2013-03-01から1ヶ月間の記事一覧

人類は科学によって滅びるか?

今回の311以降の、福島第一の放射性物質に対する議論は、非常に変な印象を受けたものである。 それは、なにをおいても、変なのは、「科学者」と呼ばれるような、大学教授たちだったのではないだろうか。 どうも、日本は変になってしまった。 それは、以前…

鈴木健『なめらかな社会とその敵』

日曜日に映画館で、タランティーノの「ジャンゴ」を見たが、あいかわらず、血のりを大量に使う、エンターテイメントだったかな、といった印象だろうか。 ああいった映画を「ブラックスプロイテーション」(Blaxploitation)と呼ぶのだそうだが、おそらく、歴…

加藤尚武「ヘーゲル体系論の四つのモチーフ」

よく、私たちは「自明」という言葉を使う。そんなの当たり前じゃないか、と。そして、その「自明」な言明が通じない相手を、論難する、というわけだ。しかし、そういった対立が起きている場合には、往々にして、お互いの主張は、その「前提」を違えているも…

藤本一勇『情報のマテリアリズム』

私たちが「発話」する場合、多くは「(話しかけている)他人をコントロールしようとしている」と考えられる。つまり、話しかける相手がいない発話は、「会話」ではない。会話の練習といってもいいが、ようするに、なんだかわからない行為だ、ということであ…

村上隆『芸術闘争論』

私たち人間にとって、「概念」は「物」に「先行」するだろうか? 例えば、こんな例を考えてみよう。ある人がいたとする。この人は、毎日、なにかをしている。朝早く起きて、電車に乗り、ある会社のビルに入り、毎日同じイスに座り、パソコンのキーボードを打…

中村礼治「吉本隆明と原発」

吉本隆明がなぜ、原発推進派であり続けてきたのか。それは、彼の持論に関係している。多くの人たちは、その吉本の持論をまともに相手にしない。それは、いわゆる思想家なる、いっぱしにものを考えている大人が口にするには、どこか「文学」的で、ナイーブな…

土井淑平『原子力マフィア』

よく、原発は国策だと言われる。しかし、私には、この「国策」という言葉は、非常に重い言葉に思われる。 例えば、公務員は、基本的に国の意向に従うから公務員なのだから、当然、国策に反する態度を示すことはできないだろう。もちろん、個人的な感情は、人…

アンドリュー・ゾッリ『レジリエンス』

そもそも、組織は、永遠に存続することを目指すべきなのだろうか? もちろん、ここで、「永遠」という言葉を使ったことはミスリードであろう。 人間は「永遠」に子孫を残し続けるだろうか? なぜ、こういった問いはミスリードなのか。 自然数を考えてみよう…

諏訪哲二『いじめ論の大罪』

ここのところ、「まおゆう」といかいうアニメがやっているが、つくづく、文章のセンスのない人というのは、こういう書き方をしてしまうんだな、というのを印象づけられる。 この物語において、主人公は、最初から最後まで、「勇者」と呼ばれるし、自らをそう…

狂った果実

それにしても、戦後社会で最も大きな出来事が、ソ連を中心とした、社会主義圏の「崩壊」であったことは、だれもが認めることであろう。そしてこの事態が、チェルノブイリ原発事故と、「並行」して理解されたことは、大変に興味深いものがあった。 ソ連がロシ…

西尾維新『悲痛伝』

ミステリ小説という「分野」がある。 しかし、この表現は変だ。 というのは、もしも小説なるものがあるとするなら、ここには、 ミステリと分類される小説 ミステリと分類されいない小説 の二つが「ある」と言っているからだ。さて。あなたは小説を読むとき、…

山本清『アカウンタビリティを考える』

日本においては、いわゆる言論人も含めて、「ふわっ」とした形で話すことが、その人の「センス=芸術」みたいな感覚があって、「いけてる」感があるのであろう。しかし、それを「パブリック」な場でやられると、聞いている側は、ほとんど「意味不明」である…