カショギ氏殺害事件と日本の「リベラル」

私はそもそも、今回のウクライナ戦争を巡る、日本のマスコミの「ロシア=悪、ウクライナ=善」の報道を疑っているし、それに便乗する大学教授や知識人の態度を危険視している。
例えば、以下の現代思想の本などをよく書いている、稲葉振一郎さんのブログの記事は、よくよく考えると、かなり「危険思想」となっていることが分かる。

世界戦争によって国際社会全体、人類文明総体を危険にさらしてまで、ロシアや中国の体制を滅ぼすべきかというと、必ずしも答えは明らかではない。
shinichiroinaba.hatenablog.com

だからそれらの体制を、その存在はとりあえずは仕方はないとあきらめて折り合いをつけ、耐え忍ばねばならないとしても、道徳的に容認してはならない。
shinichiroinaba.hatenablog.com

(この「道徳的に容認してはならない」という態度を、その名の通りに実践した事件が

  • カショギ氏殺害事件

に対する、アメリカの態度だったと言っていいだろうが、これについては後述する。)
稲葉さんは自分は「リベラル」な思想家だとして、その上で、ロシアや中国を否定するわけだが、その場合

  • ロシアや中国の体制を滅ぼすべき

なのだ! つまり、

  • 戦争

だ! しかし、「条件」がある。

  • 「国際社会全体、人類文明総体を危険にさら」さない

という。つまり、「もし、ある条件を満たすなら、ロシアや中国の体制を滅ぼすべき」だ、とw そもそもが、他国の国家転覆(つまり、暴力による内政干渉)を、積極的に「肯定」しているわけであるw
いや、恐しいね。
なにが恐しいのか?
それは言うまでもない。戦後日本の平和憲法を「否定」しているし、そもそも、戦争肯定論者だ、ということだ。戦争は「やっていい」。ただし、それは「国家だけに認められている」と。つまりは、彼は(自らを「リベラル」と自称しながら)

  • (戦前の日本が、その「正義」の旗の下に、積極的に世界侵略を行った)戦前の日本の復興

を求める、好戦的「正義」の求道者なわけだ。
しかし、もう一つ、この問題を考えるときに問うべきことが、日本の「二元外交」と呼ばれる、戦後の日本の外交戦略だ。
一見すると、日本はアメリカに従順な、アメリカのポチと呼ばれてもしょうがないくらいの、従属ぶりを示してきた。ただし、一つの「例外」を除いて。それが、

  • エネルギー戦略

だった。例えば、以下の動画では、

m.youtube.com

日本がエネルギー資源を海外から手に入れるときに、スポット契約でなく、長期契約を行ってきたことによって今、比較的にインフレを防げている、といったニュースが紹介されている。しかしこの、長期契約という方法は、そもそも、

  • スポット契約を選ばない愚か者

と馬鹿にされてきたわけだw つまり、これは「合理的じゃない」と考えられてきた。
考えてみてもいい。そもそも、エネルギー資源大国は、さまざまな国内の政治体制の問題を抱えている。そのため、それらがポピュリズムの標的となり、さまざまなゴシップとなり、政敵のマスコミの餌食となる。なんで、そんな「道徳的」に許されない国からエネルギーを買っているんだと、マスコミから袋叩きになって、「人権」を売りにしている政党は、それによって選挙に負けるかもしれない。
つまり、「長期契約」はもともと

  • リスク

と考えられてきた。しかし、売る側として、これほど助かる契約はないだろう。つまり、この契約は相手国に「恩」を感じることになる。
そもそも日本は、ほとんど、自国のエネルギー資源をもっていない。しかも、今では、石油のほとんどを中東に依存している。しかし、その石油を中東から日本まで運ぶまでに通らなければならない海峡は、いつ、どんな「軍事紛争」が起きてもおかしくないような場所ばかりだ。
つまり、いつ日本が「貧困国」に落ちてもおかしくない。こういう国が、エネルギー外交で、一瞬でも「アメリカのポチ」になったら、その場で、日本は終わる。すべての今あるサービスは提供できなくなる。つまり、ことエネルギーにおいては、絶対にアメリカの言うことに従ってはならないのだ。
そうした場合、隣国の

  • ロシア

が非常に重要になってくる。今回のウクライナ戦争は、G7は必死になって、「すべてロシアが悪い」の大合唱をしているが、少しずつだが、これが

の延長だったんじゃないか、という解釈が広がってきた。ウクライナの半分近くいる、ロシア語話者は2014年のマイダン革命以降、さまざまな国内の弾圧に苦しんできた。そのウクライナの国内にいるロシア語話者への「弾圧」に、隣国のロシアが、彼らを救済する目的で介入してきた、と考えられる。
しかし、こういったロシア語話者という「同じ民族」の問題に、バイデンは、

の一点で経済制裁を行った。しかし、この経済制裁が奇妙なわけだ。まず、「ほとんど効果」がなかったし、逆に、それによって、EUの方がロシアから安いエネルギーが買えなくなって苦しんでいる、ということがあるわけだが、もう一つ、変なことが起きた。それが、

  • ノルドストリームの爆破

だ。というか、これを「行う」と、バイデンは昔から「公約」していたw そして、実際に破壊された。そうしたら、急激にバイデンのウクライナへの関心がなくなっていった...。
言うまでもないが、アメリカはロシアから、ウランなどの原発のエネルギーを買っている。今でも買っていて、やめていない。
しかしそれは日本も同じだ。日本は、ロシアと極東での、天然ガスプロジェクトを継続している。いや、いずれ将来、ロシアから日本まで、天然ガスパイプラインを引けば、恐しいほど安く、私たち日本国民は暮らせるようになることが

  • 分かっている

わけだ。だったら、政治家ならそれを実現すべきなんじゃないかと思うだろう。じゃあ、なぜそれが実現されてこなかったのかについては、おそらく

が関係していると言われている。もしも原発が不要になったら、東電が不要ということになって、今の東電による日本支配が終焉してしまうので、それを恐れて、東電が邪魔しているのだろうと。まあ、東電とは

  • 恐しい非国民

だったということになるわけだが、原発を今だに動かしている時点で非国民確定なんだけどねw
しかし、もっと身近な話で、そもそも日本は

  • 大量の漁獲量

をロシアから輸入している。まあ、こんなものを禁止なんて、できるわけがないんだが。
ところで、日本のマスコミしか読んでいない日本人は知らないかもしれないけど、今、アメリカとサウジアラビアの関係は、史上最低に悪くなっている。トランプ大統領のときは、あんなに仲が良かったのにw
バイデン民主党になったら、完全にダメになってしまった。なんでなのかと思うかもしれないが、それが

  • あるジャーナリストの死

「だけ」が理由だというから、驚くべき話だろうw

トルコのAKP政権が、思想的に近いムスリム同胞団を中東全域で支援してきたのに対し、サウジやアラブ首長国連邦UAE)は2014年に同胞団をテロ組織に指定し、厳しく取り締まってきた。
iti.or.jp

それでもサウジアラビアは、サウード家ワッハーブ派と盟約を結び、「正しいイスラム」を広めるためのジハード(聖戦)によって建国された宗教国家であり、「上からのイスラム」を体現する。対するトルコは、ムスリム同胞団に近いイスラム政党が18年間政権を維持し、国民からの「選挙による信任」に統治の正当性を置く「下からのイスラム」を代表する。
iti.or.jp

こちらの記事では、そのカショギ氏殺害事件と「トルコ」との関係を詳しく解説してくれている。これを読むと、もはや

  • 煉獄

の「泥沼」と呼ぶにふさわしい、どうしようもなさがある。
結局、

  • 民主主義国家の建設=王制の廃止

を目指すなら、サウジアラビアは「王制」なんだから、そういった勢力を警戒しないでいられない。なぜなら、そういった勢力をそのままにしておけば、国家転覆されてしまうから。
しかし、他方において、トルコは国家体制として、民主主義(選挙による信任)を採用しているから、この「ムスリム同胞団」を保護する、という形になる。ムスリム同胞団は、サウジアラビアでは弾圧されるから、さまざまに、家族などがサウジアラビアに殺された人がでてくる、そうすると、

  • 怒り

が彼らの行動の動機になる。そして、ますます、サウジアラビアの王制の「討伐」へのモチベーションが高くなる。
同じことが、ウクライナについても言える。ウクライナ西部の人たちは、ソ連時代はソ連の一部だったわけで、ロシア語話者に対して、不利な立場にいた。そういった

  • 恨み

をもって、アメリカやカナダに亡命した人たちが、今のネオコンの中心人物たちで、彼らのロシアに対する「恨み」が、彼らのモチベーションになっていて

  • 絶対に今の、ロシアとの戦争を「止めない」

の一点で、ブチャの悲劇という「ニセ情報」を流し、和平を絶対に結ばせないように行動している。そして、民主党は、そういった、ロシアに恨みのあるウクライナポーランドからの亡命世代からの選挙支持を基盤にしているから、逆らえない。
つまり、

  • 戦争は終わらない

ということだ。そこに、絶対に戦争を終わらせないと思っている勢力がいて、そういった「ネオコン」を、

の一点で絶対的な支持をしている多くの(マスコミに操られた)国民がいる限り、この戦争は終わらない。
しかし、それだけで済むだろうか?
上記の稲葉先生の主張を延長すれば、

ということになるだろうw なぜなら、カショギ氏殺害の容疑があるからだw しかし、もしもサウジアラビアの石油を日本が買わなかったら、日本の今の繁栄は終わる。あ、そんなもんじゃ終わらないのか。この延長には、日本の天皇制の「廃止」の議論が待っている。リベラルは天皇制を廃止するまで、自らの「正義」の遂行を止めることはできない...。