不思議な状況

それにしても、神奈川県相模原市で起きた障害者施設殺傷事件は、なぜ政府は早急に強い声明を出さないのだろうか?
あまりにも不気味である。
一体、何が起きているのか?
海外の大国は、この蛮行に対して、すぐに声明をだしている。ところが、日本政府は「調査する」と言ったきり、まったく、音沙汰なくなってしまっている。
あまりに「異常」である。
政府は何を考えているのだろうか?
海外の大国の政府が声明を出しているのは、この「ヘイト・クライム」に対して、断固たる姿勢を示すためであろう。つまりこれは、基本的人権を問題にしている。これに対して、日本政府がなんの応答もできていない状況を見ると、その異様さが際立つわけであるが、どうしてもそこに、私たちは近年の日本政府と日本会議の「ねんごろ」な関係の影響を考えないではいられない。
一方において、日本会議が「基本的人権」の否定を陰の政策目標としていることは周知の事実なわけで、これだけの死者を出しながら、なにも言えないという事実は、この状況くらいしか思いつかないわけである。
事件発生と共に、2月に、衆議院議長会館に加害者が訪れて手紙を渡していたことが、すでに、その手紙の内容と共に、報道されている。その手紙の中には、安倍首相の名前がでてくる。
相模原殺傷 衆院議長宛て手紙 全文
この手紙には、一つ看過できない記述がある。それは、犯行を行った後に、安倍首相に自分の罪を軽くしてくれ、というお願いをしていることである(頭が狂ったふりをするから、ほとんど無罪で、解放してくれ、と)。まず、政府であり、安倍首相は、この「主張」に対して、明確な意思表示をする必要があるんじゃないのか? 今のまま黙っているということは、まるで、この犯人の主張に逆らえない、政府側の事情、なんらかの「弱みを握られている」ということがあるんじゃないのか、といった邪推を誘発する。
例えば、今回の都知事選挙では、在特会桜井誠が立候補していたり、日本会議に深く関係しているとされてきた、小池百合子が立候補しているといったように、日本の基本的人権を考えたとき、非常に問題を含んでいるのではないかと思われる選挙戦になっている。
そもそも、なぜ桜井誠のような人間が立候補できるのか? 彼が在特会が行ってきたことを考えるなら、そう簡単に彼に被選挙権が与えられてはいけないわけであろう。事実、選挙期間の間に、非常に問題の多い「ヘイト・クライム」が行われたときに、一体、誰が責任をとれるのか。
明らかに、選挙制度がおかしくなっている。
こういった全体の「極右」が幅をきかしている状況が、日本中の「ネトウヨ」に非常に問題の多い「デンパ」を飛ばしている、という実態をもっと深刻に考えなければならないのではないか。
相模原の事件では、加害者は間違いなく、政府の「反人権」的な姿勢から、

  • 多くのメッセージ

を受信したわけであろう。その「メッセージ」の意味を、ネット上の「ネトウヨ」の議論の文脈から、彼は「障害者」には基本的人権がないんだ、という方向に解釈した。
まさに、近年の「ネトウヨ」の思考方法をトレースしている、と考えられる。
ネトウヨが言っていることは、「韓国人が日本で優遇されていて、自分たちが割をくっている」とか、「生活保護のような<無駄>な分野にお金が使われることで、自分たちが割をくっている」というヘイトであり、その延長で、「障害者」に攻撃の対象が向けられた。
しかしこれは、政府が「宣伝」してきたことではないのか? 例えば、生活保護に対する「水際作戦」と呼ばれる、事実上の追い返しのようなことがずっと問題にされてきたにもかかわらず、まったく解決されないのは、まったく同根の問題なんじゃないのか。

  • 日本にとって「役に立たない」、邪魔な人間は殺してもいい

というのは、実質的に日本政府が暗にほのめかしてきた政策なんじゃないのか?
例えば、地方に使うお金を減らして、都会だけに税金を注ごうという政策も、同じような意図から行われている。

の悪い人間は殺してもいい。日本政府にとって、役に立たない日本人は殺してもいい。こういったメッセージの延長に、今のネトウヨがあるんじゃないのか。つまりは、基本的人権を「否定」しているわけであろう。こういった「極右」に日本の政権の中枢は、すでに、何年もの間、クーデターされている、ということなのではないか...。