マイナカードの「正体」

マイナンバーカードを、ある国民が作ろうとすると、次の二つが確認される:

  • 健康保険証としての利用申し込み(=マイナカードの「マイナ保険証」化) ... 7500円分
  • 公金受取口座の登録完了 ... 7500円分

しかし、この二つは「任意」だ。そもそも、マイナンバーカードの作成そのものが「任意」だ。
ということは、政府はなにをやりたいのだろう?
たとえば、政府は各事業者に対して、

  • 保険証による本人確認の「廃止」

を通達として要請している。言うまでもなく、保険証は「法律で」廃止が決まっている。しかし、今廃止されているわけじゃない。廃止されたら、本人確認として使えなくなるなら分かるが、今すでに「使えなくしろ」と言っているわけであるw
当り前だが、廃止になったらなったとして、マイナカードは「任意」なんだから、作らない人が大量に存在する。しかし、保険証は「全国民」が参加するものだ。そこで、マイナ保険証をもっていない人に「資格確認書」なるものを配布する、と言っている。さらに、その「資格確認書」は申請漏れが起きないために、(今の保険証のように)「事前配布」を行う、と言っている。
どういうことなんだ、と思うかもしれない。しかし、話はそれで終わらない。
そもそも、マイナカードは「まだ完成していない」w これから、どんどん、

  • 他の用途

で使うことが「予定」されている。

マイナカードと紐付けが予定されている項目はすごい数にのぼるからです。医療関係で言えば、健康保険証、健康診断記録、母子手帳生活保護受給者の医療扶助医療券、その他にもあります。就労関係でいえば、ハローワークカードにジョブカード、その他にもあります。各種証明書でいえば、運転免許証、障害者手帳、教員免許証、在留カード、その他にもあります。公共サービスでいえば、図書カードや、その他地方公共団体発行カード、その他にもある。
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(なんと、実印証明書を作成するときに作ったカードさえ、マイナカードで代替する、となっているらしい。というか、その運用はすでに始まっているのか。)
これを見ると、よくもまあ、ここまでいろいろな「カード」を作ってくれたな、と思うかもしれない。しかし、こういった種類があることには、一つの合理性がある。それは、それぞれのカードのほとんどが「申請」ベースで作成された、ということだ。あるサービスを受けることになったことをトリガーとして、それぞれの国民がカードを作っている。
ということは、そのカードの作成をするときに、国民は自分でそのカードの申請書を渡している。つまり、その段階で、その国民からの「使用用途」の「合意」が獲得できているし、

  • 分離

ができている、ということだ。
ではここで、マイナカードの中にはなにが入っているかというと以下になる:

  • 電子証明書、その暗証番号
  • (券面記載事項の)画像データ、その照合番号 ... 住所、氏名、生年月日、性別、顔写真、マイナンバーの「画像」
  • 券面記載事項のテキストデータ、その暗証番号および照合番号 ... 住所、氏名、生年月日、性別。マイナンバーは含まれていない。
  • 住民票コード、その暗証番号
  • ICチップ空き領域

これによって、政府の広報文書では「マイナンバーカードのICカード内には、プライバシー性の高い個人情報は記載されていない」となっている。
しかし、政府にとって、たった「それだけ」が重要だった。それは、国民に「マイナンバーカードのICカード内には、プライバシー性の高い個人情報は記載されていない」と言えるためには、最低限それを担保したかった、というわけだw なんなんだと思うかもしれない。しかし、政府にとって、その線は譲れなかった。国民が「安心」するためには、ここだ大事だと考えた。
しかし、ね。
マイナンバーはICチップ内に「テキストデータ」として存在しない、と言っているだけなのだ。よく知られているように、マイナカードには、QRコード読み込みができ、そのURLには「マイナンバー」が登場するわけで、その「テキストデータ」すら、ICチップじゃないだけで、カードにはあるw
じゃあ、ここで、マイナカードは分かったから、反対側にある

というのはどうなっているんだ、ということになると、なかなか興味深い情況になっている。
マイナカードの作成の利点として、「マイナポータル」の使用というのがある。つまり、自分の情報を自分で確認できる、というものだ。ポータルサイトで利用者情報を登録して利用するわけだが、そこで、マイナカード内の電子証明書と4桁の暗証番号が使われる。
この辺りはよくある仕組みだが、ここで奇妙なことが起こることが知られている。というのは、上記のカード申請時の「健康保険証としての利用申し込み」に同意をしていなくても、自分の健康情報が表示される、ということだ。
これは、なにを意味しているのか?
言うまでもない。マイナカードの「作成」と、その場での、さまざまな利用目的への「同意」と

  • 関係なく

そもそも国家は「勝手」に、上記のさまざまなカード情報との紐付けを、どんどんやっている、ということだ。
???
なんか混乱してこないか? じゃあ、あのマイナカードを作るときの、さまざまな合意手続きってなんだったんだって?
つまり、マイナカードがあろうがなかろうが、マイナンバーと国民の医療情報との紐付けは勝手に行われている。もちろん、それを行っているのは「政府」じゃない。

  • 各団体

だw 政府は「やれ」の一言だけ。各団体は政府に言われて、それによって「査定」されて、給付金を絞られるから、やむなく、仕事をやらされている。
さっきも言ったように、各カードは、その時、その時で公民の申請をベースにして作ったものだ。もちろん、それらにはそれらのIDが内部ではふられている。そのIDを、マイナンバーと紐付ける作業を、各団体に「やれ」の一言だけでやらせている。
そしてその時、

  • どうやって

それをやっているのかが、さっきの「住所、氏名、生年月日」だ。つまり、各団体は、おそらくなんらかのマイナポータル的な「管理者画面」にアクセスする権限が与えられて、そこでは、これらの情報で、マイナンバーを「検索」できる、検索機能が与えられている。それで、各団体の各作業員が

  • 手作業

で、一個一個確認して、上記の「紐付け」を行っている(言質をとられるのが嫌だから補足をしておくと、簡単なツールを作成してやるのかもしないが、いずれにしろ、目視でその正しさをチェックさせられていることには変わりはないw)。もちろん、各国民にはそのこと一切言わないでw 言わないから、その作業員が「間違え」れば、当り前だけど、間違った情報が紐付く。
ここで、「あーそうなんだ、間違ってるのかもしれないのね」と、ふーんと思った人がいたら、その人は、ある意味で、「正しい」反応をしたのかもしれない。というのは、やるのは勝手なわけであるw 問題は、

  • それを「使った」ときに起きたトラブルの「責任」が誰にあるのか?

にかかっている。つまり、今マスコミで報道されているように、これらの「ビッグデータ」を、統計の母集団として、さまざまな研究用に使おうということが目指されているからだ。もちろん、そういった使用をするときには、そのことの是非が問われることになって、国民的な議論が起きるだろう。そして、当然、個人情報は、その相手先にビッグデータを渡すときには、マスク化される。
考えてみてほしい。こうした利用目的なら、そもそも「間違っている」ものが、一定数あることは、ある意味で、どうでもいいわけである。なぜなら、統計とは、「ノイズを無視する」ことが最初から折り込まれているのだから、誤差の範囲のことは、最初から誰も気にしないから。
ここまでのことから、もう一度、最初にとりあげた問題を考えてみよう。
マイナンバーカードを、ある国民が作ろうとすると、次の二つが確認される:

  • 健康保険証としての利用申し込み(=マイナカードの「マイナ保険証」化) ... 7500円分
  • 公金受取口座の登録完了 ... 7500円分

そして、ここには、三つの「任意選択」が存在する。そのそものマイナカードを作るかどうか、作ったとして、上記に同意するかどうか。
しかし、マイナ保険証化はそれをしなくても、すでに、マイナポータルのシステムで医療情報と紐づけられているんだから、

  • マイナンバーと保険証情報は、「この合意がなくても」政府は勝手に紐付けている

んだから、この「申し込み」は無意味なのだ。政府は政府の勝手な(管理上の)理由から、この紐付けはやっているわけ。だとするなら、

  • それによって起きる「一切」の責任は国家にある

わけ。国民はこの「ごたごた」に関わらない方がいい。じゃあ、なんでこんな「任意」の申し込みなんてことをやっているのかだが、おそらくその秘密はマイナポータルの「規約」にある。つまり、

  • 同意した場合、その一切の「責任」は国民が引き受ける

と書いてあるわけw つまり、マイナポータルは使っちゃダメなの。使ったら、使ったがゆえに引き起こる一切の責任は、その使った人になるって「規約」に書かれているから、絶対に国民は政府を訴えても、裁判で負けるようになっているわけ。
しかし、マイナポータルとは、カードの電子証明書「そのもの」ですから、カードの作成とマイナポータルの使用は「同値」なわけね。
ここで、やっとマイナカードの「正体」が判明する。
つまり、これは国家と国民の

  • バーター

だと、政府は言いたいわけ。あなた、マイナカードを申請したでしょ。そのサービスを使いたいから申請しておいて、それによって起きたトラブルの責任は政府が負うべきって、虫がよすぎるんじゃないの、と言いたいわけだ。つまり、国民は、たかだか「7500円」で、こんな重大な責任の一切を負わされたってわけね。
じゃあ、もう一つの振り込み口座については、どうだろう? 一つの考えとしては、どうせ振り込み用なら、まったく使っていない口座を申請しておけばいいんじゃないか、と思うだろう。それは、私も比較的に賢いと思っている。
しかし、政府の「目的」は、国民のもっている金融情報の「完全把握」なのだから、これは「一里塚」であって、さまざまな「規制」を始めることは目に見えている。まず、国民に銀行口座を一つしか作らせないとか。
これらの一連のことをふくめて、国家がやりたいことは、国民を

  • 完全に<知る>

ことだ。国民の全情報を国家は知りたい。そして、そこで最後のネックになっているのが、銀行情報だ。ある人は、いくらの貯金があるのか。これが知れれば、その人に

  • 相応の税金

を課すことができる。「あんた、まだ税金を払えるだけの余裕があるでしょ。だったら、払え」と。そう国家が国民に言うためには、国家が国民がどれだけお金をもっているのかを知る必要がある。このための一番、てっとりばやい方法が、

だ。おそらく政府は、最終的にはそれを実現してくる。じゃあ、どうやってそれを実現するか? おそらく、上記と同じ方法を使うだろう。つまり、各銀行機関に、自分の会社の銀行情報とマイナンバーを紐付ける作業を銀行員に

  • やらせる

わけだ。これによって、国民一人一人の銀行情報は完全に国家に掌握される。
まあ、考えてみると、これは最終的に行われるのかは、なかなか難しいのかもしれない。というのは、銀行情報は各国民と銀行との個人的な契約だからだ。もしこれを国家が「紐付け」するとなると、今度は国民の方が

  • 銀行を使わない

という「運動」が始まるだろう。別に各個人の資産管理に、なにがなんでも銀行がなきゃいけない、ということではないからだ...。