姜在彦『朝鮮通信使がみた日本』

この本では、江戸時代の、朝鮮通信使を一つ一つ説明してある。その中に、慶暹の『海槎録』にある、姜ハンにふれた部分がある。

日本人の言によると、姜ハンは俘虜になって5年間、形体をくずさず、衣冠を変えず、静かな一室にこもって、ひたすら書を読み字を綴るのを事とし、いまだかつて日本人と相対して歯を見せなかった。宋象賢の妾は、節を守って屈せざるを死をもって誓った。日本人も貴いこととしてこれを敬い、一室を築いてわが国の被りょ女性をして護衛し世話をさせた。惟政の訪日に至っては節を全うして帰ったことが遠近に喧伝され、美事として賞賛された。けだし日本という国は、もっぱら武勇を尚び人倫をわきまえないけれども、節義の事を見るにいたっては感嘆せざるものはなく、これをたたえるのは、天理本然の性と見るべきであろう。

朝鮮通信使がみた日本

朝鮮通信使がみた日本