ストア主義でなにがわるい

ヘーゲル進歩主義者は、ストア派を、ぼろくそ、言う。
ようするに、「利己的」なんだとさ。そうである限り、道徳的に、下の下、だと。
しかも、ヘーゲルばかは、このことが、まるで、あらゆる「前提」のように、話しやがる。
しかし、そうかね。
ストア派こそ、最強にして最終。
これこそ、犬儒派、を唯一継承しえた、西洋文明の頂点、なんじゃないですかね。
哲学の進化の最終形態は、国家にぬかづく奴隷、を、「自由」、と言い変えるところで、完成する、だってさ。
人間の本質は、「類」として、存在することに目覚めたとき、哲学の奥義を体得した、となるってわけですか。個としての人格、個としての性格、個としての感情。こういったものは、夢か幻でしかない。そんなものには、なんの価値もない。人間、いや、「民族」「国家」こそ、唯一存在者として「認められる」単位なのであって、人類が、この類のために、すべてを捧げて、奉仕することだけを人生の目的であると、自覚されたとき、人類は「完成」する。
しかしね。
あんた。やりたくないことをやってねーだろ。人間、本気でやりたくなかったら、絶対やんねんじゃねーの。体、動かんだろ。
こういうことは、ニーチェがよく見てたんじゃねーかな。弱者根性。性根の弱っちー奴に限って、国家だとか民族だとか、かつぎ出してきては、それを利用して、他者を支配し、自分の安穏に利用し続けてきた成れの果てがこの、人類の歴史、なんじゃねーですかね。
だからねー。国家や民族をなにかと唱えたがる御仁こそ、最も、欲望たくましい、サバイバーってわけですか。どーぞご勝手に。
カントは、性格わるいですからね。皮肉な口ぶりで、こういった議論に乗っかってみせるわけですね。でも、彼の性格ですからね。さらなるとんでもないことを口走り始めるって、わけですね。「世界国家」「永遠平和」。そうするとどうですか。ヘーゲル。びびっちゃって、国際連合、なんて、実現するわけねーだろ。いったいどこに、「人類」なんているのか。あるのは、日本人(ゲルマン人アーリア人)。うぅっ。その必死っぷり。確かに、今でも、国連が、まともに機能してると言ってる人は、いないでしょう。でも、今たんに、国連脱退を、デカい声で吠えてる連中なんて、北朝鮮の軍部と、日本の勘違い保守派、くらいじゃないですかね。
ストア派は、単純でしょ。人間がやりたいことをやることを認めながら、「善」、であること、そうあり続けられることを、真剣に考察したわけでしょう。もちろん、王様が、どんなきれーごとを言っても限界あるってものなんでしょうけど、少なくとも、これほどストイックに考える、生き方。
ここに、基本的な、人間をどういう存在と考えるかの、分水嶺があるんでしょうね。人間なんて、幼稚で催眠術のようにいくらでも、口先で、支配できる、思う通りに動かせる、と思っているような自称エリート勘違い野郎と、本質的に他者とは、どうしても、不透過なところのあるものであって、なんでも分かると思うことは、傲慢なんだ、と、真摯であることでしか、すこしでも理解に近づける道はない、と謙虚に世界を認識しようとする、賢者か。