橋山禮治郎『リニア新幹線』

私も少しは、年齢を重ねてきて、いいオッサンになってきて、一つ分かったことは、本当に「悪魔」っているんだな、ということだ。
こんなことを言うと、なに、いつもの「トンデモ」かと思われるかもしれなが、別にそう思われたってかまわない。悪魔は悪魔だ。それ以外の呼び方を知らないから、そう呼ぶのだ。
私は、そもそも、リニア新幹線に賛成の人がいるという事実自体が信じられないのだが。

  • 飛行機でいいじゃん。

この一言で尽きている。

一つは、最も重要な「中央新幹線計画の目的の妥当性」について全く議論されなかったことである。これまで長年にわたってJR東海が掲げてきた最大の計画目的は「需要増加に対応するための輸送力増強」であったが、この大義名分が、審議会冒頭から何の説明もなく消去された点である。二〇〇八年以降の座席利用率が六〇%前後という実態から「輸送力増強」の必要性を主張できなくなったというならば妥当な判断だと評価できるが、そうであるなら、目的がなくなった事業計画を審議会で審議する意味はないはずである。JR東海に目的消去の理由を質した委員は一人もいなかた。本来なら、小委員会は会社側に計画目的の再確認を求め、審議を停止すべきであろう。
JR東海は計画目的として、八〇年代後半から「輸送力増強」を掲げてきたが、審議会開始時は「東海道新幹線の施設買い取りに伴う債務五兆円の償還を円滑に行なうため」(つまりリニア開業による利益増加で返済資金を確保するため)と掲げ、最近では「大規模災害への対応」「東京--大阪間の二重系化」「わが国の製造業活性化のため」等々、その時々での思いつきを、目的として強調している。リニアなければ国民を災害から守れないのか。リニアと新幹線の併営がなぜ国民に必要なのか。リニアがなかったら、この二〇年間、経済活動が停滞し続けたのか。こんな説明で納得するほど国民は愚かではあるまい。
もう一つは、対象を当初からリニア中央新幹線に限定して審議を初めたことである。大臣からの諮問は「中央新幹線について」であり、「リニア中央新幹線について」ではない。しかし、前述したように、中央新幹線として従来型新幹線がいいか、リニア方式がいいかを多角的ん比較評価する議論は公開の委員会の場で一切なされず、「わが国の新幹線は、安全性、信頼性、省エネ性、速達性、ネットワーク性、定時性、建設費用等の点では優れているが、リニアの方が高速性の点で優れているので、リニアが適当である」という、理解し難い答申案が審議会事務局側から出されたのに対して、委員は誰一人として意見も出さずに了承した。信頼性が実証されているジャンボジェット機より、新しく開発された超音速コンコルドの方が速いから優れている、と言っているに等しい。黒を白と言うのはまさにこれである。

リニア新幹線wなるものと(そもそもこれ、「新幹線」じゃないしねw。勝手に新幹線を名乗るなよw)、今の新幹線を「さらに良くしたもの」と、私たち国民にとって、どっちが「便利」ですかね。
なんか、キナ臭くないか。

電磁波がリニアで問題視されるのは、速度を制御する周波数の変化によって電磁波の強さがどのように変化し、それがどのような形で人体に影響を与えるかが科学的に完全に解明されていないからである。これまでJR東海も一切説明せず安全一点張りできたが、ようやく二〇一三年一二月に実験走行厨の実測データを公表した。
電磁波の人体被曝の影響については外国の調査や専門家から多くの指摘がなされ、小児急性リンパ性白血病、小児ガン、脳腫瘍、流産、アルツハイマー病等との関係が警告されている。

すごいよね。つい最近まで、まったくデータも示さずに「安全」「安全」って言ってたんだ。恐いね。

米倉弘昌経団連会長は「東京オリンピックまでにせめて名古屋まで開通してほしい」、管義偉官房長官は「世界最先端の技術だ。海外にインフラ輸出できる大きな武器になる」

つまりさ。原発推進派とリニア新幹線推進派って、完全に重なっているんだよねw。恐いね。

リニアのもう一つの大問題は、高速走行ゆえに膨大な電力を必要とする点である。
3・11以降にリニア計画が直面した決定的とも言える制約は、この電力問題である。
それ以前は東京電力柏崎刈羽原発中部電力浜岡原発からの受電を前提にしていたが、両原発の運転停止で、事態は激変したと言っても過言でゃない。JR東海は「リニア開業時には事態は正常化され、電力確保の問題は解消する」と楽観しているが、原発の新増設はもちろん再稼働さえ厳しい状況下で、楽観は到底許されない。また、国民が省エネにつとめている中で、リニアによる電力の大量消費が許されるだろうか。

おもしろいのが、JR東海の社長ですら、リニア新幹線は「赤字」だって、はっきり言っていることなんだよね。つまり、最初から「国の援助」がなければ、JR東海はやらない、って言ってるんだってさ。
つまり、どういうことなんだろうね。
私は、ここに「全て」があるんじゃないか、と憶測しているんだが。つまり、原発推進派が、今考えていることは、クーデターでもなんでもいいから、とにかく、

  • リニアの着工にゴーサインを出す

こと「だけ」を考えているんじゃないか。とにかく、国民が知らない間に、工事さえ始めてしまえば、

  • たったこれだけのことやってしまえば

もう、原発って止められない、って、「言い訳」が立つって、彼ら、本気で思ってるんだよね。だから、JR東海が赤字とか関係ないわけ。そんなの、福島の除染費用を国の税金でやると言ってるのと同じで、国の税金をたんまり注ぎ込んで、

  • その代わりに

原発を動かすわけ。原子力ムラにとっては、なんとしてでも、原発を動かす「口実」が欲しいわけで、あと他のことなんて、なんとでも「言い訳」がたつ、と思ってるわけよ。
恐いね。
リニア新幹線は、ちょっと想像もつかないような、電気喰い虫なわけ。リニアが動くってことは、私たちが毎日、がんばって、汗水たらして努力してきた

  • 一切の節電努力

を一瞬で無駄にしてくれるわけ。恐いねw。
この本を読んで、『福島第一観光地化計画』なる本が悪魔の本であることを再確認させてもらいましたねw。よくもまあ、福島の被災に苦しんでいる人たちに、「原発が必須になる」リニア新幹線を強要する、あんな未来計画を語れるもんですねw。相当、福島の被災者を侮辱したいんでしょうねw。そもそもさ。日本の人口も減っているし、ただでさえ、東京一極集中のストロー現象が問題視されているわけでしょ。その上で、「観光」によって、人々が「今以上w」に、飛行機や新幹線という、高速遠距離移動インフラを「使う」っていう前提がなかったら、そもそも「ペイ」するわけないんだよねw。なんだろね、このマッチポンプw。
むしろ、既存の鉄道会社は、余計なことをやらなくていいから、飛行場と既存の鉄道網との連結をもって便利にしてくれないかな。地方の沿線をもっと便利にしてくれないかな。もっと安くしてくれないかな(リニア新幹線を作った場合に、一体、どんだけの一般路線インフラの「値上げ」を強いられるんでしょうねw。恐いね)。
(あと、新幹線のグリーン車で、「時代を先取るw」原発推進雑誌「WEDGE」を無料で配るのを止めてくれないかな orz。)

リニア新幹線 巨大プロジェクトの「真実」 (集英社新書)

リニア新幹線 巨大プロジェクトの「真実」 (集英社新書)

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