楽奈の「デタッチメント」

アニメ「バンドリMyGO」の第13話は、完全にアヴェ・ムジカにのっとられた形で終わっちゃったわけだが、これについては、いろいろな意見があるみたいだね。
ただ、この作品を全体として見返したとき、一つはっきりしていることは、

  • 高松燈(たかまつともり) ... イケメンによる「救済」

なんだろうと思うわけね。それは、千早愛音(ちはやあのん)が中学の頃の同級生と出会うときに、彼女たちから「なんで留学してたはずなのに、羽丘の制服を着ているのか」と問い詰められるところに、燈が現れて連れ去る場面。これが、この作品の全てを象徴している。
もともと中学の頃は生徒会もやっていて、プライドも高くて見栄っ張りな彼女が、海外留学に失敗して、一瞬で戻ってきたことを中学の頃の友だちに言えないわけね。言ったことで、もし馬鹿にされると考えたら、どうしてもそれに向き合えない。その時に、燈が現れて、彼女をこの危機から救ってくれる。
ただ、その「救済」は、なんというか「意図的」ではないんだ。というのは、燈はそういう存在じゃないから。燈は今までの日本の物語が描いてきた、「超越的な意図をもった(神的な)」ヒーローじゃない。彼女はまた、全然違った意味で、ただただ日々の生きることに苦しんでいる少女にすぎない。それは、第3話のモノローグ回が示しているわけで、逆にその、

  • デタッチメント

性が、この「救済」を可能にしている、おもしろい「構造」になっている。
例えば、燈による長崎そよの「救済」も、この関係は「直接的ではない」。燈はまったく別の「文脈」から、

  • 一生(バンドをやる)

という言葉を使うわけだけど、そのことは、長崎そよにとっては、子供の頃に両親が離婚して、ノートの自分の名字を書き換えさせられた、その

  • 捨てられた

ことによって自尊心が傷ついた感情の「回復」をたとえ意味していたとしても、間接的にそれが「救済」になっている、という「構造」になっている。
こういった形で、この作品にはさまざまな「デタッチメントのからくり」がある。
一番興味深いのが、要楽奈(かなめらあな)だろう。第10話での、完全にバラバラになってしまったMyGOというバンドが再結成していく過程で、一人だけ、このMyGOというバンドの「解散」の

  • 引力

から解放されているのが楽奈だ。彼女は、一人でライブでの朗読を始めた燈の下に真っ先にかけつけて、隣でギターをひき始める。他のメンバーにとって、このバラバラになったバンドが、簡単には再結成できない「理由」がある中で、その

  • 引力

から完全にデタッチメントな場所から、もっと言えば、そういった「(大人たちが大事にしている)理屈」から、まったく関係ない形で、そういった「しがらみ」を平気で乗り越えて、燈の下へ一目散に駆け付けられる彼女の「野蛮さ」が、もう一つのこの作品を構成している特徴だと言えるだろう。
さて。続編の制作が公式に宣言されている「バンドリ・アヴェ・ムジカ」であるが、これがどういったものになるかは、実は、声優たちがいろいろと語っていたりするわけだw

高尾 今までの「バンドリ!」シリーズでは観たことのないものになると思います!1人1人のキャラクターが抱えているものが大きくて、「これは本当に女子高生たちがバンドを組んでいるお話なのか?」ってなりますし、私も毎話の収録のたびに続きが気になりすぎて、監督とかに「次はどうなるんですか?」って聞いてしまうんですけど、大体「まだ教えられません」って隠されてしまって(笑)。
岡田 まだ収録が途中なので、私たちもどんな完結を迎えるのか知らないんです。
佐々木 私はチラッと初華の話を聞いたときに鳥肌が立ちました。
高尾 えっ!? それ、教えてもらってない!
佐々木 これはまだ言わないほうがいいと思っていて。私、それを聞いたときに「えっ!」って立ち上がっちゃったくらいで(笑)。多分、ミステリー映画のように謎解き感覚でも楽しめる続編になると思います。
米澤 にゃむちはまだあまり出番がないんですけど、続編ではどんどん新しい一面を見せるので期待していてほしいです。
高尾 いつもAve Mujicaに事件を起こすキーパーソンだよね(笑)。
岡田 海鈴ちゃんも基本はあの感じですけど、新しい一面も出てくるかな、っていう感じですね。
渡瀬 これは渡瀬個人の話になるのですが、声優になって4年目になるなかで、すごくチャレンジをさせていただいた作品で。その努力の結果を早く世に知らしめたいので、オンエアが待ち遠しいです!
岡田 そうだー!本当にすごかったよね。
高尾 結月ちゃんは本当にありえないくらい頑張ってました!観ていただけたら絶対に「これのことか!」ってわかると思います。
www.lisani.jp

うーん。つまり、もう声優陣の収録が始まっているくらいには、制作が進んでいるということだね。ということは、続編はかなり早い可能性がある、ということを意味しているw
バンドリ作品の特徴は、

  • バンド結成

を丁寧に描く、というところなんですね。だから、なぜこれだけ制作が早いのかというと、おそらく、基本的な時系列は、MyGOと同じだから、ということになるんじゃないか。つまり、MyGOの

  • 裏ストーリー

が描かれる。あのストーリーの裏で何が起きていたのかが描かれる。
そして、アヴェ・ムジカは

  • 闇落ち

なんですね(すでに、初華の「闇落ち」ストーリーが予告されてるんだけどw)
ネットの反応ということで誰かが言っていたけど、MyGOとアヴェ・ムジカは対照的に描かれている。「人間になりたい」「クライシックを忘れない」「傷ついても一生いたい人がいる」と「人形になった」「忘却を恐れない」「信じられるのは我が身ひとつ」と。
つまり、世界観、価値観の「対立」が描かれることになる...。

追記∶
第4話は、興味深くて、ここであのんはさきこに長崎そよとバンドをくむことを告げるんだよね。つまり、あのんがCRYCHICを知っていることもさきこはしる。
あと、第4話では例の「おもしれー女」発言があるんだけど、ここって、ともりが「一生」発言をしている場面でもある。つまり、SPASEがなくなった後の「居場所」としてらあなに解釈されていることがうかがえるんだよね...。