新型コロナと「喫煙」

ここのところ、長尾クリニックの院長が、二類から五類にすれば、「全て」が解決する、とテレビで語って話題になっている。
このロジックのポイントは、五類にすると同時に、全患者に「イベルメクチン」を投与する、という形になっている。
このイベルメクチンについては、さまざまな毀誉褒貶がなされていて、とりあえず、今現在ということでは、治験がなされている、という状態だ、ということになる。
ところが、大事なポイントとして、国は新型コロナの患者にイベルメクチンを投与することに

  • 保険適用

する、と言っているわけである。つまり、そう考えると、投与するかどうかは、あとは

  • 今、国内にどれだけの在庫があるか?

だけが、ボトルネックだ、ということになる。というのは、イベルメクチンの特徴は、他の病気のために開発されたものであるが、「安い」ことと「副作用」が少ない、ことが知られているわけである。
考えてみてほしい。「安い」「副作用が少ない」のであれば、

  • 試しに使ってみてほしい

と思うのは人情ではないか? つまり、使わない理由がないわけである。そもそも、新型コロナに対して、ほとんど治療方法がない、と言われている現状で、たとえ効果が最終的になかったとしても、安くて副作用がほぼないことが知られているなら、試しておきたいと思うのは人情ではないか?
まあ、ここに陰謀論くさい話がからんでくるわけだ。あまりにも安く、ジェネリック薬品も多くて、「製薬会社に儲けのうまみがない」となれば、彼らは、そこまで真面目に治験をやらないだろう。なぜなら、その一方では、高い薬の開発をやっているわけだから。
また、このイベルメクチンの治験については、いろいろと「検査不正」が行われていた、といった告発のニュースが世界的に有名になっていたりすることもあるわけだが(まあ、これも陰謀論を主張する勢力なら、わざと、やったんだろう、みたいな推論になるのかもしれないがw)、いずれにいろ、政府が保険適用を認めているんだから、部外者がどうこう言うことではないのかもしれない。
ここで私がとりあげたかった話題は、イベルメクチンではなく、上記の長尾先生がブログでふれている、以下の件だ。

7)この期に及んでもタバコが一番のハイリスクであることを隠蔽している
喫煙がコロナ感染と重症化の最大リスクです。現場の人間はみんな知っています。発熱外来の半数は喫煙者です。しかしJTは財務省のオイシイ天下り先です。だから為政者はこの重大かつ単純明快な事実を隠蔽しています。しかしその罪は極めて重いと思います。
https://t.co/wuO3H4ayw9?amp=1&s=09

これさ。どうなっているんだろう?
例えば、以下の国立感染症研究所の記事を見てほしい。

新型コロナウイルスワクチンの接種優先順位と副反応について

まず、第一章「新型コロナウイルス感染症の発生動向と重症化リスク」では、どういう人にリスクがあるのかを書いてあり、第二章「新型コロナウイルスワクチンの接種優先順位」では、それを受けて、日本政府が

  • 誰を優先的にワクチン接種を行っているか?

を書いてある。ここで、驚くべきことに、前者には「喫煙」が書いてあるのに、なぜか後者には「喫煙者」についての記載がないことである。
どういうこと?

米疾病予防管理センター(CDC)は、ワクチン接種の優先順位のガイドラインで65歳以下でも喫煙者は重症化する危険が大きいと判断し、早期にワクチンを接種するよう勧告している。
米、教師より喫煙者にワクチン優先接種で論議 : 東亜日報

いや、さ。明らかに、今の日本の政策の「失敗」なんじゃないか?
今問題となっているのは、40歳台〜50歳台のワクチン接種を急ぐことであり、この世代のワクチンが間に合っていないからこそ、この世代の重症化や中等症が問題になっているわけであろう。それで、上記にあるように、

  • 半数が喫煙者(喫煙経験者)

だとするなら、なんでこのカテゴリーに「優先」して、ワクチン接種を急がなかった?
明らかに、高齢者と基礎疾患の人へのワクチン接種を優先してきて、日本の対策は

  • 一定の成果

を上げていることは明らかであろう(高齢者が優先で接種していったことは当然として、基礎疾患の人は、高齢まで行かない働きざかりの人で、多少、ワクチンが高齢者に比べると遅くなっているわけだけど、そもそも彼らは、通院者なわけで、非常に「気をつけて毎日を送っている人」なわけね。だから、そこまで心配はない、と言うこともできるわけ)。だとするなら、なぜ「喫煙者」への優先が、その対策から漏れてしまったw
つまり、今の重症者の増大の、最大の「失策」は、国の「喫煙者」「喫煙経験者」に、

  • なぜか

まったく、なんの「対策」もやってこなかった、という

  • 謎(なぞ)

に尽きている、と言えるのではないか。
これさ。逆に言うと、いかに米CDCが「科学をやって」いて、日本はやっていないか、ってことなんだよね。日本の政策決定者たちは、

  • 科学者じゃない

から、自分が「矛盾」したことをやっていても、なんの不思議にも思わない人たちなんだよね。つまり、そういう厳しい追求を受ける場面に出てこない。マスコミも、全然厳しく追求しない。人の命がかかっているのに、ね。
今、欧米の先進国は、この冬に向けて、3回目のワクチン接種(ブースター)のための、

  • ワクチン確保

の競争に入っている。おろらく、これに日本は負けるだろう。これから、全然ワクチン接種は普及しない。そう考えるなら、

  • 誰を優先するのか?

という、賢い「優先度の選定」が、決定的に日本の被害の大きさに影響すると考えられるわけだが、なぜか、この観点からの発言を行う人が、まったくと言っていいほど現れない。
なんなんだろうね...。