日本古典文学

三島由紀夫「わが友ヒットラー」

三島というのはどういう作家と考えるべきなのか。菊池寛の書く小説は、テーマ小説といわれたそうですが、三島の特徴とは、そのテーマ小説だと思いますね。 そうやって、いろいろ興味深いポイントをついたテーマをみつけてくる。 この小説も、なかなか考えさ…

谷崎潤一郎『春琴抄』

谷崎文学といえば、『痴人の愛』であると私は思っている。 ただ、この作品、春琴抄も、短かい内容であるが、不思議な感覚になる。 はるか昔に読んだだけだったが、思うところがあって、ちょっと読んでみた。 私が昔から思っていたことは、ノーベル文学賞をと…

『日本の名著・伊藤仁斎』

伊藤仁斎の全貌を知ることは、現状、素人には難しいですね。一応、この本には「論語古義」と、「童子問 上」の現代語訳があり、入門にはいい。全集もないみたいですし、なんとかしてくれないでしょうかね。 程子はいう、「『論語』を読みおわってまったく平…

梶井基次郎「冬の蝿」

彼の作品は、少ないですが、おもしろいものもあると思います。 私は山の凍てついた空気のなかを暗をわけて歩き出した。身体はすこしも温かくもならなかった。ときどきそれでも私の頬を軽くなでてゆく空気が感じられた。はじめ私はそれを発熱のためか、それと…