安倍晋三の死

昨日の元首相の安倍晋三が、奈良県での選挙の応援演説の辻立ちで、銃殺されたことは国内を問わず世界中に影響を与えている。
その一つの特徴は、まず、国内においては、与野党を問わず、怒りと故人の死に対する悲しみを同様に表明していることで、海外においては、ほぼ彼と関わりのある各国のトップが同様の表明をしていることだ。
そのことが意味しているのは、彼らが同じ

  • 政治家

という「カテゴリー」にくくられる存在であることを自覚していることだろう。つまり、彼ら「政治家」はこの

  • 運命

を、ある意味で宿命づけられている。つまり、人類はまだ、この「テロ」との戦いに勝利していなし、勝つ方法を発明していない、ということにある。バイデンもトランプもプーチンもゼレンスキーも、みんな

  • 暗殺の可能性

を常にはらんだ「存在」としてあることを「自覚」しているがゆえに、まさにそうなった安倍を「同じ<政治家>として」無視できないわけである。
今までのところ、この犯人の「銃の取得方法」「動機」については少しずつ報道(警察のリーク)がされているが、警察にしても、マスコミにしても、

  • 日曜の選挙

への影響を考えて、あまり「飛ばした」憶測を書けない、という形で選挙が終わるまで、重要な情報の公表を自粛してくる可能性がある。
ただ、そういった問題を抜きにして、そもそも、こういった重要な政治家の「暗殺」については、日本の明治以降の

  • 議会政治

においては、ずっとつきまとわれてきた問題だったわけで、どうしても、その「比較」を抜きに考えることはできない。
戦前から戦中において、重要な政治家の暗殺は、515や226だけでなく、

  • 軍人
  • 極右思想家

によって行われてきた。そして、大事なポイントは、それが多くの場合、

  • 必ずしも個人による単独犯行ではなかった

ことだ。なんらかの「政治思想」を背景としている集団が、暴走し、しかも、「それ」がそれ以降の政治の方向に大きな影響を与えて、そのまま敗戦にまでつき進んでいくことになった。
これは、戦後の政治家への暴力事件でも同様だと言える。ただ、戦後のこういった事件の特徴は、例えば、金丸信への事件にしても、なんらかの極右団体による「恫喝」があったとき、多くの場合、その個人の殺害にまで至らなかった、わけである。なぜなら、そういった「団体」であるなら、目的はその政治家を「脅す」ことによって、その政治家の行動を「自粛」させることが目的だからだ。その極右団体は、ある「目的」のある団体だから、もしもその政治家を脅すことで、その政治家が自粛したために、その極右団体の「目的」が達成するなら、それ以上の行動につなげる動機がなくなるわけである。
そう考えたとき、今回の事件は、安倍の「死」まで至っている、ということが、

において、一つの特徴となっているわけである。
そもそも安倍元首相は、さまざまに問題のある首相として国民から批判されてきた人物だった。それは、今さら言うまでもないわけで、彼は、かなり自覚的に国民から嫌われていることを自覚していたわけだ。そういった中で、彼を支えていたのが、

  • 富裕層優遇
  • アメリカ政府の意向に従順に振る舞う

だったわけだ。なぜ、アベノミクスという金融緩和をやりながら、最も重要な場面で二度も消費税増税をやったのかといえば、彼が最初から、日本の貧困層に一度だって共感したことがないからだろう。彼は、富裕層しか相手にしていないし、そのための政治しかしたことがない。あと、常にアメリカの「意向」にまっさきに従うことで、アメリカというバックの力を使って国内のパワーポリティクスを支配してきた。
おそらく、安倍は国民の前に出ることを極端に恐れていたのではないか。つまり、安倍が国民の前に出ることは、ほとんどなかった。その唯一の例外が

  • 選挙の辻立ち

だった。つまり、彼がもしもテロの対象になるとしたら、ここしかなかったのかもしれない。
犯人の犯行は、二発ともあてているわけで、どう考えても素人の犯行ではない。今でている情報では、10年以上前に数年、自衛隊員だったというわけで、おそらく、この間のトレーニングが、この品質に関係している。
あと、すでにツイッターなどでは、犯人が恨みをもっていた宗教団体として、統一教会との関係がでているが、安倍と統一教会の関係はずっと言われ続けていたわけで、おそらくはこの

  • 宗教団体への恨み

の延長の犯罪として、動機が整理されていくことになるのだろう...。

追記:
今更言うまでもないが、勝共連合頃から、自民党であり安倍のおじいちゃんの岸信介統一教会と深い関わりがあったわけだが、自民党が急速に国内の宗教団体との関係を深めたのは、自民党が野党の頃で、安倍はその時に、かなり自覚的に、選挙に勝つ目的のために、多くの宗教団体と関係を深めた。その中の一つに日本会議があっただけで、それ以降、そういった宗教団体との関係を、一度も精算できないでいることが最大の日本政治の脆弱性だと言ってもいい。