ウクライナにおけるロシア語

ウクライナが、オレンジ革命以降、国内でのロシア語の使用にさまざまに「制限」をかけてきたことは知られている。しかし、それがどういうものなのかは、あまり情報が伝わっておらず、日本から見ていると、よく分からない印象がある。
これが問題なのは、言うまでもなく、ウクライナ国内でロシア語を主に話している人が

  • 地域によっては

たくさんいるからだ。つまり、ウクライナ東部の地域である。欧米メディアが批判し続けているクリミア侵攻のクリミア地区は、主にロシア語を話している人が9割の地域であり、現在、問題となっているドンバス地方は7割くらいだ。
つまり、もしもこのウクライナの親欧米政権が、ウクライナ内におけるロシア語の使用にさまざまな「制限」を始めるなら、こういった地域が

  • 独立

したいと思うのは自然ではないだろうか?
自分のこととして考えてみてもらいたい。ある日、日本は中国に占領された、としよう。そして、ある日を境にして、

  • 日本の住民は今日から、日本語の使用を「制限」します

と言われたら、どう思います? あなたは、今日から、さまざまな場面で「日本語の使用が制限されます」となったら、それでも平気ですか?
なぜ、こういった問題を、今回のウクライナ戦争と平行して考えないのだろう、と思うわけである。

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まあ、いろいろ書いてあるけど、2012年に当時の親ロシア政権が、東部でのロシア語の公用語化を決めたし、実質、ウクライナ国内でロシア語は「第二言語」として使われていたけれど、親欧米政権になって、さまざまに「制限」を始めた。
つまり、

  • 公用語としての扱いの禁止(公文書、免許証、パスポート、交通標識、公教育)
  • ロシア語での広告の禁止

といったところでしょうか(つまり、ロシア語を話すことを禁止しているということではなく、将来世代を通して、ロシア語を国から「排除」していこう、という政策ですよね。まあ、ロシア語にアイデンティティをもっている住民は自分が捨てられたように思って、恐しいんじゃないかな。選択科目としてのロシアだけ語が残る、といった感じ。あと気になるのが、ウクライナ語を話せないロシアけいの人が就職差別をされるんじやないか。少なくとも、公職からは追放されそうには思いますよね。国内での第二国民化と言わざるをえないように思われる)。
うーん...。
なんで、こんなことになっちゃうんだろうね。
孫崎さんも言っているけど、カナダなんかはケベック州という形で、フランス語圏の権利を守ってますよね。同じようにできないんですかね。
これ、さ。親欧米政権と親ロシア政権が次々と変わるたびに、この政策も次々と変わる、ってことになるわけですよね。
そして、なぜ今回のウクライナ戦争においても、ウクライナによるロシアへの「反撃」という話になっていかないかというと、そもそも

から、そういう人たちへの「迫害」という形で、内政の中で、「ロシアとの戦争が閉じている」わけね。もっと言えば、親欧米政権ができてから、国内で、ロシア系の人が「迫害」されてきた。それは、さまざまに言われている、ネオナチのアゾフ大隊による、ロシア系住民に対する、直接の暴力に始まって、政権そのものが、さまざまに「いじめ」を黙認してきた実態がある。日本国内における、在日韓国人の方々が肩身の狭い思いをしながら生きてきたのに似ていますよね。
いずれにしろ、こういった

  • 対立

が、まったく解決の見込みもないまま、今回の戦争にまで至ってしまった、ということなわけだ。だから、今回のロシアの侵攻も、あまりその「暴力」を非難するというだけで考えるのではなく、

  • もし自分が、ある日、日本語の使用を制限されたら

という形で、そんなこをされて、耐えられることなのか、といった形で、想像してみることから考えるのも大切なんじゃないだろうか...。