2010-07-01から1ヶ月間の記事一覧

経済原論

経済とは、差異を突く運動である。その目的は、ひたすら、金銭の獲得にある。金銭を獲得するためには、借金も厭わない。つまり、見通しを間違えば、莫大な借金を負うことさえ、その末路の一つとして想定される、そういった運動である。 ここで、問題は、「主…

ロラン・バルト『文学の記号学』

また例の、福嶋さんの紀伊国屋新宿店で紹介している一つ。バルトの、コレージュ・ド・フランスの講義録。 私は、ほとんどネットって見ない。読まない。読むとしたら、ニュースくらいで、たまに、自分の興味で、いろいろ読んだりするけど、まず、定期的に読む…

上野千鶴子『当事者主権』

中西正司という方との共著。2003年の初版。 病院に行くと、ちょっとした風邪でも、両手いっぱいの薬を持たされて、帰される。どう考えても、あと数日もいらないくらいで、治るわけだし、会社に、インフルエンザのような症状で、現場に迷惑をかけないため…

エドワード・ホール『かくれた次元』

この本こそ、まさに、 モラトリアム な一冊の一つにふさわしい、と言えるだろう。特に、若い人たちにこそ読んでほしい一冊だと思う。 なぜ、この本が多くの人たちに読まれるべきと考えるのか。それは、自分を相対化することと関係する。自分を相対化するとは…

筑紫哲也『スローライフ』

筑紫哲也さんが亡くなったのは、果して、いつのことだっただろうか。彼が長年、TBSテレビでやっていた夜のニュース番組が、今でも「同じ名前」でやっているようだから、つい最近だったことは間違いない。 肺癌で亡くなったのだったか。亡くなる最後まで、…

マイク・デイヴィス『スラムの惑星』

現代とは、一言で言うと、なんなのだろうか。現代とは、 都市 の時代だと言えないだろうか。世界中、すべからく(第三世界でさえ)、大都市が自生し、そこに、世界中の人口の大半が暮らしている。しかし、都市の特徴とは、なんなのだろう。それは、一言で言…

スウェーデン?

やっぱり自分が思っていることを、他人も思っていたりするんじゃないかな、と思うことは、よくあることだ。そうしたとき、便利なのは、ネットで、ググれば、自分なんかよりもっと、スマートに、いい感じに、整理してくれている。 たとえば、「金持ち争奪戦」…

柄谷行人『世界史の構造』

なんか、隔世の感がありますね。長年、この方の著作を読み続け、影響を受けてきた自分としては、一読者として、ただただ楽しめた。いつか、こういったものが読めないかとは多くの方が思っていたのではと思うけど、こうやってそれが実現されてみると、昔の頃…

斎藤環『戦闘美少女の精神分析』

2000年の出版であるが、私は最近、この本を読んで、あまりの「感覚」の違いにびっくりした。大事なことは、2000年から、このゼロ年代を介して、 まったく変ってしまった ということではないだろうか。しかし、それに気付いている若者と、ある程度、…

杉山正明『遊牧民から見た世界史』

(この前の福嶋さんが、紀伊国屋新宿店で紹介している本。) それにしても、いろいろ考えさせられた。一般にどのように考えられているのだろうか。 以前から疑問であったのだが、日本では、縄文時代の次は、弥生時代になる。でも、あれっと思うわけです。な…

井田徹治『生物多様性とは何か』

生態系というアイデアは、多くのことを考えさせる。 たとえば、友敵というアイデアがある。人はだれでも、友達とそれ以外で区別する。友達でない存在は、状況によって、敵と分類される。 しかし、生態系のシステムにおいて、この分類はどうなるのだろうか。…

福嶋亮大『神話が考える』

なかなかおもしろかったですね。バランス感覚もあって、今後もたのしみな方ですね。 著者が、「神話」と言っているのは、直接には、レヴィ・ストロースや、ジャン・ボードリヤールや、ロラン・バルト。こういった、延長で考えているのだが、この本で、直接え…

野口さんの経済エッセイ

ここのところ、野口さんの、経済エッセイが、おもしろく、よく読んでいる。 野口さんが言った、「経済学は常識学」、っていう言い方が、おもしろく、気に入ったのだろうか。そうやって、この人の書いているものを読むと、その「姿勢」が、よく分かり、好感が…

第二のハウスマン

このタイトルを見てなんのことを言っているかわかる人は、どうかしている。ハウスマンとは、アニメ「聖剣の刀鍛冶」 聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス) (MF文庫J)作者: 三浦勇雄,屡那出版社/メーカー: メディアファクトリー発売日: 2007/11/01メディア: 文庫購入…

ヘルマン・オームス『徳川ビレッジ』

(いやあ、読み始める前は、ここまでおもしろいと思いませんでしたね。恐るべし、ブルデュー社会学。こんな、1ページめくるたびに、ぞくぞくする本は久しぶりでした。私はこの本を読んで、完全に社会学を見直してしまった。すばらしい学問だ!) オームスと…

クリストファー・ラッシュ『エリートの反逆』

1994年に亡くなったアメリカの歴史学者。彼の遺作ということらしい。 この本のタイトルは、英語の原題の直訳そのままなのだが、ようするに、オルテガ・イ・ガセットの『大衆の反逆』をもじったものになっている。 オルテガの時代のスペインをどのように…