クリミアの水不足

うーん。日本のウクライナ戦争の報道は、そもそも、現在のこの地域の状況、この地域で何が起こっているのかを説明するものになっていない。はっきり言ってしまえば、アメリカであり、ウクライナが「言いたい」ことを、そのまま、たれ流している状態なわけで、まあ、霞が関番記者が官僚のレクチャーをたれ流しているのと変わらないわけだ。
早い話、この地域には、ウクライナ戦争が始まる前から、さまざまな萌芽があった。しかし、その話をし始めると

  • それは誰が悪いのか?

の議論を始めなければならなくなるわけで、そうすると、今度は今、今回の戦争は「ロシアが悪い」で欧米のマスコミはコンセンサスがとれているわけだからw、今さらその話は「できない」となっていて、一切のそういった情報は報道しない、ということになっているのだろう。
その一つに、クリミアの水不足の話がある。

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2014年のクリミア侵攻から、住民投票が行われ、ロシア側はこの地域を「クリミア共和国」としてロシア連邦編入したが、ウクライナであり、欧米各国はこれを認めていない。つまり、ロシア以外の世界地図では、この地域は「クリミア自治共和国」として、あいかわらず、ウクライナの領土となっている。
まず、欧米各国が問題にしているのは、この住民投票の正当性であり、かなり軍事的な威圧があった状態だからなど、いろいろと理由をあげている。しかし、いずれにしろ、この地域がロシア語を母語とする人がほとんどということもあり、その当時の一定の民意はあった、というのがロシア側の主張だ。
しかし、である。
ということはどういうことかというと、この地域は今もって、ウクライナ内では「内戦」と同じ扱いだ、ということになる。つまり、さまざまな「制裁」をウクライナ政府は、この地域に対して行っている。その一つが上記の引用でもあるように、

  • 運河の閉鎖

だ。この地域はウクライナ内からの運河で水が供給されていたが、ウクライナは「自分たちに敵対するなら水をやらない」ということで、運河の水を堰き止めた。
では、なぜ2014年に起きたのに、今ごろになってこれが問題になったのかであるが、まあそれまでは、比較的に雨も降り、貯水場の水が干上がらなかったから、ということになる。
しかし、いずれにしろウクライナが運河を閉鎖するという政策を行っている限り、いずれはジリ貧になることは分かっていたと思うわけだが、ロシア側はそれへの対応を怠っていた、と言わざるをえないだろう。
そういった負い目もあるのか、ロシア側はあまりこの問題を多く語らない。しかし、ある程度は今回のウクライナ戦争の理由の一つとはなっているだろうと言われている。

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私が違和感をもつのは、たとえウクライナが「内戦」だったとしても、運河を止める、というのは、そこまでやるのか、という印象は受ける。そりゃあ、飢えて死ぬかもしれないし、農業はできなくなるし、もう少し、国際社会も「人道的」な「落とし所」を探れないのか、とは思うわけだ。
プーチンは、インタビューを読んでいても、分かりやすいナショナリストですよね。だから、国民への不利益が発生することに対しては、かなり敏感になっている。このクリミアの水不足の状況を考えれば、少なくとも、ウクライナの東部や南部くらいまでなら、ロシア軍の侵攻は近いうちにあったんじゃないか、と言う人もいた。だからといって、キエフにまで迫る、ここまでの軍事侵攻を予想していた人は少なかったようだが...。