙の後、謝春燕は小さな声で言った。
「それは、つらすぎるよ...」
弟は目を潤ませながら、毅然とした口調で言った。
「それぐらいしないと、家の借金は返せないんだよ!」
黙っていた母親が口をはさんだ。
「すまないねぇ、私は何もできなくて。私のことは気にしないでちょうだい。あなたは大学に入るため、がんばって」
春燕はしばらく考え込んだ。そして顔を上げて言った。
「わかった。夢に挑戦してみる」
家族のために出稼ぎに行く弟の覚悟。謝春燕はこの夜から、毎晩遅くまで机に向かった。家族が寝静まった部屋の隅で、これまでの遅れを取り戻そうと、夜中まで勉強を続けた。

こういう話をチープなものに思う人もいるでしょう。
一方では、さっさと「上り」を実現して、子供もたっぷり教育費をかけられる階級の人たちは、しょせん、世の中は、金が全てなんだから、こんなことやって、借金で火だるまになって、非合理的だ、と、説教まで始めるかもしれませんね。「身の程をわきまえろ」、と。
他方は、さっさと進学なんてあきらめた、上の学校に行ったすべての連中へのルサンチマンの塊の人たち。
しかし、私は、世の中が不況になればなるほど、いかに、社会全体が、子供への教育にお金をかけることが、どれだけ、重要であるか、を思うわけです。
もちろん、教育なんてものは、どこかくだらないもので、しかも、それに点数をつけるなど、笑止以外ないでしょう。しかし、人々の思考レベルの底上げは、確実に社会の活力になるし、なにより、不況下、人心がどこまでも、荒みがちな中で、人々の、精神衛生上、これほど効果的な施策はないでしょう。
結局、最後は、学ぶ以外に、やることなどないわけだ。死ぬ直前まで、人間は学び続けるわけで、そう考えれば、幼い頃、進学をあきらめたかどうかなど、その後の長い年月での、学習に比べれば、なんの比較にもならないでしょう。
この私の考えの「敵」は、つい最近まで、日本の文部省をクーデターしていました。「ゆとり教育」です。この世紀の「悪」をくわだてた連中を、私は、シャンタル・ムフが言う敵対性において、「敵」と名指しましょう。
さて、この「ゆとり教育」。いろいろ批判をあび、最近は、なりをひそめています。事実、子供の成績が、ものすごい数値となって、「下がり」ました。ものすごいことをしてくれたもんです。しかし、この連中、その後、なんの「責任」をとりました?
この連中の教育論を絶対に許さない。
ゆとり教育なんだから、教育費、いっくらでも減らせますね。よかったですねー。世間の大量のムシケラに、よけーなお金使わないですむってことだ。そりゃーそーでしょうよ。へんな知恵がムシケラについたら、ドレーが楽な生活に目覚めてしまいますから。ホーリツなんてものをふりかざして、たてついてきたら大変だ。よけーな知恵はさずけないにかぎる。あっ。よかったじゃない。セートをさっさとガッコーから追い出して、授業時間、短かくすむじゃん。セートに使う金、少なくすむね。その分、センセーのキューリョー、どんどんあげちゃいましょ。だって、えらいんだから、それくらいもらわないと、権威が保てないってもんじゃない。

激流中国

激流中国