複素数

(本当はシュレーディンガー方程式について語ろうかなと思っていたんだけど、テクニカルなところで、複素解析のことを話しておかないと意味不明になりそうだったので、先にこの話を書かせてもらった。)
複素数というと、a+biと書いて、i^2=-1、なんで、これを許容すると、今まで解けなかった方程式が解けるようになる、みたいなことを高校で習うわけだけど、ほとんどの人は大学数学を勉強しないから、複素数がなんなのかを分かっていない。
これってなんなんだろう、と思うわけである。私はそもそも、文系が理解できない。それは、文系が研究する分野が存在しない、という意味じゃなくて、そういった文系が研究する分野にだって、自然科学のメソッドを使って「研究」したっていいわけでしょ。つまり、ここに

  • 垣根

はない。どういった方法で研究したって自由なんだから。
話がそれたが、複素数というとかけ算だ。(a+bi)(c+di)=(ac-bd)+(ad+bc)i、となっていて、明らかに、R^2の二次元空間の、(a,b)(c,d)=(ac,bd)と違っている。じゃあ、この差異がなんなのかを一番分かりやすく表現すると、極表示してオイラーの公式を使えば、r(cosx+sinxi)s(cosy+sinyi)=rse^xie^yi=rse^(x+y)i=rs(cos(x+y)+sin(x+y)i)
となって、ちょうど、複素平面上の

  • 回転

となっている、というのが、たんなるR^2の二次元空間とは違った特徴となっている。
しかし、この違いはかなり本質的に、この「世界」を決定する。
複素数がa+biと表現されるようにこれは、(a,b)のR^2の二次元空間で表現できる。ということは、f:R->Rの実数上の関数に対して、f:C->Cの複素数上の関数は、R^4の四次元で表現しなければならない。しかし、私たち人間は、そもそも、四次元を直感的にイメージできない。
しかし、(a,0)とR^1が同一のものと解釈できることから分かるように、

  • f:C->Cは、f:R->Rを「含んでいる」

わけである。では、問題はこの二つの関係だ。後者は前者に含まれる。ということは、ある制限の範囲において、後者から前者への「拡張」には、一定の<関係>があるんじゃないか、ということが想像できる。それは、上記の「かけ算の図形的な回転化」が非常に

  • 強力

な制限になっていることから導かれる。つまり、「解析接続」だ。

  • f(z)、g(z)をD上で定義された正則な(微分可能な)関数とする。f(z)とg(z)が、D内の2点z_0、z_1を結ぶ正則な道C上で一致すれば、実は、D上でf(z)とg(z)は恒等的に等しい。

分かるだろうか? RはCに含まれる。しかし、R上で定義された関数は

  • 一意

にC上に「拡張」される、と言っているのだ! つまり、これだけ複素数の「かけ算(回転)」というのは

  • 強力

な、この世界の動作の制限になっていて、ほとんどこの世界に存在するというだけで、その形態が決定されている、ということなのだ...。