ホロライブという会社の戦略

ホロライブのVTuberの兎田ぺこらが、最近、世界中での女性youtuberの配信の視聴者数で「世界一」になったことが話題になっていた。まあ、これがどれくらいのことなのかはともかく、確かに、ホロライブの配信者が、以前から、このランキングに登場している数が多いことは気になるだろう(まあ、あらゆる分野で、日本人が世界基準でトップ争いをしている分野は、ほんとうになくなったからねw)。
ただ、実際の兎田ぺこらの配信を見ている人には分かることだが、彼女の配信の内容は、ほとんど変わっていない。あいかわらず、日本人向けのコンテンツだし、そもそも上記の視聴者数だって、大半は日本人だ。
(兎田ぺこらの配信の特徴はなんだろう。ちょっと細かいことで言えば、ゲーム配信で文字だけの情報をけっこう、音読してくれるところだったりするのかもしれない(おそらくそれは、彼女が「そこまで頭がよくないから」、黙読が得意じゃないから、というのも関係していたのだろう)。まあ、そんなことをやっているから、いっつも喉が悪くなっているわけだが。)
ただ、ここで少し気になっていることは、そもそも、ホロライブという会社がこのVTuber市場に参入してきたとき、どういった企業コンセプトだったのだろう、ということだ。
まず、「アイドル」と極端に強調している。そして、今では、テレビなどの案件も来るようになっている。しかし、よく比較される「にじさんじ」とは、どう考えても、さまざまな点で違っている。
まず、ホロライブの女性配信者は、ほとんど、男性が視聴者以外に登場しない。そもそも、ホロライブ内の男性配信者とすら交流が公の場で、ほとんどない。
おそらく、こういった戦略は、3次元の「アイドル」が、男性との交際を「禁止」する(まあ、公にしないくらいの意味で、陰ではやっているのだろうが)といったようなことが昔から言われている通例に習っている側面はあるのだろう。
そして、もう一つ奇妙というか、よく分からないのが、

  • 一時期、いわゆる「陰キャ」と世間で呼ばれるような女性配信者を積極的に採用した

ことだろう。なんというか、ホロライブの女性配信者は、どこか

  • 素人(しろうと)くささ

が強烈なわけである。おそらく、「黎明期」の混乱が関係していたのかもしれないが、湊あくあ、紫咲シオン、兎田ぺこらといったところが、まあ、代表だろうか。
(ただ、兎田ぺこらは自分を「陰キャ」と呼ばれることを否定している。なぜなら、「親しくなった、ホロメンだったりとは普通に会話ができる」から、と言っているわけで、おそらく、世界一位にもなって、会社の稼ぎ頭になっている、みたいな、妙な自覚、責任感みたいなものがそう言わせているのだろうw)
対してどうだろう。にじさんじで、そういった人がいたか。魔界ノりりむはそうだが、彼女は最近、にじさんじに入ったんじゃなかったっけ。というか、そもそも、にじさんじは男性と女性の区別がなく交流しているし、配信者の人数が桁違いに多い。そして、ほぼ全員が「陽キャ」と言っていいのかは分からないが、いわゆる

  • 社会人として(サラリーマンとして?)普通に「一般採用」されたような人

が多い印象を受ける。なんというか、あえて「普通の人」をそろえている。
ただ、上記では「極端」な例を考えたのかもしれないが、そもそも、ホロライブの女性配信者も「そういった人」ばかりが採用されてきたわけじゃない。まったく、サブカルに興味がないというか、生まれてから、ほとんどそういったものと関わることなく生きてきた人もいれば、いろいろだ。
ただ、全体的に多い傾向としては、

  • 兄弟で兄がいる人が多い

印象だろうか。おそらく、こういったことは面接で聞かれるのだろう。ホロライブがメインで相手にしている視聴者は男性だから、男性向けのコンテンツに「アレルギー」のない人が採用される傾向があのだろう。
あと、こうやって、採用基準が紆余曲折してきた経緯には、「ネット配信」の位置付けがいろいろ変わってきた、というのもあるのだろう。以前はほとんどが深夜配信をやっていた。つまり、一部の採用は、そういった「ネットでの男性向けゲーム配信」に親和性がある人が優先された時期もあった、ということなのだろう。そして、そういった関係で、そういった「コミュ障」であっても、採用される場合があった、と。
ただ、ホロライブはもう2年近くなるが、前回のホロックス以降、新たな大型採用をしていない(海外はよく知らないが)。そして、ホロックスは正直、(努力はしているんだろうが)あまり、他と際だって個性的な魅力が出せているかというと、あまり、そういうようには見えない。
言ってしまえば、ホロックスは、にじさんじ型の「サラリーマン」タイプを揃えてしまった、という印象がある。そもそもが、「ホロライブの視聴者」だった女性ばかりで、常識人で、まさに「サラリーマン」としては優秀、といった感じの平均的な人材がそろってしまった(唯一の例外として、ラプラス・ダークネスを挙げてもいいが、私は彼女に、いい印象をもっていない。彼女は、完全に「消費者」目線の「おたく」であって、人から見られて価値のある存在ではない ちょっと痛々しいわけで、長く続けるには、相当な路線変更なり、努力が必要なのだろう)。
おそらく、そういった「常識人」の人材の方が、

  • 会社としての「マネージメント」

は、しやすいわけだw しかし、そもそもそれを視聴者に見せて、なにがやりたいのか、ということになってくる。
そういった視点で考えると、そもそも、ネットの配信者で「コミュ障」なんて、まず、いない。だって、配信者として活動すること自体が、一種の「陽キャ」でなければできないことだからだ。そういう意味で、いわゆる

  • ひきこもり

のような人材を、ホロライブが「フレームアップ」した形になっていることが、この会社の今の奇妙な人気を支えている、一つの柱となっている印象を受ける(まあ、全員が、「陽キャ」の、「サラリーマン」みたいな人しかいなかったら、普通の会社だからね)。早い話、今の日本社会に、「ひきこもり」の居場所なんて一つもないわけだから、ここが一種の

となっているという「解釈」が、人々をひきつけている側面が大きいように思われるわけだ...。