栞子問題

虹ガクOVAは、30分のかなり短いストーリーだったわけだが、以下の方は、その一つのテーマを

  • 栞子問題

と整理している。

歩夢:この前の動画見てるの?
栞子:はい、ここのMCの反応が気になっていて、
歩夢:ライブのMCとしてはちょっと固かったかもね。
栞子:私にはスクールアイドルの適正がないのかもしれません。
歩夢:それは考え過ぎだよ〜
m.youtube.com

栞子は自分のライブでのオープニングでのあいさつが、堅苦しくて、ファンの方々の反応とずれているように感じて悩んでいる。そしてそれを自分の

  • スクールアイドルとしての適正

のなさ、として整理する。つまりここで、「スクールアイドルの適正」というものが、議論の遡上にのぼる。
しかし、ある意味で、こういった問題はずっと問われ続けてきた、と言えなくもないわけである。こういった問題で悩んだのは、別に、栞子だけじゃない。りなりーも悩んでいたし、そしてスクールアイドルをやめようとしていた。
ある「条件」をみたさなければ、「スクールアイドル」じゃない、という考えは、「スクールアイドル」には、

  • 定義

があるんだ、という考えと同値だと言えるだろう。しかし、ここで、定義はなになにである、と言われると、大きな違和感が現れるわけである。なぜなら、そもそも定義がなんであれ、スクールアイドルは、それ以前に

  • 存在した

からだ。つまり、無印シーズン1の第1話で、穂乃果はUTXの高校のスクールアイドルが、テレビスクリーンの中で、歌を歌っている姿を見て、自分が母校の廃校を防ぐ方法として、

  • スクールアイドルになる

ことを考えるからだ。よって、穂乃果はスクールアイドルの「定義」に悩まされる場面が一切、存在しない。なぜなら、自分が「目指す」「範例」として、目の前に、A-RISEがいたからだ。穂乃果にとって、A-RISEは、ほぼほぼ、スクールアイドルと「同値」の意味の存在であって、そんなことを疑うことさえなかったわけだ。
穂乃果は、そもそも、「アイドル」という概念に意識を向ける場面が一切でてこない。というのは、そもそもの彼女の「目的」が、

  • 学校の廃校阻止

だったからだ。彼女にとって、「アイドルとはなにか」という命題を、まったく、考えたことがない。つまり、アイドルがなんであろうと、廃校阻止ができればよかった。そして、彼女は、A-RISEのように全国的な人気がでれば、多くの下級生が学校に入学を希望するようになって、学校が存続されるはずだ、と考えていた。そして、その延長に、ラブライブがあった。ラブライブへの出場は、自分たちが全国的に認知されるための、最も効果的な手段と考えられた。
つまり、穂乃果にとっては、なんと、ラブライブへの出場を目指すべきなのかどうかですら、悩む理由はなかったのだ!
穂乃果は「スクールアイドルの適正」に一回も悩んでいない。彼女が悩んだのは、どうやって、ライブの観客をゼロ人から、体育館いっぱいにするかであって、彼女にとっては、それ以外のことは、どうでもよかったのだ。
彼女は一度も、自分が「アイドル」と呼ばれることに対して、考えていない。そもそも、彼女にとって、自分がスクールアイドルになることさえ、どうでもいいことだった。なぜなら、結果として、廃校を阻止できればいいのだから、そのためなら、自分がアイドルにならなくていいだけでなく、アイドルでさえなくたってよかった。
うーん。穂乃果と栞子のこの「差異」は、結論としては、そこまで違わない形で決着したんじゃないかと思っている。

歩夢:私ね、アイラちゃんと初めて会ったとき、栞子ちゃんに似てるなって思ったんだ。真面目ですごくしっかりしてて...。
栞子:全然違いますよ、アイラさんのほうが愛嬌があってずっと魅力的です。私は堅苦しくて、ファンのみなさんとずれていますし、性格ばかりはどうにもならなくて、これがわたしの...。
歩夢:そんなことないよ、気にしないで!
m.youtube.com

つまり、栞子問題は、アイラちゃんという特定の女の子の問題に取り組むことで

  • 二人称問題

として還元されている。アイラちゃんの問題は深刻である。イギリスの学校でスクールアイドルができないことに悩んでいるアイラちゃんの問題に一緒に取り組む中で、歩夢は栞子ちゃんが

  • 相手(アイラちゃん)のことで真剣に悩んであげられる

ことを、栞子ちゃんの「特性」と考える。そしてそれは、ある意味で、

  • アイドルとしての適正

を示しているはずだ、と考える。つまり、ある意味でそれは、穂乃果が学校の廃校のために頑張ったことと「同値」の意味がある、と言っているわけである。
結果として、アイラちゃんはイギリスでスクールアイドルをやっていける道筋を見つけることになる。そして、栞子も、その経験を経て、次のような「ジョーク」をつぶやく。

栞子:真面目にやってください。ランジュには反省文を書く適正があるんですから。
ランジュ:え?
栞子:冗談ですw
ミア:可愛いじゃん、栞子。
かすみ:塩対応のしお子も可愛いけどね。
m.youtube.com

栞子には、アイドルの「適正」がある。それは、ランジュに、反省文を書く「適正」があることと

  • 同値

なのだw アイラちゃんの悩みに一緒に取り組んだ栞子には、そう言うことの「資格」がある、と言っていいだろう...。