バーニー・サンダースという衝撃

そもそも、なぜ日本の民主党は衰退の一途を辿っているのであろうか。
もちろん、アベノミクスによって、安倍政権に金融政策の先手を打たれていて、後手を踏まされてしまっている、ということはあるだろう。
しかし、私は本質的の部分では、そういうことではないと思っている。確かに、野田元首相とか、岡田代表といった「消費税バカ」が、党のトップを塞いでしまっているため、まったく息ができない状態にあるという意味において、絶望的な状態であることは間違いない。
しかし、この日本の民主党の、あまりにもなさけない「ていたらく」を見ているとき、ようするに、なぜアメリカの民主党予備選において、バーニー・サンダースが初戦のアイオワであれほどの「善戦」を行えたのかを考えるとよく分かるわけである。
確かに今回の結果は、ヒラリー・クリントンの鼻差での勝利であったが、今までの文脈で考えるなら、これは、実質的に、バーニー・サンダースの圧勝といっていい結果だということになる。
つまり、アメリカの民主党はもう、バーニー・サンダースの政策を「無視できない」位置に追いやられている、ということなのだ。
彼の主張している政策はすべて、驚くべき内容であるが、そこにおいて一つ、はっきりとした「特徴」がある。それは

  • 若者層の狙い打ち

だということである。彼の主張の一つの特徴は決定的に「大学生」をターゲットにしている。公立大学の授業料の無料化であり、学生ローンの見直しであり、学生バイトの最低賃金のアップであるとか、大事なポイントは、

  • 大学生が「学業に一生懸命うちこむ」と借金地獄になる

って、「なんかおかしい」よな、という、学生たちの「素朴な感情」に訴える、強力な訴求力があるわけである。
よく思い出してもらいたい。なぜ日本の民主党は、選挙で勝ったのか?
彼らが訴えたのは、高校の「無料化」だったわけである。民主党

  • 政策ベース

で国民から支持された政党だったわけである。これは、すごいことだったのである。なぜか? 思い出してもらいたい。この高校無料化は「自民党ができなかった」わけである。自民党はこの政策をマニフェストにできなかった。だから、自民党は一度は野に落ちたのだ。ところが、どうだ? 今、自民党が政党に返り咲いても、この政策は、マイナーチェンジを行いながら続いている。つまり、今も、基本的には、日本は高校無料なのである。
なぜ、自民党はこの政策を止められなかったのか。それは、それだけ国民の「支持」があったからなのである。これだけ国民に「支持」されてしまうと、もう、そこには「正当性」であり「正統性」が生まれてしまうから、もう止めるに止められなくなる、というわけなのだ。
(しかし、このことを逆から言うならどうなるか? 民主党はある意味において、「高校無料化」を実現した時点で、「その役割が終わった」と国民に受け取られてしまったのである。)
よく考えてみてほしい。憲法第九条を、安倍政権は変えようとした。ところが、去年の安保法制の国民的な盛り上りを経て、どうだろう? 明らかに、自民党はトーンダウンしている。実際、橋下徹は、九条は国民の支持があるから、変えない方がいい、とまで言い始めている。つまり、安保法制によって、実質的な「実」を取ったことによって、「名」を捨て、保守派は、あまり「九条」にこだわらなくなってきているわけである。この流れでいくと、おそらく、九条のノーベル平和賞は遠からず実現するであろう。それは、今回の韓国との従軍慰安婦問題での合意でも象徴している。本当に「深刻」な国民的な「対立」をもたらすような「変更」は国家はできない。
民主党であり、野党連合が、もしも政権交代を実現させることが可能だと考えるなら、おそらく、

  • 高校無料化の「先にあるもの」

に、彼らが「チャレンジ」した時だ、ということが分かるのではないか?
それは何か?
もちろん、言うまでもない。「本丸」である、

  • 大学「無料化」

である。これを、どうやって野党連合が掲げられるか、なのである。もちろん、そう普通に言うと、不可能に聞こえるかもしれない。しかし、おそらく、これについては、バーニー・サンダースが、よい「例」を示してくれるのではないか、と思っている。
大事なことは、そういう「ちまちま」した話ではないのである。強力に、

  • 若者に対して「ものすごい量」の<支援>をする

ということなのである。バーニーの言う「公立大学の授業料無料化」は、そういった「ワンパッケージ」の一つの側面なのである。
つまり、これを「中心」にして、その周辺の若者を「どんどん」支援する、という「強力」なメッセージなのである。
これは日本で言えば、国立大学の授業料無料化であるが、私は非常に「いい」政策だと思ている。これはまず、

  • 勉強ができる(=やろうというポテンシャルをもっている)子供が、たんに「家が貧しい」からという「理由」で、あきらめる(=学ぶモチベーションをなくしている)

という事態を、端的に「解消」する。そういう国家のメッセージなのである。貧しくても、「勉強をがんばる」子供は、国家が「お金を強力に支援する」わけである。その象徴が、国立大学の授業料無料化の意味なのである。
さて。
日本の民主党であり、野党連合は、この政策を訴えることができるだろうか? しかし、もしもこの政策を訴えることができなく、野田元首相や岡田代表のような、イオンのような大企業の「代弁者」ばかりによって、支配された運動を行うなら、早晩、日本の政党政治は終わるであろう。
こんなこと「すら」言えないような、野党など無意味であり、早く滅んでくれた方が国のためになる。やる気のない野党は、さっさと滅んでもらおうではないか。そうでなければ、「大学無料化」くらいの

  • 強烈なパンチ

を国民に示して、その「存在価値」を示してもらいたいものであるw