カナダ戦

サッカー日本代表はカナダ戦で4−1で勝利して、これで何試合も連続で大量得点での勝利となっている。これが驚きをもって受け取られているわけだが、確かに、たとえ練習試合だとして、これくらいのレベルの相手に、そんなに簡単に大量得点を連続できるものじゃない。
そこで考えるのが、おそらく、W杯以前の森保監督の試合と、W杯以後の違い、ということになるだろう。
おそらく一番に違うのが、

  • 攻撃の戦術

について、コーチ陣に「てこいれ」がされた、というところにあるだろう。W杯は「本番」ということで、森保監督は自分が今までJリーグなどでやってきて「信じて」いる「戦い方」を、慎重に選んで戦った、という印象を受ける。対して、W杯以後は、もはやそういった「ノルマ」にとらわれることなく、いろいろなことを

  • 試す

場として、主に攻撃面について、かなり自由にコーチ陣にやらせている、という印象がある。
結局、サッカーは、

  • 攻撃 ... ビルドアップ
  • 守備 ... 守備陣形

の二つによって成立している。ということは、この二つは離して考えられない。攻撃で点がとれなければ、より「絶対に点をとられてはならない」という守備陣形にしなければならなくなるし、ある程度、点がとれていれば、最小失点は覚悟の上で攻撃に人を回せる。
そうした場合、最も基本的なことは

  • 合理性

だと言える。こちらが「攻撃」するという場合、まず、大事なのは相手の「陣形」だ。その陣形には、その陣形なりの「弱点」がある。ここを

  • 有効

に使えれば、比較的に容易に点が入る、ということになる。次に、そもそもの相手の「弱点」だ。一人、下手な人がいれば、そこを徹底して使えば、攻撃は優位を保てて、得点となる。
そして、このことは「逆」から、つまり守備についても言える。
まず、守備がうまくいくということは、それは

  • 合理的

にビルドアップを「失敗」させているから、ということになる。相手が一番後ろから組み立てようとしたとき、そのパスコースをすべて塞げれば、相手は前にボールを運べなくなる。つまり、相手が

  • 無理

をやったところを間合いをつめて、ボールを奪って攻撃をすれば、相手は守備陣形の準備ができていない間にゴールまでもっていける可能性が高まる。
この「差異」を生み出すのに、当り前だが、「質的優位」のある選手は最高の武器だ。一対一で勝ってくれると、そこでこの守備陣形は「崩壊」する可能性がある。
こういった観点から、私がよく参考にしているのが、以下の方の動画だ。

m.youtube.com

サッカーは基本的な戦い方の違いとして、ゾーンとマンツーマンがあり、これはバスケなどとも同様なわけだが、そういった「戦術」の違いが、試合の

  • 大きな流れ

にどういった影響を「まず」与えていたのか、といったところから整理して、細部を説明していくというスタイルは分かりやすい。
カナダ戦は、戦術としては、日本もカナダも両方とも、かなりレベルの高いところでやっていた印象がある。カナダは大敗したように見えるが、前半はPKをひとつもらっているし、試合終了直前とはいえ、ちゃんと日本の守備陣を崩して一点返している。
カナダにとって、おそらく、この大量失点での大敗には日本の攻撃に対する「研究」がまず足りていないという印象がある。まず前提として、5バックが攻略されている。それは、日本のカナダの陣形の「弱点」をつく攻撃が、「合理的」なために、日本選手がかなりゴール前で

  • フリー

となってしまった結果の連鎖だと言えるだろう。プレッシャーのないところでプレーをさせれば、プロ選手はだれでも精度の高いプレーをする。つまり、得点の確率も高くなる...。

追記∶
カナダのマンツーマンの守備はそれ単体としては一定のレベルにあったんじゃないか。それを日本が攻略した方法は、センターフォワードの浅野にボールをつけるという、新潟がよくやっている戦術だった。しかも浅野は、結構勝っていた。どうしても浅野が流れると相手のセンターバックの一人はついていかざるを得ない。それによって空いたゴール前を日本の他の攻撃陣は有効に使っていた。