官僚ホルホル

バブル以降の官僚たちが考えていたことって、高度成長時代からバブルにかけて、なんでも官僚に「おまかせ」しておけば、国家経済は「成長」でき、みんなが幸せになれる、という幻想を抱かせることだったのであろう。
頭のいい官僚にお任せすれば、日本のあらゆることは、うまく行く。つまり、官僚性善説ですよね。官僚は「良い」人たちで、頭もいい。大衆という頭が愚鈍な連中に、なにをさせても、うまくいかないのだから、この際、

  • すべて官僚がやってくれた方が国民は「幸せ」になれるんじゃないのか

といった、エリート主義が隆盛を誇るようになっていく。
つまり、

である。実際、3・11直前に、急に、ベーシック・インカムの方が「福祉を減らせる」という福祉計算をひっさげて、エコノミストがBI推進を主張したとき、その回りをとりかこんだ有識者たちが言っていたことは

であった。つまり、民主主義は、国家の「意志決定が遅すぎる」から、民主主義を止めることが必要だ、と真面目な顔をして、主張を始めた。つまり、彼らは、中国の共産党独裁でいい、と言った(ここに、東浩紀さんの一般意志2.0があることは、何度も繰り返しているので、再論はしないが)。
ところがこの動きは、ある意味、3・11の混乱をはさんで、急速に後退した印象がある。まあ、東北の仮設住宅に住んでいる人を前に「自己責任」の新自由主義を主張する、ディザスター・キャピタリズムは、あまりにも「露骨」だった、ということなのであろう。
今の安倍ちゃん応援団の理屈を聞いていると、彼らは今、安倍ちゃんが、ナチスの全権委任法を、安保法制よろしく、

  • 今から、憲法の解釈を変えて、全権委任法を合法化することにします

と記者会見をやったとしても、さまざまな屁理屈を並べて、

  • 時代も変わったし、全権委任法を、やるべきなんじゃないか

とか、普通に言い始めそうな「言葉の軽さ」を感じるわけである。彼らって、安倍ちゃんが何を言っても、「安倍ちゃん、そうだ、そうだ」ですよね。どんな無理難題を言っても、「きっと安倍ちゃんのことだから、深い考えがあるんだ」とか言って、安倍ちゃん賛成に回るわけでしょう。
安倍ちゃんはいい人なんだ、ちょっと口が下手で誤解されるときもあるけど、日本のことをいつも考えてくれていて、いい奴なんだ、と。
もしも、安倍ちゃんが、リフレ政策を推進する代わりに、ナチスの全権委任法と、日本の戦前の治安維持法の両方の成立と、交換で、ってことになっていたら、リフレ派って、この条件を飲んでいたんじゃないのかな。だって、明確に彼らが集団的自衛権に反対しないところを見ると、どうしてそうじゃないと言えるのかな。もともと、エリート・ホルホルな人たちだし、なんで、民主主義なんてやんなきゃいけないんだ、とか、本気で思ってるんじゃないのかと、疑ってるんですけどね。
そもそも。日本人って、民主主義を大事にしてこなかったよね。基本、任せてぶーたれるんだよね。国がちゃんとやるべきだ。これだよね。今回の70年談話にしても、後半、たてつづけに「良いこと」が書いてあるんだけど、注意深く見ると、みんな

  • 心に刻みます

なんだよね。心に刻むだけで、いざとなったら、今回の集団的自衛権と同じで、

  • 今までは「良い事」を言っていましたが、今日からは、解釈改憲で、別の解釈にすることにしました

って、どうして言い出さないと思わないのかな。「口約束」です、って、後で反故にするために、わざわざ分かりやすいように

  • 心に刻みます

なんていうフレーズを、全部に使っているのに、「まさか、ここまで言ったんだから、悪いことはしないだろう」っていう、性善説で、安倍ちゃん支持率アップっていうわけでしょう。国民ってバカだね。安倍ちゃん、心の中で

  • 国民、ちょろいぜw

って思ってるんでしょう。

私たちは国際秩序への挑戦者となってしまった過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、わが国は、自由、民主主義、人権といった基本的価値を揺るぎないものとして堅持し、その価値を共有する国々と力を携えて、積極的平和主義の旗を高く掲げ、これまで以上に貢献してまいります。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150814-00010001-seijiyama-pol

まあ、ここに全てが集約していますよね。何ヶ月も前から、「積極的平和主義」という、この欺瞞に満ちた言葉を使い始めたのも、今日のためでしょう。これ、この文脈で、急にあらわれると、この言葉の本当の意味を知らない、低学歴の、一般大衆の人たちは、なんとなく、ほわーっと「良い事(=だって、平和って言葉も入ってるし)」くらいのイメージで受けとるんですよね。それが

なのに。これさー。ようするに、

  • いろいろ良い事を言ってきたけど、「だから」積極的平和主義(=日本の軍拡)をやらせてください、なんですよね。こういった良い事を、これからやっていきますので、どうか、日本の軍備増強をさせてください、って、国民にお願いするための文章なんだよね。

だから、70年談話って、これから日本は軍事力を、もっともっと拡大していきます、って、それを言うための、長い「言い訳」なんだよね。これから、日本はこんなに良い事をやっていきます。だから、軍事力の増強をさせてください、って、それだけ言っているんだよね。
ここで誓ったさまざまな「良い事」をやるために、積極的平和主義をやらせてください。つまり、

  • 日本の軍備増強をやらせてください
  • 安保法制を通させてください
  • ナチスの全権委任法を通させてください(メタメッセージ)
  • 戦前の治安維持法を通させてください(メタメッセージ)

ようするに、民主主義を止めさせてください、っていうことになるんだけど、それだと、その前で「約束」していたことと矛盾するんだけど、でもそういった「良い事」の一覧って、しょせん「口約束」だし、「心に刻みます」って言っただけだし、また、

で時代が代わったから、今日から止めますって言えば、安倍ちゃんホルホルは「そうだ、そうだ」で賛成してくれるんだから、まあ、日本の政治も「ちょろい」って、なめられてるんですよね...。