広瀬隆『資本主義崩壊の首謀者たち』

日本は、バブル以来、ずっと、不況だから(どうも、一部金融関係の、金持ちにとっては、そうでもなかったみたいだが)、いつもの、国策不況なんでしょ、といった感じだが、アメリカは、そうではない。
あんなに、イラク戦争のときは、いきがって、「自分たちがイラク人を殺してやろう」と、元気いっぱいだったものだが、いざ、こうって、サブプライム・ローン、のバブルがはじけて、今、どんな雰囲気なのだろう。
もちろん、アメリカは、ずっと、戦後は、貧富の差がはげしくなっていった。
しかし、ここまで、落ちたとき、何を、考えているのだろう。

アメリカのローンサイクルでは、まずアメリカ人が、とりわけ貧乏人が、銀行から金を借りて、それも返済できる当てもなしに「担保なし」で、豪華な一軒家を建てます。そうするとアメリカ人には、住宅という蜃気楼のような担保ができます。これを担保に、今度は自動車を買います。すると、新たに自動車という蜃気楼のような担保ができます。そして好き放題に、買い物ができます。贅沢三昧の生活をしながら、住宅価格が上がってゆくと、その価格上昇分だけ、また新たに借金をすることができます。

前、韓国の人で、住宅価格が、倍くらいになった、みたいに、喜んでたけど、どう考えても、あの、カードでばんばん、なんでも買って、貯金なんて、だれもやってない姿は、異常にしか、思えませんでしたけどね。
これで、当分、アメリカは、元気をなくすんでしょうね。
でも、これって、確実に、日本の雰囲気も変えるんでしょうね。
急な話だが、私は、この前、安倍首相の頃の、従軍慰安婦問題、での、アメリカでの議会決議、を、なんとなく、思いだしてしまった。
この決議については、過去から何度も提出されていたわけですね。だから、むしろ、なぜ、あの時、この決議が、圧倒的なまでに、可決されたのか、なんですね。
それは、実に、アホらしい理由からだったわけです。つまり、日本の保守派の一部の目立ちたがり屋が、ニューヨーク・タイムズ、に広告を出したからなんですね。それで、向こうの感情を逆撫でしたわけだ。
2.26の、青年将校、みたいなものでしょう。
アメリカにとって、第二次大戦こそ、最大のタブー、これこそ、なによりも、正義そもの、でなくてはならない。そこに、十分反省したはずの、そして今同盟国となっているはずの、その日本人が、こっちは悪くない、と、いちゃもん言ってるわけだ。
たいしたもんですね。そこまで、憂国の心で行動したら、天皇も、さぞ、お褒めの言葉も下さるってわけですか。
私は、今回の、アメリカの権威の低下が、さらなる、日本の保守派の、増長をまねくと思いますね。
最近の、日下公人、の、「現実主義」なるもの、やれるもんなら、やってみろ、って内容でしょう。
アメリカは敵。中国も敵。でも、大丈夫。世界は、日本に軍事警察の役割を期待してる(世界って、誰なんでしょうね)。日本の軍事警察が、もう一度、靖国を中心とした天皇親政国家を復活させて、国連を脱退して、アメリカ、中国、北朝鮮、の連合軍、とまた戦うんですか。その唯一の手段が、核兵器の保持、だそうだ。核兵器さえ持てば無敵だそうだ。この貧相なアイデア、まったく、今の、北朝鮮と、うり二つ。こんなレベルの人間の放言を、あいかわらず、大手新聞・雑誌は、許してるというわけですね。
しかし、こんなレベルでも、ポピュリズムには訴えるというわけですか。テポドンを、日本列島、めがけて撃つわけないのに(飛距離が違いますからね。日本なら、ノドンなんですから)、スカッドミサイルで打ち落とす、って、あの、大騒ぎ、は、なんだったんですかね。だいたい、スカッドミサイルなんて、当たるわけねーだろ。ミサイルなんて、どこ落ちるかわかんねーから、ミサイルなんでしょ。何時、何処、に落ちるか分かって、やっと、あの程度も命中率でしょ。守れたとして、皇居周辺、くらいでしょ。もちろん、間違って、当たりでもしたら、さらに「たくさん」の破片が市街地全体にちらばるでしょうけど。しかも、韓国が、人工衛星を、日本上空に飛ばすとなると、なんにも言わない。もう、勝手にしてください。
これからも、そういった、2.26青年将校気取りの、連中が、アメリカの新聞・雑誌に、これからこそ、さんざん、意見広告をやりまくるんじゃないですかね。
そして、日本の評判を下げて、多くの向こうで商売をしている、日本人に、肩身の狭い思いをさせ続ける、こういう時代が続きそうですね。
しかし、それも、アメリカが、元気がない、ことが前提ですね。
でも、だからって、日本が元気なわけじゃないんですけどね。
いやむしろ、アメリカ、でモノを売って、戦後の復興をしてきた日本が、アメリカの不況で、まっさきに、不況になってるんじゃないんですかね。派遣切り、とか。
今回の、videonews.com で、自動車、の話をしてますけど、製造業、ですよね。
製造業の、衰退は、アメリカの方こそ、日本のさらに、先を行ってきた。私たちにとっては、アメリカこそ、あこがれの、ライフ・スタイル、だったわけで、エジソンの伝統ある、科学の国、ですよね。その国の製造業。
車にしたって、今、まともに車作ってないんですから。マネーゲームが収入の6割、だって言うんですから。しかも、最近の、地球環境が、どーのこーので、小型車、でしょう。でも、もーかるのは、大型車だったってわけで、そんなのばかり投資してた。
トヨタも世界中で、もうかってると思ってたら、そんなのばっかり売ってたみたいですね。だから、今期、あれだけ、トヨタが赤字だしてる中、ホンダだけが、増益なんですよね。でも、日本の経済界は、完全に、トヨタに支配されてますから、労働者の待遇悪化は、トヨタの赤字に比例して、落ちるとこまで落ちてますけどね。
アメリカが、本当に、製造業をやめたとき、世界は、どうなっちゃうんだろう。日本はいつまで、製造業をやってられるのだろう。どんどん、発展途上国でしか、製造業は、成立しなくなるのだろうか。
グラン・トリノ」でも、主人公は、アメ車、つくってた人ですよね。
製造業について考えるとき、ウィリアム・モリス、の、「ユートピアだより」、を思いだすんですよね。
技術というのは、継承されなければ、無くなるものですからね。でも、それが、収益につながらないのなら、無くなるのは、当然なんだろうけど。でも、なくなったら、その遺産はそれまでなんですけどね。
ウィリアム・モリス、は、なにが言いたかったんでしょうね。
掲題の本ですけど、ちょっと前に紹介した、広瀬隆さん、ですね。新刊、ということですけど、アメリカは、90年代末から、完全に、マネーゲームを、つっ走ってきた。それに、世界中が、ひっかき回されて、ここまで、きたわけですね。
そのアメリカですが、もう、借金だらけだっつーのに、企業に、お金を、じゃぶじゃぶ投入して、かたっぱしから、「国有化」。これを、社会主義の国と言わないで、なんと言うんですかね。
じゃあ、アメリカは、これからは、どうするんでしょう。やっぱり、今までどおり、一部の金融マフィアによる、マネーゲームを続けるしか、選択肢はないんでしょうか。
そんなことを、「グラン・トリノ」を見ながら、考えてたんですけどね。

資本主義崩壊の首謀者たち (集英社新書 489A)

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