誰の秘密?

この特定秘密法案の最も「意味不明」な点は、これを、「政治家」が成立させようとしていることであろう。
つまり、私が理解ができないのは、この法律は、「誰の秘密」なのか、ということなのである。
この場合、どこから、その「秘密」は湧いてくるのか。それは、言うまでもない。官僚組織の中からである。官僚が、日頃の行政活動を行う過程で湧いてくる情報である。では、それを誰が秘密にするのか? 言うまでもない。官僚自身である。だって、その「秘密」を知っているのは、官僚なのだから。
じゃあ、なぜ官僚は、それを秘密にしたがるのか。バレると、いろいろと都合が悪いからであろう。それは、誰に対して、都合が悪いのか? 国民。つまり、国会議員にバレると都合が悪いわけである。
つまり、この秘密は、官僚が国会議員に「隠す」ことを正当化する。いや。むしろ、

  • 国家議員が、調べたら「逮捕」する

法律なのである。さて。国会議員は、これから何をするんでしょうね。国会議員は、国民のために仕事をすると「逮捕」される。じゃあ、国会議員は、これから何をなさるつもりなんでしょうか。彼らは、これから、何を目的に生きていくのでしょうか。
この法律は、官僚が国会議員をコントロールするための法律なのである。
官僚が自分たちに都合の悪いことを、国会議員にやらせないために作っているわけである。
(もちろん、法案を見れば、国会への報告についての記述はある。しかし、そもそもの前提において、「適正評価」とあり、「資格」が限定されているのだから、国会議員が、本当にその情報を知れるのかは、はなはだ疑わしい可能性があるわけであろう。恐しいのは、そういった

  • なにも聞かされない

国会議員が、このことに関連した法律を採決していくわけである。さて。彼らはこれから何をやるつもりなんでしょうかね。隠居して、庭先で食っちゃ寝の生活ですかね orz。)
もしも、この法律が成立したら、各省庁の中にある、ほとんどの情報が、「特定秘密」にされるケースもあらわれるのではないだろうか。つまり、国民主権ではなく、官僚が自分で考えて、自分で決めて、ハンコだけ、国会議員に押させる。しかし、国会議員は、必要な情報が、特定秘密になっているから、なにも知らない。知らないのに、ハンコだけ押させられる。
そして、この法律には、以下のような、文言がまぎれこんでいる。

テロリズム(政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動をいう。同表第四号において同じ。)
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これが、国民が適性評価かどうかを判定するための条文の一部であるが、つまり、

  • テロリズム = 「政治上その他の主義主張に基づき、他人にこれを強要」する人

つまり、「主義主張に基いて、誰かにその主義主張を強要」すること自体が、「テロリズム」だって言うわけであろう。しかし、あらゆる政治活動は、国民を変えて行こうという運動なわけでしょう。国民の意識を変えることで、自分たちが考える理想のユートピアを目指す。脱原発だって、国民に、原発をやめさせるために運動しているわけでしょう。

(後記:法律文章では、「X、または、Y、または、Z」という記述はしない、その場合は、「X、Y、または、Z」とする慣例があるそうでw、上記の「目的」という言葉までで、一つの塊と読むべきという議論があるよう(だとしたら、「与える目的で」の後にカンマをしない「センス」ってすごいよな orz。ま。私は、法律のエキスパートじゃないんで、知りませんけどw)。しかし、だとしても、あまり状況は変わっていないように思われるわけでw、その辺りについては、いったん、別の記事という形にさせてもらう。)
つまり、そういう「強要」が少しもない主義主張なんてないわけでしょう。しかし、これが「テロリズム」の定義であって、こういった市民運動や活動家の行為は、

扱いだと言うんでしょうから、この法律の「ここの記述」によって、脱原発運動を国民がやっただけで、彼らを警察は、「テロリスト」呼ばわりして、逮捕可能だ、ということになるわけであろう。
それにしても、すごいよね。官僚は、「あらゆる」情報を、特定秘密にしたら、国会議員はどうするんだろうね。官僚に何も教えてもらえなくなって、さて、国会議員って、それで、なにをするつもりなんでしょうね。
それにして、自分の手足を縛って「喜んでいる」政治家って、国民のために、なにかをやろうという気概はあるのだろうか。官僚に好きなように、

  • あなたを何もできないようにします

という法律を成立させられて、嬉々として、官僚に言われるがまま、「自分は、これから何もしません」、官僚様に迷惑がかかるようなことはしません、と言わせれて、さて。
もしも、日本の官僚がもっている、あらゆる情報が、特定秘密にされた場合。99パーセントの官僚が持っている情報が特定秘密に指定された時代が来たとき、それはどんな「ゲーム」になっていることを意味しているのであろうか? 一つだけ、はっきりしていることは、国会議員は、

  • 何も知らされない

のにも関わらず、そのことについて書いた法律を「成立させろ」と、官僚に言われる「だけ」の存在に成り下がってしまう。
国権の最高機関は、国会だったはずなんですが、その国会は、なにかを知らべて、この国を変えたいと思っても、そのことに関しての、基本情報が、ことごとく特定秘密になって、国会議員から、官僚組織は、必要な情報を

  • 隠している

のだから、つまり、本当の意味において、国会議員は、この国を「直せない」ということになるわけだ...。