みさきルート問題

アニメ「蒼の彼方のフォーリズム」第7話を見ていると、どうも、「みさきルート」に入りそうな様相を示している。
そこで、もう一度、みさきルートを見てみたが、原作の第7話「あたし、FCをやめるから」は、よくできているわ。
間違いない。
このまま、みさきルートで、アニメ化される。
というのは、このルート。明日香もけっこう、救われているし。
アニメ版の特徴は、今のところ、徹底して昌也の「謎」が明かされない作りになっていることだと思う。つまり、昌也がなぜFCを辞めたのかが、強烈のフラグとして残っている。この謎が解決されない限り、アニメ版は、物語として成立しない。それくらいの伏線ができている。
さて。一つ一つ考えていこう。
なぜ、昌也は明日香のコーチ役を引き受けたのだろう? それはもう、「なりゆき」と言うしかないであろう。明日香がまったくの素人でありながら、佐藤院さんと試合を行うことになって、まったくのコーチもなしに無理だと判断して、経験者の彼が、それを手伝うことになってから、彼女がFC部に入部することになり、そんな彼女の指導役として、適任者がいないという状況で、経験者の彼がそれを行うことも、「いきがかり」上、自然だったと言える。
しかし、その場合、大事なポイントは、昌也の感性の中では、明日香への「コーチ」役は、まだ、自分が「FCを始める」という課題に対しては

  • デタッチメント

でいられる、という判断がある、ということである。つまり、コーチ役を行うことが、「自分が選手として復帰する」ことを意味している、と考えていない、ということである。
ここは決定的なんじゃないかと思っている。つまり、明日香の存在は、昌也が再び競技を始めるためのフラグには、最初からなっていなかった、ということなのである。ここは、かなり丁寧に作られている。
そして、そのことを明日香もよく分かっている。なぜ明日香がFC部に入ったときのコーチが昌也だったのかは、彼女の視点からは、自分にこの競技を教えてくれる人は昌也しか、見渡してもいなかった、というところに関係している。そう考えるなら、みさきルートの第7話で、先生が彼女のコーチに代わるのは、それほど違和感がない。みさきルートにおける明日香は乾をターゲットにした、自分一人での「研究」が、昌也以上に「進んで」いる。つまり、すでに明日香は昌也を

  • 追い抜いている

わけで、むしろ、昌也「も」明日香に負けているのだ。
明日香という圧倒的才能の前で、自らの「小物」ぶりに、うち震えているのは「みさき」だけではない。昌也もそうなのだ。二人は負け犬なのであり、その負け犬同士が、このまま、負け犬のまま、今を受け入れられるのかが問われているわけである。
自らが才能がないということに気付いた昌也とみさきは、その「怖さ」を、始めて理解する。
でも。
そこで、震えているのは一人ではなかった。怖くて、怖くて、震えることしかできなかったのは、「一人ではない」のである。二人は、自分だけでなく、お互いを発見した。だから、二人はお互いが力を合わせることを、どうしても選びたかった。二人が力を合わせれば、明日香に勝てるんじゃないだろうか。その可能性に賭けてみたかった。
これは弱いもの。力のないもの同士の「反逆」である。一人では、どうしても自分の非力を理解したお互いが、もしかしたら、二人なら。二人が力を合わせれば、なんとかなるんじゃないのか、と。その小さな可能性に賭けた物語なわけである。
確かに、アニメ版のエンディングって、明日香とみさきが、ずっと楽しそうに、二人並んでFCを、ずっとやっているだけの場面なんですよね。このEDのアニメが象徴しているように、明らかに、この後、二人の

  • 友情

が描かれるんですよね。それって、間違いなく、みさきルートの第7話なんですよ。明日香は、みさきが戻ってきてほしいんですね。自分の強いライバルとして。そして、本当の意味で、明日香が自分より強いと思っているのは、みさきなんですよ。つまり、もっとも明日香からみて才能があると思っているのは、みさきなんですね。明日香からはそう見えている。乾よりも真藤よりもだれよりも。
...w
ここまで考えてきて、本当にこのまま、みさきルートで行くのかなって、不安になってきたw でも、そうなっても、これ。圧倒的に、おもしろいわw みさきルートそのままでも、このアニメ、売れるんじゃないですかね。そこまで言うと、嘘くさいですが。