崇礼門の再修復はどうなった?

以下の動画は、まあ、ネトウヨが作った嫌韓動画といった色彩の内容ではあるのだが、なかなか興味深かったので、少し考えてみたい。

m.youtube.com

韓国の建築系の大学の学生が、ドイツに留学して、そこで、文化遺産の保護について学んでいる、ということらしい。ある日の授業で、その生徒は、一人で、

  • 日本批判

をまくしたてる。日本は、どうしようもなく、低劣で、文化レベルが低い。それに比べて、韓国のなんと、レベルが高いか、と。
そして、その例として挙げたのが、なんと、よりにもよって、崇礼門だった、ということらしい。この学生は、韓国がいかにレベルが高いかの証拠として、崇礼門を、たかだか3年で修復したから、だという。ただ、その後、漆がはげるなどの瑕疵が発見されたのだが、その原因は、

  • 日本製の漆

などを使ったからであって、だから、日本製品なんて使うべきじゃなかったんだ、と日本を馬鹿にする。
しかし、ね。
まず、なぜ崇礼門が火災で消失したのかだが、なんと、地元の占い師の「恨み」による犯行だ、というのだ。この人は、以前にも別の文化財を燃やして、牢屋に入っている。また、繰り返した、というわけだ(そして、そもそも、これだけ燃えやすい構造でありながら、スプリンクラーの設備がなかったことや、消化器も何本もなかった、ということが言われている)。
そして、崇礼門の再建が行われたわけだが、実際に2013年に完成した後に、さまざまな「工事の手抜き」が発見されていく。

その後の調査により、丹青の膠が予定されていた天然のものではなく、化学顔料を用いた安いものを使用していたこと、乾燥が不十分であった木材を使用していたことなどが判明し、2013年12月初旬より立ち入りが禁止された[27]。また、32本の柱に使用した木材のうち、確認されただけでも3~4本、予測では7~8本が本来予定されていた韓国産の金剛松ではなく価格が100分の1程度の安価なロシア産であったことが判明した。警察関係者は何者かが金剛松を横流しし、費用を着服したと見ている[44]。2014年5月になって監査院は、手抜き工事は言うまでもなく、職人の独断で燃えやすい油が使われたため火災の危険があり、再工事が必要との意見を表明した。
ja.m.wikipedia.org

なんとも、日本でいうと、姉歯の設計ミスを思い出させるような、どうしようもない、ドロドロの裁判沙汰へと突入していく。
そもそも、日本製の「漆」などを使うとしていたのは、その

  • (古代の)技術

が、日本にしか残っていなかったからだ。韓国は、自らの技術では、自国の最高の古代建築を再興することができなかった。だから、日本製を使うとなっていたのだが、動画の子どもと同じように、当時、

  • 日本製の品質がポンコツだった(だから、失敗したのは日本が悪い)

というバッシングが、韓国国内で、さかんに報道されていた。しかし、実際には上記にあるように、建築会社は、

  • 日本製を使っていなかった

というわけだw それで、安い化学製品で代替して、それゆえに、あらゆる技術がポンコツの安っぽいものになってしまった。
上記の動画にもあるように、そもそも、日本の古代建築の復旧技術は世界的に昔から、非常に評価されてきた。それは、そもそも上記の動画にもあるように、

  • 宮大工(みやだいく)

という、かなり特殊な建築会社が、ある意味で、国家による産業政策によって、保護されてきたからだ(他方において、日本は日本で後継者問題など、深刻な事態に直面している。お隣の国の事情など考えていられるほど暇ではない)。
上記の動画でも言っているように、そもそも、古代建築の復旧は、

  • 時間を競うようなものではない

わけだw 大事なことは、どうやって、古代「のまま」の建築を復元するかであって、それが何年かかるかなんて、本質的な問題じゃない。
しかし、上記の韓国人留学生は、「たった3年で復元した」ということに、ホルホルして、日本を馬鹿にする。
まあ、この問題の本質を考えてみてもらえばいいんじゃないだろうか。そもそも、当時の韓国には、崇礼門を再建築する「技術」がなかった。そういった技術を太古の昔から引き継いでくるという伝統が、受け継がれていなかった。だから、畢竟、漆などのさまざまな所で、日本の技術に頼るしかなかった。
しかし、他方において、日本の技術で国内最高峰の、古代建築物を再建することは、ナショナリズムが許さなかった。
その結果として、何が起きたか?
建築会社は、一方で「手抜き」建築で、やりぬいた。そして、そのことに、なんの恥らいもない。ゴミを作ったのは、国のお金の払いが悪かったからと、自国の最高峰の建築を再建することへのプライドもなかった。
他方で、国家は「それでいい」と考えていたふしがあるw というのは、そもそもこの、崇礼門

  • 観光名所

だったからだ。とにかく、国は「早く直す」ことしか考えていない。どんな、ポンコツのハリボテでもいい。早く直して、観光名所の復活をして、また、お金儲けをすぐにでも始めたい。このことしか考えていなかった。
そして、今。
この、崇礼門はどうなっているんだろう? 韓国国民の誰も、崇礼門を、古代建築の技術によって、

  • まったく同じ

に再建しなければならない、と思っていない。なにか、東京ディズニーランドのような、観光で訪れて、いい想い出が作れれば、なんでもいい、くらいにしか思っていない。あらゆるモノは、その国民の「民度」を越えたものにはなりえないのだ...。

追記:
そもそも崇礼門を破壊した韓国人は、「国家への恨み」から犯行を行っている。つまり、「恨み」を自国の文化遺産の「破壊」によって、

  • すかっとする

ことによってしか解消できない、という「民度」と切っても切れない関係になっている。この問題を受けて、国民的な議論をやったのだろうか? なんの内省もなく、日々の快楽だけを追求する国民性である限り、こういった問題は何度も何度も繰り返す。そんなことだったら、もう、いっそう、古代建築の再建なんて、やめてしまえばいい。そして、まったく似ても似つかないポンコツを作って、満足できるんだったら、いっそのこと、再建なんてやめちまえ。なぜなら、再建すれば再建するほど、何度でも何度でも、国民が破壊するのだから...。