小島毅

小島毅『「歴史」を動かす』

日本で最も「遅れている」学問はなんだろう。間違いなく「日本史」だろう。 戦後、日本の教育は「自由」になった。つまり、戦前の歴史教育は皇国史観であったわけだが、戦後はその軛から逃れたはずだ。ところが、どうだろう。歴史教育の内容はそれで変わった…

小島毅『父が子に語る近現代史』

私が「礼」という言葉が気になりだしたのは、この方の以下の本を読んだころからでした。 宋学の形成と展開 (中国学芸叢書)作者: 小島毅出版社/メーカー: 創文社発売日: 1999/07メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る この本自体は、宋の時代を…

小島毅『父が子に語る日本史』

日本は、日本「ではない」。 このことの意味、なんですね。 この地方は、いまからおよそ千年前、アテルイという名の王が治めていました。京都の政府つまり「日本国」への服属を拒み、もし律令体制以外の政治機構も「国」と読んでしまってかまわないならば、…

小島毅『近代日本の陽明学』

小島毅が、日本における、陽明学の与えた影響の推移について書いてある本で、大変興味深いのだが、一点、別の角度で、おもしろいことが書いてある。 なぜカントが明治時代の哲学者に好まれたのか?カントが理性の独立自尊を説いた哲学者だったからである。そ…

小島毅「儒教のいまと孔子学院」

孔子学院というのは、最近、日本の大学内にできている、教育機関をそう呼んでいる、ということのようだ。つまり、そういったものに孔子という名前を使うことのナイーブさを問題にしている、という主旨のエッセイのようだ。 儒教思想の現代的意義を強調する人…

小島毅『足利義満 消された日本国王』

今回は、義満日本国王にフォーカスをあてたもの。二つの命題を提示している。ひとつは、「孟子は革命思想なのか」。これについては、歴史的に否定的な考えを示している。もう一つは、「義満国王は天皇家をのっとろうとしたのか」。こちらは、むしろ当時とし…

小島毅『朱子学と陽明学』

この本について、まえがきにおいて、朱子学・陽明学を「思想文化史的」に解説したもの、とある。ニーチェで言えば、系譜学ですね。アクロバティックに、さまざまな角度から、論じられていて、教科書的な整理の本とは、まったく違う。大変、能力のある最前線…

小島毅『東アジアの儒教と礼』

これも今読み終わった。こちらは、「礼」を中心とした歴史、儒教、朱子学、のおさらいのところがある。前半で、おもしろかったのは、前漢末の宮廷の図書整理、目録作成についてだ。 前漢末についてもう一つ見のがせないのは、宮廷に収蔵された図書が整理され…

小島毅『義経の東アジア』

今読み終わったところ。こんなにおもしろいと思っていなかった。細かい解説は後で書こうと思うが。義経の東アジア (智慧の海叢書)作者: 小島毅出版社/メーカー: 勉誠出版発売日: 2005/09メディア: 単行本この商品を含むブログ (11件) を見る

小島毅『海から見た歴史と伝統』

読んでる途中。遣唐使以後もずっと、これほど、海外との交流が、あったというのは、知識がなかった。また、朱子学が、宗の時代に中国で普及したのと、江戸時代に日本で普及したことの、時間的な関係について、以下にある。 近世とは、朱子学が禅仏教から自立…

小島毅『靖国史観』

明治の、「国体」の語源が、幕末の水戸学派、会沢正志斎の『新論』とされるのは、有名であるが、問題は、正志斎が何を言わんとしていたか、である。 正志斎はまず古代の朝廷の記録、何々天皇がだれそれを派遣して軍事作戦を行ったという記述の列挙から始める…