「SPACE」の精神

アニメ「バンドリMyGO」第11話で、私が個人的に驚いたのは、楽奈のおばあちゃんが、バンドリシリーズの最初に登場した、

  • ライブハウス「SPACE」のオーナーの都築詩船(つづきしふね)

であることが、ここまで明示的に語られると思っていなかったことだ。というのは、それらしきことを匂わす描写はあった。そもそも、バンドリで「おばあちゃん」といえばこの人しかありえないし、楽奈が、以前のライブハウス「SPACE」の敷地で、今は駐車場になった場所らしきところにいた描写もあった。しかし、なぜここまで明示的に楽奈に、おばあちゃんのことを語らせたのだろう、というところが不思議だったのだ。
都築詩船は、このバンドリシリーズのアニメにおいて、アンビバレントな存在だった。ポピパが最初にライブを行ったライブハウス「SPACE」のオーナーで、ここは

  • ガールズバンドの聖地

と呼ばれていた。つまり、都築詩船は独特の基準で、この舞台に立てるバンドを、彼女によるオーディションで決めていた。しかし、ポピパの出演を最後に、ライブハウス「SPACE」は終焉を迎える。というのは、オーナー自らが「役割を終えた」と考えて、営業を止めてしまったからだ。彼女の考えでは、「たとえ、SPACEを止めたとしても、またどこかで、同じような志のライブハウスが現れる」と考え、潔くその長い歴史に終止符をうった。
ところが、である。
この話はどこか不自然だった。というのは、だとするなら、なぜライブハウス「SPACE」をここまでクローズアップしたのかが、よく分からないからだ。このライブハウス「SPACE」を登場させることによって、なにが伝えたかったのか? それは、ある意味で、オーナーがさまざまな場面で語った内容が示しているとも言えるが、いずれにしろ、それがなんだったのかはもう語られることはないと思っていた。
しかし、結果としてこうやって、孫の楽奈が登場したことによって、

  • ライブハウス「SPACE」の<精神>の復活

を感じさせるわけである。おそらく、楽奈は、都築詩船の<精神>を体現した存在として描かれる。そして、そのことは、このMyGOというバンドそのものが、

  • 都築詩船の<精神>

を継承した存在として、再び、不死鳥のように甦ってきた、とも考えられるのだ...。