吉本であり芸能界の「コンプラ」

松本人志の事件については、彼がどうなのかとか、彼が今、何を考えているのかとかは、どうでもいいんだよね。そうじゃなくて、今問われているのは、

なわけじゃないですか。
ここのところの芸能界って、ずっと、「不祥事」続きだったことについて異論を唱える人はいないよね。まず、ジャニーズの喜多川元社長の問題によって、そもそもジャニーズという会社が消滅する、という事態にまで至った。そして、宝塚についてであり、まあ、昔から歌舞伎での問題は有名だ。
そもそも、吉本という会社自体が最近、闇営業の問題で多くの所属芸人が会社を辞めている。
しかし、他方において吉本は自社の株をテレビ局が持っていたり、万博のアンバサダーやトップの役職に吉本の元社員の上役が付いている。近年の、クール・ジャパンという国のコンテンツ戦略で、大量のお金が国から吉本に流れていることをもって、批判をあびたりしてきた。
ジャニーズの事件で、男の子の「セクハラの被害者」が問題となったとき、多く言われたのは、

  • 女の子の「セクハラの被害者」

つまり、枕営業の問題が問われないのはなんでなんだ、と言われていた。実際、日本の男性の映画監督が何人かか、METO運動の延長で女優が告発している事件があった。
過去から含めて、枕営業が芸能界に存在しないと思っている人は一人もいない。ところが、なぜか、吉本の闇営業問題から、ジャニーズ問題から、いろいろと「不祥事」が続いてきているにも関わらず、この

  • 撲滅

を目指すという運動が、業界から一つも現れない。
普通の一般企業の常識からして、 「なんか変だな」と思うわけでしょ。
もしも芸能界が、「一般社会とは違って、特殊な世界なんだ」と言うなら、まず、テレビで一般企業からスポンサーを受けるべきじゃない。クール・ジャパンとかいって国から補助金をもらうべきじゃない。万博のアンバサダーになるべきじゃない。
自分たちは「芸術家」なんだから、世界の常識とは違った「特殊」な扱いをされなければならないと思うなら、「一般の芸能事務所」に所属する、女優を自分の映画に出演させるな。
今、吉本の全ての芸人が、テレビに出演が難しくなっているという。スポンサーが嫌がっているわけだ。
吉本は企業のコンプラについて、闇営業問題のときに、かなりやったんだという。芸人にも、コンプラ研修を受けさせたり。しかし、この会社が根本的に間違っているのが、

  • 過去の自社の「蛮行」の総括ができない

ということだろうw 松本が書いた本を見るだけで、吉本という会社が今回のような「性犯罪」を繰り返してきたことは自明なわけでしょう。しかし、過去には告発の声をヤクザなどを使って黙らせてきたり、とりあえず証拠がないことと、多くが時効になっているから、社会的な非難を受けてこなかっただけで。
しかし、この清算をやらないで、コンプラを遵守する会社に生まれ変われるわけがないだろうw そんなことを言っても、今さら、過去の悪行を世間に公開できないと思っているなら、やることは一つ。

  • 倒産

ですよ。吉本という会社を潰すしかない。その上で、自らの清廉潔白を保障できる人材だけで会社をつづけるしかない。いずれにしろ、各芸人には、自らのイメージがあって、過去の蛮行(時効であったとしても犯罪行為)を認めながら、テレビに出続けることが難しいと考えるなら、引退して、裏方に退くしかないだろう。
その場合、一つのキーとなる考えが、彼らが「芸術家」として扱われることの意味だ。
テレビのタレントを続けることは、おそらく、収入が桁違いにいいのだろう。しかし、それが難しいとなった場合に、二つの道がある。

  • 罪を隠して生きていく(嘘を言って生きていく) ... ばれた場合には、より社会的な罪は重くなる。
  • 罪をさらして生きていく ... 全部言ったんだから、後からばれて困ることはないけど、その内容によっては、テレビのタレントを続けることは難しくなる。

前者は、今まで通りに収入は入ってくるかもしれないが、今回のように、いつ「それが難しくなる」かが予想できない。後者は、ばれた場合に、「言い訳」ができないので、自然とフェードアウトするしかない。
しかし、これを吉本という企業に対して適用するとどうなるかを考えてみよう。吉本は闇営業問題で、自社のコンプラを徹底して見直すと考えられた。しかし、それができていなかったと、今、受け取られている。そのため、スポンサー企業が吉本の芸人を番組に出演することに難色を示している。
そう考えるなら、吉本が生きていく道は後者しかもう残っていない。過去を含めて、徹底的に自社の社員の犯罪を聞き取り調査をして、全部、あらいざらい白状するしかない。これをやらないんだったら、さっき言ったように、テレビ番組から撤退して、一般社会の常識から隠れた場所で、続けるしかない。
それがダメなら、さっきも言ったように、会社をたたむしかない。
しかしこの話は別に、吉本だけじゃないわけだ。小沢がそうだったように、この「病気」は芸能界全体に広まっている。結果としては、業界全体としての、

  • ルール

を決めて、すべての人事の刷新が必要となるでしょう。過去からい続けている人たちこそ、何百回と悪行を繰り返してきた張本人なのであって、彼らがトップを独占している限り、業界の浄化は実現しない。
しかし、その場合にたちぶさがるのが、芸人などのトップの人たちの「芸術家」としての唯一性、番組プロデューサーの「才能」としての唯一性だ。つまり、

  • 代えが本当にいるのか?

が問われる。しかし、それはスポンサーサイドには関係のないことだ。おそらく今後、まったく違った種類のテレビ番組が増えていくことになるのだろう...。