サッカーがグローバルなスポーツとして認知されるようになったことで、一つ変わったことがある。それは、
- ファンタジスタの消滅
- フリーキッカーの消滅
だ。正確に言うと、
- 国際組織
が行った、「ルール決定」が、ある意味で、こういった方向、つまり、
- サッカーを「つまらなくする」
方向に変えてしまった、と言っていいと思う。
ファンタジスタの消滅は、2000年代後半からの、特にプロフェッショナルなサッカーで見られるようになった「戦術」の普及が、いわば、こういった方向にサッカーを変えてしまった。
サッカーは、なんのために行うのか? これに対して、「勝つ」ためと答える人は、いわば、、
にはまっている。あるチームが勝つことは、別のチームが負けることで、シンメトリーな関係にある。サッカー界全体を考える立場の人からすれば、どこが勝とうが、たいした問題じゃない(そこに、利益相反があれば、この価値観が失われ、業界は衰退するだろう)。考えるべきは、なにか。まずは、
- サッカーでマネタイズする
- サッカーで人々を魅き付ける
ということだろう。そうした場合、
- サッカー選手に「どういったプレー」を選択してもらうか?
は、本当は重要なはずなのだ。しかし、その選択、つまり、「ファンタジスタ優遇」は、本来はルールによって実現するしかない。そうなっていないとすれば、そういったプレーは「淘汰」され、誰もやらなくなる。
今のサッカーの特徴は、
- 中盤が「ラフプレーの無法地帯」
となっていることだ。つまり、中盤で反則をやっても、どうせ、軽いキップしか切られないので、やった方が得なのだ。しかし、選手が怪我をして、一生を棒にふるのは、この中盤での怪我だ。そもそも、FIFAはプレーの迅速化を考え、中盤での反則を、できるだけとらないで、プレーの続行を促してきた。これによって、中盤で、服をひっぱったり、悪質な足を蹴る行為が日常化することになる。
対して、ゴール前は、極端に違っている。ペナルティエリア内の、ゴール前での反則は、得点に直接、つながるということで、全てがVARでチェックされることになった。これによって、ゴール前でプレーをすることが、試合の勝敗につながることになった。実際に、ペナルティエリア内での「ハンド」でPKを与えられての得点が、このVARの導入によって、非常に増えている。
このことは、サッカー選手のモチベーションから、フリーキッカーとなることの魅力がなくなった。ペナルティエリア外のファールが、上記の理由で
- 減って
いて、ペナルティエリア内のファールが多くなっているわけだから、そもそも、フリーキックが与えられる機会が減ってしまっているわけで、だったら、そんな練習をすること自体が「コスパ」が悪いわけだ。
こうやって見てくると、サッカーはより「つまらない」スポーツに、FIFAによって変えられようとしているようにも思われる。そもそも、今のFIFAに、上記が問題だと考えるモチベーションがない。こうした場合、どうしたらいいのだろうか? 一つの方法は、
- もう一つ、国際組織を作って、そちらではこの二つが増えるようなサッカーのルール変更を模索する
ということだろう。しかし、FIFAがこちらに興味がないのには理由がある。それは、
- テレビなどのコンテンツとしての適合性
をより高めようとしてきた結果だ、ということだ。なんとかして、時間内で試合を終わらせることで、コンテンツとして売りやすくしよう(これによって、PKという、今では誰も求めていない決着のつけかたが広がってしまった)など...。