アニメ「バンドリMyGO」第9話

アニメ「バンドリMyGO」は、第9話まで話が進んだわけだけど、ここまでは、徹底的に全員を

  • 迷子

にすることを目指して作られてきたと言っていいだろう。
第8話、第9話と、第7話の最後でライブの二曲目で春日影を演奏したことにヒステリーを起こした長崎そよのストーリーが続いた。
そもそも、今回のMyGOのバンドの結成は、そよが言い始めたことだった。彼女がみんなに「やろう」と言ったから始まった。ところがそんな彼女は、最初から、CRYCHICの復活しか考えていなかった。後から、千早愛音(ちはやあのん)と要楽奈(かなめらあな)を追い出して、豊川祥子と若葉睦を迎えることしか考えていなかった。つまり、長崎そよは、みんなに「嘘」をついていた。これを知った愛音ちゃんは、バンドを去ってしまう。
まあ、制作サイドの意図は明確だろう。徹底して、全員を

  • 迷子

にすることしか考えていない。なにか、どこにも「救い」がないような場所に一回「落とす」。つまり、もともとの制作サイドの目的はストーリーを「ここ」にもってくることを意図されたものだった。
だとすると、だ。
おそらく、ここから考えるべきは、この作品がラストに向けて、どのような結末に向かっていくか、だろう。どうなるのか。ということは、誰がどういった行動をとることによって、話を進ませようとしているか、だ。
ここまでのストーリーを見たとき、一つだけはっきりしていることは、

  • 千早愛音(ちはやあのん)は<外部>の人間だ

ということだ。つまり、唯一彼女だけが、CRYCHICの<引力>に引き込まれていない、

  • 自由

な存在だ、ということだ。そう考えると、おそらく、これからのストーリーも彼女が「主人公」として進むように思われる。彼女は落ち込むときも早いが、立ち直るのも早い。それは、そもそも彼女が、最初から最後まで、CRYCHICとデタッチメントだからだ。だから、彼女には

  • 野蛮さ

が許される。おそらくここを突破口として、この関係は突き破られていく。
この作品を「構造」という視点で考えたとき、おそらく、最大のポイントは、

  • 豊川祥子のCRYCHICを辞めた<理由>

であるはずだ。しかし、それは祥子が謎というより、

  • なぜか、他のCRYCHICのメンバーは祥子の辞めた理由を彼女に聞こうとしない

という<構造>になっているところに秘密がある。
なぜか?
この意味は二つの理由で、重くのしかかっている。一つは、他のそれぞれのメンバーのCRYCHICをやっていた「理由」だ。つまり、みんな「自分の都合」でやっていただけだった、ということがばれてくる。みんながみんな、バンドのメンバー全員のことを考えていない。つまり、最初から

  • ばらばら

なのだ。もう一つは、バンドを始めた人間が、なにも言わずにバンドを辞めるということの「重大さ」だ。バンドを始めた人間は、少なくとも、その「目標」が達成されるまでは、それを続ける義務があると普通は考える。なぜなら、そうでなければ、バンドを始めるわけがないからだ。そうでなければ、バンドのメンバーを最初から騙そうとしていたということになるし、嘘を言っていた、ということになる。
もしも後者ならば、「そんな人間」の言うことについていった他のメンバーが人を見る目がなかったということになり、解散は当然ということになる。では、そうでないとすると、どういうことになるか?
本人が「理由を言わない」から、当人に「理由を問い質す」ことは、そこまで当然なことなのか? つまり、それだけバンドを始めた人間の責任は重いのだ。やろうと言ったということは、それだけの覚悟をもって、その人の青春の1ページを預ける、と言ったも同然なわけである。理由を言わないということは、それだけの「覚悟」をもって言わないということになる。つまりこうだ。言わないからといって、このバンドが続けられないということは

  • 変わらない

のだ。それだけの覚悟をもって、辞めると言ったということの「重大さ」が問題なのだ。
うーん。ここまで、もったいぶって書いてきたのだが、第10話については、すでに公式がその「あらすじ」を公開している。

https://www.ota-suke.jp/news/275547www.ota-suke.jp

この作品の中で、比較的にCRYCHICの重力に縛られていない、フットワークの軽いのが千早愛音だ。彼女は今回の、長崎そよの「裏切り」に傷ついた側面はあったとしても、彼女自身がそういった「へたれ」の側面があることを十分に自覚しているわけだから、そんなところに、いつまでもこだわるタマじゃない。彼女は最初から

  • まきこまれ系

の素質がある。クラスの前の席の燈がずっと落ち込んでいるのに、ずっと無視できるような性格じゃない。おそらく、ストーリーはそんなところから始まる。
そして、上記では、燈と初華の「対決」が予告されている。これは重要だ。なぜなら、おそらく初華こそが、全ての謎のキーになっているからだ。
つまり、このストーリーは必ず、

  • 豊川祥子のCRYCHICを辞めた<理由>

に帰ってくる。おそらく、その理由を若葉睦は知っている。あと、初華も知っている。まず、祥子はCRYCHICを辞めた後、高校を転校して、燈の隣のクラスに来ている。おそらく、これもその理由と関係している。
いろいろと複雑にこんがらがっているように見えるが、おそらく、この構造は単純なんだと思っている。それは、

  • 祥子と燈の「和解」

だ。この二人のすれちがいが解決される場面が、なんらかの形で描かれることなく、この作品は終わらない。逆に言えば、これさえ明確な形で描かれれば、あとは、最後はどういう形になろうと、ハッピーエンドなのだろう...。