韓国財閥とリバタリアン独裁

ここのところ、雑誌「現代思想」では、加速主義についての議論が盛んである。しかし、そこで取り上げられる、ピーター・ティールや、ニック・ランドとは、言っていることだけを見れば、日本のネトウヨとも変わらないような、ヘイト・スピーチのオンパレードであり、まともな知識人として取り上げている連中を見ると、どうかしているんじゃないのか、としか思えないのだが。

たとえば、ティールのとある友人は学内の言論の自由の限界を検証するために、同性愛者の講師の自宅の前で「このホモ野郎! エイズになって死んじまえ!」と叫んだ。この友人はスタンフォードから追放されたが、ティールはこの事件を「魔女狩り」と主張した。
(木澤佐登志『ニック・ランドと新反動主義』)
ニック・ランドと新反動主義 現代世界を覆う〈ダーク〉な思想 (星海社新書)

彼らは、ノージックなどに大きな影響を受けて、リバタリアンを自称するわけだが、その内実は、もう一回

  • 反転

しての、

  • 独裁

をある意味で礼賛しているわけで、彼らの「国家にお金持ちの財産を没収されたくない」という執念が、結局のところ

  • リメンバー・白人男性至上主義

に、つまり、

  • 国家の独裁者が絶対に「白人男性」にしかなれない

という形にさえなっていてくれるなら、その「独裁」は

  • 同じ「白人男性」を優遇してくれる仲間による「支配」

という形に解釈され、つまりは、独裁者が自分たち白人男性を「優遇」してくれる、という意味で、ある種の、彼らにとっての

が「リバタリアン」でありながら、「独裁」を礼賛する、という形式になっているわけでw、まあ、なにをか言わんか、といったところだろうか。

ヤーヴィンに従えば、新官房学の下では、国家は企業のように運営されるべきであるとみなされる。まず国家は一人のCEOを投票によって選出する。選ばれたCEOには主権、つまり国家に対する一切の所有権が与えられる。すなわち、CEOは専制君主として振る舞う権利を持つ。ただし、ここでの支配者と被支配者の関係性は、CEOとシェアフォルダーの関係性とほぼ同義とみなされていることに注意しよう。つまり、CEO的な君主が相対するのは、国民というより自社の株主なのである。
CEOは自身が保有する国家=企業(gov-corp)の利潤を最大化するように努めなければならない。というのも、CEOが国家=企業の運営に失敗した場合、国民=シェアフォルダーはそのCEOが治める国家=企業に自由に移住していくだろうから。
(木澤佐登志『ニック・ランドと新反動主義』)
ニック・ランドと新反動主義 現代世界を覆う〈ダーク〉な思想 (星海社新書)

さらに、そうした加速主義の思想を拡散するために、ランドは二〇一二年に「暗黒啓蒙(ダーク・エンライトメント)」と題した文書をインターネット上で公開し、以来、「新反動主義(NRx)」(民主主義国家を解体して、君主のように全権を掌握した[白人男性]CEO率いる企業が小年国家群を支配するといった新封建主義的な未来社会像を思い描く、反動的な思想運動)との関係を強めている。
(水嶋一憲「転形期の未来」)
現代思想 2019年6月号 特集=加速主義 -資本主義の疾走、未来への〈脱出〉-

なんだ、右派加速主義は、結局、独裁礼賛なんか、と思われて、彼らの「反民主主義」という明確な特徴について考えたとき、しかし、私などは、少しもこの事態を馬鹿にできないんじゃないのか、と思わずにいられないわけだが。
というのは、日本について考えてみればいいわけで、そもそも日本に民主主義はあるのだろうか? 私は、かえすがえすも不思議なわけです。
もちろん、日本には国会があり、選挙があるわけで、形の上では、民主主義をやっているわけだけれど、しかし

  • 国家にとっての重大な選択

の場面においては、ことごとく、アメリカに逆らえなかった。
この典型的な例が、3・11において、民主党脱原発を与党の方針としようとしたとき、彼らは

  • アメリカにお伺いを立てに行った

わけだけれど、そこで「お叱り」を受けるわけだよねw 脱原発なんて、まかりならん、と。そりゃあ、日本の原発アメリカから買ってたわけで、アメリカにしてみれば、自分のお得意さんが今日からいらないです、って言ってもらっちゃあ、困るってわけなんでしょう。
日本で、菊池誠っていう物理の大学教授が、ニセ科学批判とかいって、正義の味方づらしているけど、じゃあ、アメリカの畜産業界において、狂牛病肉骨粉や、さまざまな抗生物質などが問題にならない。つまり、巨大資本で、完全にタブーになっているわけだけど、じゃあ、それを菊池誠とかが問題にしているかっていうと、そんな話聞いたことがない。ようするに、国立大学の教授って言っても、雇われ公務員なわけで、彼らは、国家や、アメリカの畜産大手のような大企業とケンカしてでも

  • 正義

を実現してやるなんて、一瞬たりとも考えたことなんかないんだよねw つまり、

  • 偽善者

なんだよね。偉そうに、ニセ科学批判とか言っているけど、大きいところは叩かない。弱い弱者ばっかり、袋叩きにする、科学者っていう学歴を使って、科学を、弱い者いじめの道具にして、それを「正義」と自称している、ゴミ屑なわけでしょう。
ところで、ここのところ、韓国の半導体産業という巨大資本の財閥が、日本の貿易規制で右往左往しているわけだけれど、これなんか見ていても、本当にこれは

  • 日本の意図

なのかな、と不思議に思わなくもないんだよね。だって、じゃあなぜ

はもっと、韓国の肩をもって「怒ら」ないんだろうね。

世界のビジネスマンは米政府の動きに注目しています。もし、日本の輸出管理の強化に米国が口を挟むなら、今回の事件は日本の暴走と見なされたでしょう。
しかし、米国は10日たっても動かない。そこで「日本は米国にお墨付きをもらっているのだな」と世界の関係者は見なし始めました。
北朝鮮への「横流し疑惑」で、韓国半導体産業の終わりの始まり(デイリー新潮) - Yahoo!ニュース

いや。もっと 直截に、

なんじゃねえの、って思うんですがw 日本はアメリカに言われて、やらされてるんじゃないんですかね。

鈴置: 安全保障の専門家にはそう見る人が多い。1980年代に圧倒的な強さを発揮した日本のメモリ
ーが一気に衰退し、韓国メーカーに市場を奪われたのを思い出して下さい。
米政府はありとあらゆる手を使って日本に圧力をかけました。日本は輸出価格を引き上げさせられたうえ、自国市場での外国製半導体のシェアを20%に引き上げる、といった約束を飲まされました。
米政府はこれにより日本メーカーのシェアを落としました。その隙を狙って韓国企業が急伸したのです。
北朝鮮への「横流し疑惑」で、韓国半導体産業の終わりの始まり(デイリー新潮) - Yahoo!ニュース

つまり、さ。アメリカは昔から、こんな感じなわけでしょう。80年代に日本の半導体産業を壊滅に追い込んだのは、アメリカだよ。そして、その時、その漁夫の利を得たのが、韓国だった。そして今、あまりに韓国はグローバル市場を独占してしまったから(韓国の財閥優遇が示しているように、極端な優遇政策をやりすぎた、というわけで)、今度はアメリカは自国の

  • 安全保障上

の理由から、韓国の半導体産業の極端な市場独占を制限しにきた。

鈴置: 先ほど言いましたように、DRAMは今、余っているのです。それにDRAMを作るのは韓国企業だけではありません。確かにサムスン電子が46%、SKハイニックスが26%と高い世界シェアを誇っています。
ただ、3位の米マイクロン・テクノロジーMicron Technology)も21%のシェアを持っています。主力の広島工場(広島県東広島市)の生産能力の増強に動いています。
6月11日に新工場棟の完成式典を開いて「サムスンを追い掛ける」と宣言しました。日経の「マイクロン、広島工場を1割拡張 次世代DRAM量産」(6月11日)が詳しく報じています。
もう1種類のメモリー、NAND型に関しても東芝メモリ・ホールディングスが2020年の稼働を目指し、岩手県北上市に新工場を建設中です。
日経産業新聞の「東芝メモリ、上場へ勝負手 売上高2兆円狙う」(6月25日)は、サムスン電子に真っ向勝負を挑む姿を描いています。
東芝メモリのNAND型の世界シェアは約20%。サムスン電子の約33%に続く2位です。なお、SKハイニックスは5位の11%前後です。
DRAMにしろNAND型にしろ、米・日の会社の供給能力が増す最中ですから、品不足で世界が困るなんてことはすぐには起きません。
北朝鮮への「横流し疑惑」で、韓国半導体産業の終わりの始まり(デイリー新潮) - Yahoo!ニュース

こんな感じで、半導体企業と言っても、アメリカにも日本にもあるわけでね。そういった

  • 利益

を考えれば、この最近の日本の韓国への規制の動きを

  • 自国の産業の振興

の観点から「これ幸い」と思わない話はない、ってことなのでしょう。
そしてさ。そもそも、この話って、けっこう前から噂されていた、っていうわけでしょう。じゃあ、なんで急に騒いでいるんですかね。

「6年前から徴用工補償問題で"征韓"論」と題された今回の東亜日報の記事では、安倍官邸において韓国への制裁措置の検討がなされていると6年前に週刊文春が報じていたにもかかわらず、韓国の企業も政府もその対応を怠ったと指摘している。
さらに、短期的に素材大国・日本の壁を超えることは難しいと嘆く半導体業界の声や、外交による解決しかないという学者の声を紹介。いわば韓国大手メディアによる"自国批判"とも言える内容だ。
日本の輸出規制に韓国大手メディアが“自国批判”報道「6年前に週刊文春が予告していた」 | 文春オンライン

つまりさ。韓国の財閥企業は、きっと、この問題について、かなりの圧力で、韓国政府にロビーイングしていたはずなんだよね。もしかしたら、韓国の前の政権が、従軍慰安婦の件で日本と「和解」をした経緯も、韓国の財閥が、日本の強硬策を避けてもらうために、韓国政府に

  • 妥協

をさせてた、と考えることはできないか。
ところが、である。
韓国の新しくできた左翼政権は、日本は自分たちの政権の人気浮上策として

  • 利用

することしか考えていないわけで、絶対に日本に妥協することは、国民の人気取りのためには絶対にできない選択肢だった。
しかし、それでは、韓国の財閥は自分たちの「生存」であり「存続」が脅かされている、ということにいい加減考えずにいられなくなってきた、ということなのだろう。
今後、どんな展開が考えられるだろう?
韓国の財閥は、あまりに自国の今の左翼政権が、自分たちの意向を無視し、逆らっているとなると、なんらかの形での

  • クーデター

のような方法で、韓国政権を退陣に追い込むような、国のトップの頭のすげかえを、かなり脅迫的に行ってくるのかもしれない。いや、そういった方向にあまり、現実性を感じられないと考えるなら、ひとまずは、次の選挙であり、大統領の任期までは我慢する、といった方向になるのか...。