売国奴が一番儲かる

私たちを驚かせたのは、TPPをめぐって、日本中から、「売国奴」があぶりだされたことではないだろうか。
まさに、踏み絵であり、橋頭堡になった。
経済とは「差異」のことである。自分は売りたい、相手は買いたい。またはその逆。こういったシチュエーションによって、「利潤」の拡大を目指すことを経済活動と言っていいだろう。
つまり、この差異は大きければ大きいほど、その経済圏では、ダイナミックな経済運動が存在すると言える。
つまり、世界は、極限まで、富裕層と貧困層に分かれる。アメリカの恐しいのは、彼らは戦勝国であって、戦前から、一貫して社会体制が変わっていないことだろう。つまり、日本が敗戦となった以前から、アメリカで、お金持ちだった家は、その後もずっと、蓄財を続けて、今では、まるで天上人のような存在になっている、ということである。
他方、日本においては、敗戦直後は、占領軍によって、財閥の解体と農地解放によって、冨の平等化がはかられた。もちろん、それ以降は、財閥の復活がある程度実現したと言えなくもないが、それでも苦労したことには変わらない。
貧乏人は極限まで貧乏になる。そして富裕層は極限まで金持ちになる。
ここで、問題だ。
貧困層と富裕層は(ヘーゲルの言う主人と奴隷の弁証法のように)「ダイナミック」に、交代が起きるだろうか。
起きない。
なぜか。
ジジェクが言うように、国家とは、
お金持ち「社会主義
だからだ。つまり、「大きすぎて潰せない」、「小さすぎてペチャッ」。笑ってしまうくらいに、お金持ち同士の資産は、彼らの中だけに存在する「社会主義」によって、お互い、仲良く「保護」されまくる。
私たちを驚かせたのは、原発が経済的条件を満たないのなら、即刻、廃炉にするのかと思ったら、
国有化
しろと言い始めたことだ(もちろん、自らが管理をできないので、廃炉の手続きを国家に助けてもらう、とかいうならまだ分かるが、国家が運営すればいい、とか言い始める。しまいには、東電の社員を公務員にしろ、とか言うのだろう。それで自分は、自由を擁護してるんだってさ)。つまり、原発は民間においては、経済ベースにのらない。つまり、お金持ちの所有物は、国家によって、安全に管理され、貧乏人の財産は骨の髄まで、生かさず殺さずで、むしゃぶりつくす。
富裕層は「仲間」で、貧困層は「敵」。
そして、彼らは「インターナショナル」だ。国内の失業者は「無能」だから、自業自得と言っておきながら、世界中のお金持ちとは、友達になりたいようだ。
彼らと友達になるために、彼らがすることはなんだろう。国内の貧乏人を、そいつらに「売る」ことだろう。
もちろん、彼らは生まれたときから、裕福な人たちと「しか」付き合ったことがない。家にお金がない人というのを想像できない。共感できない。だからこそ、そういった事態になることへの、
恐怖
はものすごいものがある。そうならないためなら、「あらゆる」鬼畜の手段を尽す。愛国心がないとは、そのものずばりで、同じ国民を同士と考えない。同じ国民が失業で苦しんでいても、サディスティックに喜ぶだけ。この国の国力が減退しようと、いつか逃げ出せばいい、くらいにしか思っていない。
原発で日本の土地が住めなくなっても、なんとも思わない。自分はそこに住まないから、関係ない。そこで住んでいる人がいて、毎日、悩み苦しんでいる人たちの気持ちを理解し共感することはない。
どうも日本は、TPPで滅びるのではなく、売国奴によって、滅びるようだ...。