2019-04-01から1ヶ月間の記事一覧

河野裕『きみの世界に、青が鳴る』

この階段島シリーウを今まで読んできて、この作品のテーマとしての、 なにかを<捨てる>ことなく<大人>になれるのか? つまり、成長できるのか? 子どもが大人になることの、その「汚なさ」への抵抗をどこまで徹底できるのか、ということでは興味深く読ん…

スティーブン・ピンカー『人間の本性を考える(上)』

掲題の本の副題にあるように、この本は、人間の本性が ブランク・スレートじゃない ことを証明するために書かれている。つまり、逆に人間の本性がブランク・スレートだ、と言っている過去の数々の学者の学説が、どのように間違っているのかを証明していく。 …

太田紘史「自由意志の概念を工学する・哲学の側からの応答」

(こちらは、前回紹介した『<概念工学>宣言』という本の、第4章に対応する。) よく考えてみると、そもそも自由意志って、定義がないんだよね。みんな「ボクノサイキョウノ自由意志」について語っていて、つまりどういうことなのかって聞くと、なんでそん…

戸田山和久「哲学の側から Let'S 概念工学!」

掲題は、『<概念工学>宣言』という本の第一章となっていて、また、この本は、タイトルにあるように、「概念工学」という戸田山先生による造語による、 新しい学問 の誕生を宣言した本である。ここではあくまでも、この概念工学という用語の、戸田山先生の …

望月俊孝「書評・冨田恭彦『カント哲学の奇妙な歪み----『純粋理性批判』を読む」』

私はあまり、哲学畑に詳しいわけではないので、こうやって質問してしまうのだが、以下の、一連の冨田恭彦氏の最近の カント批判 をどう思われているのであろうか? 観念説の謎解き―ロックとバークリをめぐる誤読の論理 ローティ: 連帯と自己超克の思想 (筑摩…

「普通」という暴力

全般的なサブカルチャーがそうだが、特に、小説などの物語関連は、人々が「病気」になると、ちょっと読めないような「差別」性をまきちらしている。 しかしこれは、ある意味で、多くのマイノリティが受けている日常でもあるとも言えて、大学の頃、親族を亡く…

松本卓也『創造と狂気の歴史』

掲題の本は、以下のエピソードの紹介から始まる。 かつて米国のアップル社の最高経営責任者であったスティーヴ・ジョブズ(一九五五 - 二〇一一年)が「師」と仰いだ起業家ノーラン・ブッシュネル(一九四三年生)は、ビジネスの世界において新たな創造を可…

東アジア型徳倫理学

少し前の話題だが、大変に興味深いので、改めて考察してみよう。 セリーナ選手は2度警告を受けた後、主審に対し、「泥棒」などの暴言も交えて執拗に抗議した。その結果、3度目の警告を受け、1ゲームを失った。 ウィリアムズ選手は試合後、男子の試合であ…

認識の外延と「内包」

まあ、ようするに、通俗的心理学の批判の話を書こうとしているんだけれど、これが思った以上に、世の中的には難しいわけでして、ようするに、いわゆる「知識人」でも、同様の誤謬にはまってしまうからなのであって、なかなか厄介なわけである。 そのことは、…

中塚明『日本人の明治観をただす』

つらつらとネットを見ていたら、以下のようなエッセイの記事を見かけた。ようするに、親日パラオと韓国を比較して、なぜこんなに違っているのか、ということを言いたいようなのだが、そのエッセイの最後の方は以下のように、しめられている: 朝鮮半島も未開…

けものフレンズ2の大混乱

さて。巷では、アニメ「けものフレンズ」問題が、こと、二期の評価の段階においてまで続いている、という異例の事態が起きているわけであるが、ようするに、二期が おもしろくない と言っている人が、かなりの割合に至ってしまったことに対して、これはなん…

戸山香澄の鬱耐性

(新しい年号が決まったわけだが、出典が万葉集の梅の歌を集めた序文であったということで、まあ、選考委員たちが一つの見識を示したのかもしれないとは思った。「令」というと、管理社会の強化を想起するわけであるが、「令月」における「令」は「良い」と…