柄谷行人
人類の歴史を考えたとき、遊牧民というか、狩猟採集生活をしていた期間というのは、農業を始めた期間に比べて圧倒的に長い。ほとんどの期間、人類は、狩猟採集生活をしてきた。 ということは、なにを意味しているか? 人間の慣習的な作法の多くは、こういっ…
なんか、隔世の感がありますね。長年、この方の著作を読み続け、影響を受けてきた自分としては、一読者として、ただただ楽しめた。いつか、こういったものが読めないかとは多くの方が思っていたのではと思うけど、こうやってそれが実現されてみると、昔の頃…
人によっては、一つ前のブログで、キリスト教について書いたので、今度は仏教だろう、と予測した人がいたのかどうかは、さだかではないが(そもそも、このブログを読んでる人なんているのか?)、正直に言えば、次に仏教について書こうと思って、前のブログ…
これからの、さまざまな批評においても、当然のように、宗教に関する認識が多くの場面で検討されることになることは事の必定であろう。 ただ、そういった場合に、その人がどのような「宗教」を頭にイメージするのかは、非常にクリティカルである。宗教という…
今回のインタビューは、今までの、まとめのような内容ですね。それほど、深く、ふみこんでいるようではないけど、全体として、柄谷さんについて、把握するには、いいんじゃないか。 いろいろ、書いてありますし、それぞれ、興味深いんですが、やはり、ひとつ…
それにしても、オバマの糾弾は、強烈であった。 公的資金をもらっていた銀行の、経営者たちが、膨大な金額のボーナスをむしりとっていたことに対する、オバマの強烈な弾劾。 今回の金融恐慌によって、多くのなけなしの市民は破産のうきめに合いながら、国の…
最近の、株価の下落は、ものすごい。末恐しくならないだろうか。 今、日本で、ほとんどの人が、この不況で大変なことになっているのではないか。 少し前は、まわりには、ネット・株取引をやってる人がけっこういたものだ。タバコを吸ってるときも、いつも、…
私は、最近、よく考えることがある。それは、「右翼」の定義についてだ。私は、左翼というのは分かりやすいと思っている。基本的に、啓蒙思想の流れにあるものと考えてそれほどはずれていない。 では、右翼というのはなんなのだろうか。 一般的なイメージと…
また、 倫理21 (平凡社ライブラリー)作者: 柄谷行人出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2003/06/01メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 22回この商品を含むブログ (37件) を見る ですが、最後の、 第12章 生れざる他者への倫理的義務 についてです。 若いマ…
前にも 倫理21 (平凡社ライブラリー)作者: 柄谷行人出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2003/06/01メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 22回この商品を含むブログ (37件) を見る については書いたのですが、ちょっと、違った部分について書こうと思います。ま…
前にも紹介したが、 探究2 (講談社学術文庫)作者: 柄谷行人出版社/メーカー: 講談社発売日: 1994/04/04メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 25回この商品を含むブログ (40件) を見る を、大変、興味深く読んだ。第二部の、スピノザの分析もおもしろいのだが、…
もともと、フォークナー全集の解説として書かれたエッセイだと思う。大橋健三郎というのは、フォークナーの翻訳もやっている学者。柄谷さん自身、大学院時代は英米文学をやってるようなので。中上健次については、故人ですが、柄谷さんと仲がよかったようで…
この本は、めずらしく、かなり常識的なことについて、言及している。 フロイトが子育てに関してただ一つ積極的に言ったのは、宗教的教育への反対ということです。子供の時からの宗教的教育はやめるべきである、と。先ず宗教を教えて、それから科学的知識を教…
差別をめぐっての対談。ポール・ド・マンの名前があるが、自分というのは、自分のカテゴリーに制約されてしか、物事を、みれない。どうしても、気づかない穴ができてしまう。 たとえば、革命運動そのものが実は女性差別的であるとか、逆に、ある種のフェミニ…
蓮見重彦との対談。バブルの頃の、でしょうか。 たとえばスケープゴート理論とか第三項排除ということで共同体のメカニズムが説明されますね。この理論は、人間が共同体としてあるかぎり古来やってきたし、いまも見えないけれども同じことをやっているのだと…
エリック・ホッファーについては、最近も、立花隆が紹介したりして、...、といっても、ほとんどの人が知らないだろうな。 エリック・ホッファーは、1902年ニューヨークにドイツ系移民の子として生まれた。よく知られているのは、彼が7歳のとき失明し、…
雑誌「批評空間」での対談。『世界共和国へ』において、 世界共和国へ―資本=ネーション=国家を超えて (岩波新書)作者: 柄谷行人出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2006/04/20メディア: 新書購入: 2人 クリック: 76回この商品を含むブログ (142件) を見る 柄…
このエッセイにおいて、アカーの人たちの裁判を見る機会をえたときの、感想を書いている(昔、雑誌の現代思想の特集で見たのですけど、下記の文庫の解説にあるようです)。 私は1961年ごろ、安保闘争の6・15事件の裁判に関係したことがあり、以後も友人が被…
以前、柄谷行人が、どこかで、「必要」というようなことを言ってたような記憶があるんだけど、どこに載っていたのかが思いだせない(確か、以下のマルクスの有名な言葉に関連しての話だったと思うんですけどね。 各人はその能力に応じて、各人にはその必要に…
丸山眞男の、政治的な面での、市民の性向の分析を、紹介している。X軸に、政治的権威に対する求心性、Y軸に、結社形成性、を置いて、第一象限は、民主化、第二象限は、自立化、第三象限は、私化、第四象限は、原子化、としている。そこで、成熟した社会に…
トマス・クーンというと、『科学革命の構造』 科学革命の構造作者: トーマス・クーン,中山茂出版社/メーカー: みすず書房発売日: 1971/03/06メディア: 単行本購入: 14人 クリック: 365回この商品を含むブログ (90件) を見る において、「パラダイム」という…
大塚英志との対談。あらためて、ネットと匿名の問題が論じられている。 一方、ギリシアの民主主義は本質的に、くじ引きによるものです。直接民主主義といっても5000人も集まって議論ができるわけがないのです。あれはかたちだけです。大事なのは権力をも…
青野總さんとの対談。 前に、エリック・ホッファーの本を読んでいて、彼が「挿絵のない本」を探して読んでいる、といったことが書いてあった。それは、たんにそういった絵というものが好きじゃないというのもあるだろうが、やはりユダヤ教的な、偶像崇拝の禁…
子安宣邦と、酒井直樹との、対談。酒井直樹の『過去の声』を受けて行われた対談。この本において、伊藤仁斎が、重要な存在とされていることや、子安宣邦の『鬼神論』での、伊藤仁斎の評価、そして、彼自身による、以前の「伊藤仁斎論」、これらを改めて、ふ…
大江健三郎との、中野重治をめぐる対談である。これは、リラックスした中で、語られたものだと思うが、今読んでも、大変興味深い対談である。その全体像は、本文を読んでもらうとして。 こういった発言がある。 僕は、基本的に、資本主義は終ると思っていま…
作家の中上健次が亡くなったのは、ずいぶん前だが、彼は、生前、被差別部落と、彼自身の関係を語っていたことがある。彼の紀州サーガにおいて、雑賀孫市をにおわせる記述があったと思う。ここでは、主に、石尾芳久『一向一揆と部落』を読んで、その意味を研…
この論文は、2002 年の坂口安吾のムック本に掲載されている比較的、短かい論文である。ここで、柄谷行人さんは、坂口安吾が、早い時期から、日本のアナーキストとの、交流があったことを指摘しています。 坂口安吾という人も、伝説的な人ですね。作家であり…
これは、けっこう、昔、湾岸戦争から少したった頃の柄谷行人さんの短かい論文である。 自由主義、国家の廃止、こういった問題について整理している。ノージックの本とかありましたが、つまり、最近の、リバタリアニズムに近い問題関心ですね。 ただし、ここ…
この、「探究」という一連の論文は、いろいろな大変、示唆に富んだ指摘がある。以下は、「シャーマニズム」について書いた所である。 彼(農夫)は共同体の内部に属する者であり、また何とか操作しうる自然を相手とする者である。彼は、自然に対して無力であ…
彼の場合、基本は、「個人主義」なのだろう。 だから、簡単に言うと個人主義ですね。人に支配されたくないし、人を支配したくない。そういう気持ちがあったね。 であれば、どうするのか。「人に意志を強要しない、暴力も使わない、それでいて自然に人が変わ…