2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧

改憲論者とは何者か?

いわゆる「改憲論者のパラドックス」というものがある。どういうものかというと、 もしも改憲が民意なら、改憲論者が改憲すべきと言わなくても、勝手に改憲されている。もしも改憲が民意でないなら、いくら改憲論者が改憲すべきと言っても改憲されない。よっ…

冨田恭彦『観念論の教室』

観念論は、その主張が間違っているかどうか以前に、その系譜学的な分析が欠かせない。つまり、なぜこのような主張が一つの「流行」として一世を風靡したのか、を知る必要がある。 なぜ観念論が生まれたのかを考える上で、私たちがこの世界を見たり聞いたりし…

平成の坂本龍馬

とうとう、日本共産党の志位委員長が、野党共闘「国民連合政府」構想をぶちあげた。 私たちが待ちに待った、共産党からのアクションが、今回の安保法制を巡る、国民的な抗議運動に 答える 形で、共産党から提示された。こういった共産党のアクションをひきだ…

徳倫理学とは何か?

近代以降の、道徳哲学は、ベンサムの功利主義と、カントの義務論によって、説明され尽した、と誰もが考えたこの時代にあらわれたのが 徳倫理学 であった。ところが、困ったことに多くの人にとって「これ」がなんなのかが分からない。うまく「指示」できない…

フィリップ・J・アイヴァンホー「徳倫理学と中国の儒教の伝統」

なぜ近年、わざわざ「徳倫理学」なるものが言われるようになったのかというと、少し歴史的な経緯がある。つまり、早い話が、 ベンサムの功利主義 カントの義務論 の二つが、とても成功してしまったため、むしろ、ヨーロッパの伝統的には、ずっと一般的だった…

ミシェル・ウエルベック『服従』

自民党の小泉政権が、小泉首相という党内になんの基盤もなかった一匹狼に政権が移ったとき、彼は一本釣りで、党内の「若手」から、後継者候補として自らの側近として、何人かを置いた。 その一人が安倍首相であったわけだが、この人選の特徴は彼らが「極端」…

伊東計劃『ハーモニー』

よく日本には宗教がない、と言われる。つまり、ほとんどの日本人が無宗教だ(無宗教な生活をしている)と。そして、そのことに、日本以外の国の人は 不思議 に思う、というわけである。なぜ日本以外の国の人がそのことを「不思議」と思うかというと、そのこ…

結局、今回可決した法案の「中身」はなんだったのか?

日本の知識人って、ほんとダメだな、と思うのは、みんな「自分の問題」にしちゃうんだよね。つまり、自分の関心の範囲で逆ギレしたり、納得したり、影で陰湿に人格攻撃したり。 でも、そういうことって、もうしわけないけど、一般国民にはどうでもいいことな…

侵略戦争を抑止する国家スキーム

私たちがよくよく理解しなければならないのは、安倍政権が「なぜ」、今回の、どう考えても無理筋の解釈改憲を行ったのか、ということである。つまり、彼らは裏で、世論調査を行い、今、憲法改正を提議して、憲法第九条の削除が、たとえ、国会の三分の二を通…

責任者は誰か?

今回の安保法制は、まさに佳境にさしかかっており、この後の展開がどうなるかは予断を許さない。 しかし、そういったことと関係なく、今回の、シールズなどのデモによる国会前などでの反対運動や、野党による国会ので反対行動は、非常に重要だと思っている。…

アイドルと鬱

アニメ「デレマス」は、なぜつまらないのであろうか? もともとケータイゲームとして、アイテム課金制などにより、このアニメ制作自体は、他のアニメに比べても、比較的資金に余裕をもって、作成されているのではないか、と思っているのだが、とにかく、まっ…

郭舜「憲法第9条削除論」

法哲学者の井上達夫が、憲法第9条削除論を、昨今の安保法制反対の国民的な盛り上がりに、棹を指すかのように、煽りぎみにマスコミにとりあげられているが、どうも世間のその受けとめかたは、井上氏の議論が、アイロニカルには、一種の逆説的「安保法制賛成…

鬼怒川の決壊

ネット上では、またぞろ原発安全厨が、鬼怒川の決壊の件で、メガソーラーによって、決壊したから、今回の被害になったと騒いだ。ところが、実際の決壊した場所はずっと下流で、それをネットでは「デマ」ということで、否定がされた。 これで話は終わったと思…

TBS報道特集が報じた安保法制

9月5日のTBSの報道特集の内容は驚くべき内容であった。去年、防衛省が用意した、防衛大臣用の想定問答集が、今回の安倍総理が言っている内容と整合しない。つまり、今回の閣議決定はまったく自衛隊と相談せずに、内閣だけて決定した、と言うわけである…

根本かおる『日本と出会った難民たち』

この地球上に生まれた私たち人間は、さまざまな理由によって、住む場所を「変えたい」と思うのではないか。その「移住の自由」を、私たちは一つの「国際的な権利」として認めるべきだと思うだろうか? 逆に考えてみればいい。では、なぜ移住してはならないと…

東浩紀さんに「呪われた」フクシマ

毎日新聞で行われているという、東浩紀さんと開沼博さんとの往復書簡なるものが、以下で読むことができるが、これは一体、なんなのだろうか? 福島はいまや世界中が知る地名です。悲劇の結果ですが、しかし東京への一方的な従属を断ち切るチャンスでもあるで…

なぜ東京五輪ロゴは取り下げられたのか?

下記のオリンピック組織委員会の武藤事務局長による五輪エンブレム取り下げの会見は、とても奇妙な内容であるだけでなく、そもそもここで何が話されているのかが、よく分からない「謎」の空間であった。 盗作ではないが一般国民の理解を得られないと判断・オ…

町田明広『グローバル幕末史』

今、国会で、中谷防衛省大臣の答弁の二転三転の奇妙な醜態をさらしているが、ようするに、防衛大臣は国民に事実を隠すことに対して、なんの恥かしさもないわけであろう。その予兆はすでに、特定秘密保護法の頃から予想はされていた。この法律が言おうとして…

視差の倫理

私の前のブログの記事ではよく、東浩紀さんの発言について、とりあげていたのだが、最近はあんまり興味がなくなってきた。 それは、彼が改心して、まともになってきたから、というより、彼の「構造」がはっきりしてきたので、そもそも発言している内容に新し…

リアリティと「方法」

幕末の頃に、写真機が全国に普及し、今でも私たちは幕末の志士たちの姿をその写真で確かめることができる。ところが、西郷隆盛だけはなぜか写真が残っていないことが幕末の謎として今でも話題になる。彼がなぜ写真を嫌ったのかは諸説あるようだが、そもそも…