選挙活動を止めてしまった保守系の立候補者たち

安倍元総理が銃殺されたことで、各党のかなりの立候補者が選挙活動を止めてしまった。もちろん、金曜は止めたとして、残りは土曜しかないのだから、大きな影響はない、と考えているのかもしれない。
しかし、それだけなのだろうか?

「母はある宗教団体に所属していて、山上容疑者もその影響を受けて会員となりましたが、ほどなくして脱会。その後、山上容疑者は母の宗教団体の分派の団体に所属していたようですが、母が所属する団体を恨んで対立が生まれたようです。母が所属していた団体は安倍元首相ともつながりが濃いとされる団体で、それを理由に安倍首相を敵視するようになった可能性があります。
実際、山上容疑者は調べに対し、『政治信条への恨みではない』と話しつつ、『特定の団体に恨みがあり、安倍元首相と団体がつながっていると思い込んで犯行に及んだ』『そのせいで家族がバラバラになった』などと犯行の動機を説明しているようです」(捜査関係者)
bunshun.jp

安倍晋三元首相(67)が奈良市内で参院選の街頭演説中に銃撃されて死亡した事件で、殺人未遂容疑で逮捕された元海上自衛官の山上徹也容疑者(41)が「特定の宗教団体トップを襲う計画を立てたがうまくいかず、狙いを安倍氏に切り替えた」と供述していることが捜査関係者への取材で明らかになった。このトップへの接触が難しかったという情報がある。
山上容疑者は「母親がこの団体にのめり込んで破産した。安倍氏が団体を国内で広めたと思い込んでいた」と説明していることも判明。奈良県警は団体に対する恨みが安倍氏への一方的な強い殺意につながった疑いがあるとみている。
捜査関係者によると、山上容疑者は、団体に入信した母親が多額の金をつぎ込んだ影響で家庭が崩壊したとして、この団体を国内に広めたのが安倍氏だとする持論を展開。「安倍氏も恨むようになって殺すつもりだった。安倍氏の政治信条に対する恨みではない」と供述しているという。
県警は山上容疑者の家族と団体とのトラブルの有無も慎重に調べている。
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最初の引用が文春のWEB記事だが、山上容疑者が「分派の団体」に所属していたが、「対立」するようになった、という記述がある。ネットでは、その団体がサンクチュアリではないか、と言われている。
そうすると、ある一面としては、安倍元首相は、統一教会の「宗派争い」にまきこまれて亡くなった、という側面もあるのかもしれない。
大事なことは、

  • 日本中にいる、たくさんの家族が、統一教会を含めた、多くの宗教団体に生活を破壊された

ということを、その当事者は「恨んでいる」ということである。そうして、そういった人々の間で、その「恨み」に起因した、党派争いが起きているし、そのが時々、社会に現れて事件となる、ということだ。
ネットでは、「安倍は統一教会と関係ないのに、左翼がそう言いつのってきたから、こんなことになったんだ」と、なんとしてでも左翼を批判しないと気がすまない連中が吹き上がっているが、おもしろいくらいに

  • 当事者

である、自民党や安倍周辺から、そんな話は聞こえてこないw
つまり、そんなに単純じゃないことが彼らは分かっているからである。自民党が野党に下野したとき、安倍は自民党をもう一度、政権与党にするために、さまざまな勢力に声をかけた。もちろん、そこには、ヤクザ的な人たちもいただろう。しかし、一番目立ったのが、

  • 非常にたくさんの宗教団体

だった。とにかく、選挙活動を行う場合の、人的リソース、活動メンバーの収集に圧倒的な力を発揮したのが、宗教団体だった。
確かに、安倍はこれによって、自民党を政権与党に復帰させることができた。しかし、そのための「負債」は大きかったと言わざるをえないだろう。これ以降、自民党は、ことあるごとに、そういった宗教団体の「おうかがい」とたてなければ、なに一つとして政策を実行できない政党になった。
しかも、である。
自民党の政治家が、そういった「宗教勢力」に選挙で勝つために、「頼る」ようになってしまったわけだ。つまり、安倍は「きっかけ」でしかなかった。自民党の立候補者たちは、「こうやれば勝てる」ということに、味を占めてしまったために、この「麻薬」から足を洗うことができなくなってしまったのだ。
しかし、考えてみれば、政治家がそう簡単に宗教団体に「すりよる」ことは大きなリスクだと言わざるをえないだろう。
なぜなら、多くの新興の宗教団体は、自らの団体の拡大期において、

  • 高額の壺を売るなどの、犯罪行為を行ってきた

からだ。そして、多くの信者や、その家族は、そうやって「破産」をさせられていったことに大きな「恨み」をもっている。
こう考えたとき、もしも政治家が、そういった宗教団体にすりより、彼らに「弱み」を握られるということは、

  • こういった「犯罪行為」を取締る警察に介入して、手心を加えさせようとしている

と考えられるわけだ。
当たり前だが、「政教分離」は近代国家において、最も重要な基礎である。政治家が宗教に「牛耳られ」たとき、何が起きるのかは、こういった所において、説明されてきたわけだ。
今では当たり前の常識になっているが、安倍が首相のとき、警察庁の長官から、最高裁判所の裁判官から、その

  • 人事

に介入してきたことを知らない人は誰もいない。そう考えたとき、上記のように、

において、その分派にとって、統一教会の教祖がテロのターゲットだったとして、安倍はその

  • 二番目

くらいの地位に見えただろう。つまり、それだけ「政治家」が行う

は、簡単には無視できないくらいの巨大な影響力をもった存在として受け取られる、ということなのだ。
なぜ、今回の選挙の保守系の立候補者が、選挙活動を再開できないかといえば、

  • 自分も少なからず、多くの宗教団体に依存しているから、今度は自分がターゲットになっても少しも不思議じゃないから
  • 保守系の政治家とは、そもそも「金持ち優遇」の政策を隠し持っていて、貧乏人を馬鹿にしていて、彼らへ福祉をゼロにすることを「使命」だと思っている連中だから、彼らが口を開けば、多くの貧乏な国民から「恨まれる」ことが分かっているわけである。つまり、自分はいつ、誰から刺されても「不思議じゃない」という自覚があるから、いざ、こういった事件が起きると、もう、何一つとしてやることができなくなる

というわけだ。前者については、どんなに苦しくても「政教分離」を考えたら、宗教団体に頼っては「いけない」という当たり前の常識に帰ればいいだけだしw、後者については、分かったから、貧しい国民のためを思って政治をやれ、の一言で終わっちゃうわけだけど。
結局、おかしいのは「二世議員」だとも言えるわけだ。なんで、二世で政治家なんかをやっているのかといえば、

  • 日本では、政治家は「相続税」が安い

から、なわけでしょ。つまり、「差別」が行われている。国民は平等なはずなのに、なぜ、政治家家族だけは特権階級として扱われるのかといえば、民主主義を真面目に、誰もやろうとしていないから、なわけね。
政治家を、なんらかの特権や才能に特化させた時点で、その国の民主主義は終わるわけである。なぜなら、それでは

が機能しないから、だ...。

追記(2022/07/11):
サンクチュアリ協会が公式に自分たちとの関わりを否定する文章をHPにアップしたわけだが、この文章が奇妙で、「山上容疑者の世界平和統一家庭連合の分派への所属を当サンクチュアリ協会と決めつけていますが」と言っているわけだけど、

  • 今のところ、サンクチュアリの名前を出しているのは、ツイッターでの憶測くらいで、これを中心に報道しているマスコミはないんじゃないか。
  • この声明文では山上が「分派への所属」をしていたんじゃないか、と報道されたこと自体にはコメントしていない。

という奇妙な文章となっている。そうやって読むと、おそらく一番の目的は「報道の自粛」を要求することで、裁判などをちらつかせて、あまり自分たちが世間から目立つようにするな、と言いたいのだろう。
いずれにしろ、この選挙を通して当日までも、警察だけでなく、大手マスコミが意地でも「統一教会」の名前だけは出さないという「執念」はすごいな、と思わざるをえない。つまり、警察もマスコミも、

  • 安倍元首相が、そんな「カルト宗教」と深く関わっていた

ということだけで、自民党への「選挙に影響がでる」ということが分かっているから、とにかく、

  • 自分が最初

にだけはなりたくない、という「執念」だよね。一国の元首相が亡くなってでも、「統一教会」の一言だけは言いたくない、ってわけだ。
とはいっても、容疑者の周辺を取材すれば、いくらでも状況証拠はでてくるわけでね。取材をしないわけにはいかないし、ひとまず、選挙が終わった後に、少しずつ報道の方はでてくるのだろう。