青春小説?パラレルワールド?

とりあえず、

スカイ・イクリプス―Sky Eclipse (中公文庫)

スカイ・イクリプス―Sky Eclipse (中公文庫)

まで読んだ(目を通しただけ?)のだが...。うーん。あまり、深くは、ストーリーを追おうとは思いませんが...。
文庫版の解説は、杉江松恋、が書いている。それを読むと、人によってはこれを、青春小説や、パラレルワールド、として読んでいる人もいるだろう、みたいに書いてある。ある意味、一つ一つの作品を、単独として読む場合は、そんな感じになるだろうが...。
あと、ストーリーの細かい展開がどうだったのか以前に、全体の作品の構成ということで、一点、気になったことがあった。
相良亜緒衣(サガラ・アオイ)、という生物学者についてだ。
ある意味で、彼女こそ、この物語の主人公みたいなところがありますよね。
彼女は、キルドレの秘密にからんで、「人類を破滅から救う」ために、自分が知った秘密が、人に知られないように、自分から命を絶つ、というような流れがあった。そしてまあ、秘密が洩れることなく、ハッピーエンドで、人類はこうやって、平和に暮らしてます、って感じなのだろう。
ようするに、エリートの善意によって、人類は救われなければいけないんだ、って読めるんですよね。この辺りが、ちょっとね。...気持ち悪いんですね。
もし、学者(研究者)にそれだけの、倫理観が必要なら、研究者というのは、ずいぶんと、この人類の未来を背負う、立派な存在なんだな、となりまね。日本の大学の安月給はまずいんじゃない? になりそうな気もする。
例の自由についての新書でもそうでしたけど、科学の進歩は重要だけど、他方で、それをコントロールしていかなければならない、というふうに言うと、そのコントロールって、そもそも、可能なのか? いや、だから、そのために、学者(研究者)の社会的役割は、なによりも重要なんで、もっと人々がそのことを理解した方がいい、って暗に説教されているようにも思えてくる。
キルドレの秘密が、一般に知られて、多くの人たちが、その道を選択していったとして、それによって破滅の方向に向かうとしても、それはその中で、解決の道を模索するのが、人類の社会なのでしょう。そういう事態に至ったら、その時はその時で、みんなで協力してやるしかないんで。
その、なにか、一研究者が、コントロールできる、っていう感覚がね。
やっぱり、この辺りが、公的な仕事をしている人の、ノブリス・オブリージュなんですかね。