島村英紀『人はなぜ御用学者になるのか』

原発問題というのは、非常に簡単な「からくり」になっていて、つまりは、原発とは

だということなのだ。つまり、なぜ日本の原発が50基近くも存在しているのかというと、その日本の土地に、原発を建てたから、という身も蓋もない話なのだが、問題は

  • なぜそこに建てられたのか?

ということになる。一言で言えば、その土地が「安かった」から、ということになる。
...。
さて。
なぜ、その土地は安かったのだろう?
こんなことを言われて、あなたは困ってしまうかもしれない。経済原理なんだから、いろいろ理由があるんじゃない、と。
しかし、そういった議論は、ことの本質を突いていない。なぜ安いのか? 言うまでもない、人が住みたがらないから、ということになる。なぜ? なぜ、その土地は過去から現在に渡って、「栄えなかった」のだろう? 普通に考えれば、そこが

  • 災害のメッカ

だから、と考えることが自然なのではないか? ぶっちゃけて言ってしまえば、その土地は、

  • 地震による地割れの上

だから、ということになる。地震津波で、過去から何度も被害にあった場所なので、いくら人々が移住してきても、すぐに、災害で破壊されてしまう。だから、自然と人が住まなくなる。その代わりに、そういった場所には、神社が建てられ、土地の神様を祭ってきた。実際に、地震の構造線に沿って、神社が日本の各地に存在している、とも言われている。
そもそも、電力会社はお金がない。だから、できるだけ安い土地に原発を建てようとする。すると、すると、あらまあ、あらまあ。

  • 日本の辺境

には安くて、人が少ししか住んでいない土地があるではないですか、あるではないですか。そして、金に目が眩んだ、亡者たちは、神をも恐れない、日本を奈落のどん底に落そうとする「非国民」たちは、日本に、50基近くも、原発を建ててしまった。
あーあ。
日本は、世界のほとんどの「地震」が集結している、地震「銀座」であるわけだがw、なんだろうね。
もしも、日本で原発を建てるとなった場合、本来なら、次のような「思考プロセス」を辿らなければならなかったであろう。

  • まず、日本列島の中で、原発を建設可能な、地盤がしっかりしていて、活断層が下に走っていない土地を、まず、確保する。おそらく、そういう土地は、今、日本人が多く住んでいて、都市となっていて、非常に高価な土地の価格となっているであろうがw
  • つぎに、そうやって、原発が奪った土地の「外側」で。かろうじて、人々が生活するに向いている土地に、都市を作り、生活する。ただし、この場合、その都市は、原発から、それなりに距離が離れていなければならないから、相当に、限られた地域にしか、人間は住めない、ということになるであろうし、今のように、日本に50基も作ろうとしたら、そもそも、日本人の住める場所なんて、なくなっていただろうがw
  • あとは、今原発が建っているような土地でも、ある程度のリスクを受け入れて住もうとする人たちが、数は少なくても、一定程度は存在する、という感じであろうか。

これが「普通のロジック」である。日本は世界のほとんどの地震が集中していて、かつ、国土もそれほど広くないわけだから、必然的に、居住可能な、都市化可能な土地は限られる。そして、そういった土地は、土地の価格が高いわけだから、電力会社は、土地の買取にお金をかけられない。
そこで、どうしたか?
彼らは「逆算」した。
つまり、彼は「危険」な土地に、原発を建てることを選択した。では、ここで言う「危険」はどうなるのか? 言うまでもない。その「危険」は、別に、今すぐ来るわけではないのである。だから、彼らはそのリスクを

  • 忘れる

ことにしたのだ。つまり、彼らは最初から

  • 逆算

をした。つまり、その土地が安全だから、原発を建てたのではなく、「安全になるように」安全をでっちあげることで、原発を建てたw どういうことか? 「危険」とは、危険と「分かっている」ということである。つまり、細かく調べたら分かることである。そこで、彼らはこう考えたわけである。

  • 調べなければいい

その理由はなんでもいい。その土地は、こういう理由があって、調査が難しいんですよね。と言って、調査をサボタージュする。
ハザード・マップというものがあるが、よく見ると、原発の近くは、それほど、危険と書いていない。なぜなら、そう書いたら、原発を止めなければならなくなるしw、そもそも、あらゆる手練手管を使って、原発周辺の地震学者による調査を

  • 邪魔

すれば、そこは「分からない」から、ハザード・マップ上は、「危険と分かっていない」ということで、危険マークを貼ることを免れている。
今回の熊本地震でも、人々が家を買うとき、そこに家を建てる前に、その下に断層面があるかどうかを調べられるんだそうである。しかし、もしも調べたら、その土地の価格は半減するであろう。実際、今回、断層面が開いて、家が壊れた土地に、もう一度家を建てられるであろうか? 実際は難しいわけであろう。

第三に、川内原発直下に活断層が存在する疑いがある。新潟大学の立石雅昭名誉教授と、地元の研究者や住民らによる「川内原発活断層研究会」が2014年2月に発表した調査報告によれば、川内原発の北東約800mの山中の崖に活断層と観られる断層を3つ発見。そのうち一つは川内原発の方に伸びていたという。立石教授らは、この断層についての詳細な調査を求めていたが、逆に露出していた断層面がコンクリートで固められてしまい、その危険性についてはウヤムヤにされてしまった。
【熊本震災】「川内原発を停止させろ」なぜ悪い?(志葉玲) - 個人 - Yahoo!ニュース

今回の熊本地震も、四国から繋がる活断層と繋がっていた可能性がある、というわけであろう。阿蘇山の火山灰が積もっていて、断層を調べられない、ハザードマップ上は、熊本は地震の「危険」指数が高く書かれていないけど、なんのことはない。たんに、

  • 調べにくい

土地だから、「何も書いていない」に過ぎなかったw
川内原発もそう。海側から、どう見ても、多くの断層が、川内原発に向かって線が引かれているように見えるのに、だれも、そこを調べない。確かに、沿岸部が、大型船が近づきにくく、断層を調べにくにのだというが、そもそも、調べようとさえしない。というか、やるわけないのである。やろうとすれば、多くの邪魔が入る。
まあ。これが日本の「知性」なんだよねw
御用学者。
すべてを、逆算で「安全」にしてしまう。怖いね。悪魔なんじゃないだろうか。彼らに騙されないようにしよう。

原発を建てる前に、近くの活断層を調査して、その将来の地震危険度を見積もることになっている。しかし、これも2章で述べるように(90頁)、活断層かどうか、それがどのくらいの流さのものか、そしてその活断層がどのくらいの大地震を起こすものかには学者によって異論があり、それゆえ大きな曖昧さがある。その活断層の長さ、つまり将来そこで起きる大地震の大きさを「値切って」作ってきたのが、いままでの原発なのである。
じつは、政府がこの種の活断層調査の結果を発表して以来、日本各地で起きた内陸直下型地震は、ほとんすべてが、活断層がないはずのところで起きてしまっている。
それだけではない。調査に漏れがあるという意味でも、現在の活断層調査はあてにならないものなのである。
地震予知、将来の地震確率、活断層。こういった地震学の不完全な成果のうち、都合のいいものだけをつまみ食いして政治的に利用することは、科学の冒涜である。これらの濫用を防ぐためにも、科学の現状を一般の人が正しく知っていることは、地震学に限らず、大事なことだと思う。

福島第一の事故のとき、さかんに言われたのは、低線量被曝の危険性であった。しかし、そういった論点のもって行き方はミスリーディングではないか、と思っている。そもそも、原子炉は壊れてはならない、。そのための、耐震実験などを行っているはずである。そもそも、危険なものを売ってはいけないのだ。3・11を境にして、福島第一から、大量の放射性物質が、外に放り出された。こういったものは、そもそも、そこに原発がなかったら起きなかったものである。ところが、それが起きた。そして、福島第一周辺の人たちは、強制的に避難をさせられ、それ以来、今だに戻れていない。
こんなことは、そもそも、そこに原発がなければ起きないことだったわけである。
まずは、今の原子炉が震度7に耐えられるのかどうかの実験から、始める必要があるであろう。壊れてはならない。壊れないことを確認しなければならない。そうやって、壊れないことが分かって始めて使える。
私が御用学者やエア御用を信用しないのは、ここにある。
彼らは、今の原発が、上記の引用にあるように、多くの「嘘」の陰で、動かされていることを知っている。知っている上で、原発の再稼動に反対しない。彼らは、自分の「都合」に合わせて、気に入らないことを言わない。言わないことによって、原発再稼動に、自分が反対する立場に追込まれないように、注意深くふるまう。まさに、そういう意味で

  • 悪魔

である。

  • 地震の揺れの最大想定値が問題

『ただ、一部に姿勢を軟化させる兆しもある。審査で特に焦点になるのは各原発を襲う可能性のある地震の揺れの最大想定値だ。現在、この分野を担当する島崎邦彦委員長代理は地震学者の中でも特に厳格な姿勢で知られ、電力会社に次々と想定値の引き上げを迫った。』

島崎邦彦氏は311への反省から、学者として厳格に「地震の揺れの最大想定値」の引き上げを迫ったのですね。
地震の揺れの最大想定値の引き上げを行うと、コストが増えます。
先ほどの「工学的視点」はコストと効果を天秤にかける考え方で。最大想定値を可能な限り低くしようという判断ですね。
島崎邦彦氏の考えは「理学的視点」に立った判断だと言えます。

  • えっ、石渡明氏の専門は岩石などの分析なの?

地震予知連の会長なども務めた島崎氏に対し、後任の石渡氏の専門は岩石などの分析なので地震は専門外だ。このため、石渡氏は「(他の多くの)専門の方のご意見をよく聞いて判断するように努めていきたい」と述べた。島崎氏には「ほかの専門家の意見を聞こうとしない」という批判もあった。委員の交代で審査の進め方が変わる可能性も出ている。』

おいおいおいおいおいおいおい。
そりゃ、他の専門家の意見を聞かなくちゃね(苦笑)
なんでこの人が新人事なんだろう。
原子力規制員会 田中知・石渡明の問題点「専門は地震でなく岩石」などまとめ : 座間宮ガレイの世界

民主党政権のときには、まがりなりにも、原子力規制委員会には石渡明という地震学者がいたのだが、今はいなくなってしまった。ということは、今回、川内原発の稼動の継続を決めるときに、原子力規制委員会は、地震学者に聞かずに、勝手に彼らだけで

  • 止めなくて安全と判断した

というわけなのである。恐しいね、こんなシロート軍団に、原発を任せていいのかな?
原子力規制委員会は、今回の川内原発の稼動続行の決定において、地震学者の専門家の「判断」を仰いだのかどうかを確認する必要がある。判断を仰いでいないとなれば、完全に、地震のシロートだけで、

と判断したことになるわけだが、そもそも、今回の規制委員会の「説明」は、説明になっていなかった。川内原発下の断層の可能性の調査について、まったくふれられていないことからも分かるように、まったくロジカルな説明を行えていない。
こんなシロート集団に、クーデターされた状態で、また、自民党に選挙で勝たせて、今の規制委員会を続けさせるのか? 規制委員会は、今回の川内原発で、自分たちの無能ぶりを世間に知らしめてしまった。いかに、彼らシロートが危険な集団であるかを、はっきりと公衆の面前で示してしまった。
こんな連中に、いつまでも、今の場所にいられたら、私たちの命がいくつあっても足りない。
戦前の太平洋戦争に突入していった軍の幹部のように、まったく、なんの説得力のある説明もできていない。つまり、ロジックでもう、彼らは説明できないのだ。意味不明のことを、いつまでも言い続けるしかない。世界中が、あきれ返っている、ほとんど誰も理解できない。そういった、暴論を続ける彼らを、一体、どこのだれが、まともに相手をするのだろう...。

人はなぜ御用学者になるのか―地震と原発

人はなぜ御用学者になるのか―地震と原発