2017-08-01から1ヶ月間の記事一覧

大山誠一『天孫降臨の夢』

私が学校で教育を受けた頃はまだ、聖徳太子が実在しなかったということは、明確に記述されていなかったと記憶しているが、近年の教科書では、それはもはや 自明 となっているようである。それについては、掲題の著者も関係しているということのようであるが…

スマホについてのメモ

ケータイに代わり、多くの人が当たり前のように使うようになったスマホは、そもそもそのOSレベルでは、パソコンと変わらない。つまり、当たり前のように、だれもがポケットにパソコンをもち運ぶ時代になったことを意味しているわけで、そのカルチャーショ…

言語のパラドックス

さて。遺伝子には「なんと書いてある」のだろうか? この質問は異様だろうか。遺伝子。つまり、DNAは基本的には幾つかのパターンで分類されたものの連なりとして記述されているわけで、これが生物の発現形態をさまざまに決定していると言うのであるから、…

東浩紀先生の哲学の全体像

今まで、東浩紀先生の哲学には、このブログでも、さまざまにお世話になってきたので、ここでは、その全体像を私なりの独断と偏見で、まとめてみようと思う。 といっても、別に教科書のようなものや、まとめサイトのようなことををやりたいわけではなく、いわ…

牛乳石鹸CMへの反応に対する違和感

まあ、牛乳石鹸のCMが炎上している件については、今さら説明するまでもないであろう。少しネットで検索すれば、簡単に見られるし、それに付随して叩かれているポスターも見つかる。 しかし、私が見た印象は違った。このCMを最も象徴しているのが、主人公…

アベノミクスはバブルなのか?

バブルは必ず「崩壊」する。それは、なんらかの「ひずみ」によって生まれるわけだが、それが、どのような筋道で起きるのかは、本質的に理解しづらい。それは、「設計」という考えの限界を示唆しているとも言えるが、多くの有識者がそもそも、なんらかの「利…

田中克彦『言語学者が語る漢字文明論』

この前、病院に行ったとき、初診の場合は、受付でアンケートのようなものを書かされるわけだが、非常に混んでいて、さっさとこれを書いて提出しないと、順番を後回しにされると思って書いていたのだが、言うまでもなく、私のような(ほとんどの人が同様だと…

安田登『あわい時代の『論語』』

孔子の言う「仁」という言葉は、論語の中でも、著しく「矛盾」している、ということが言われる。そこで、その矛盾とはなんなのか、といったことが問題とされる。 なぜ、「仁」の説明が矛盾してしまうのか? これについて、一つの説明として、その仁を孔子が…

高橋洋一『99%の日本人がわかっていない国債の真実』

例えば、こんな思考実験をしてみよう。お金持ちは言うまでもなく、たくさんのお金をもっている。貧乏人は言うまでもなく、ほとんどお金をもっていない。だったら、次のようなことをしてみよう。まず、日本銀行券を大量に印刷して、それをなんらかの手段によ…

後藤雄太『存在肯定の倫理1 ニヒリズムからの問い』

いわゆる自称「哲学者」さんが言っていることをよく聞いてみると、みんな「同じ」ことを言っていることに気付く。このことは、驚くべき事実なわけであって、ようするに、みんな「同じ」ことを、同じ教科書を読んで学んだので、似通ってしまった、ということ…

内部告発者を「敵」認定する東浩紀先生

それなりに大きな企業で働くと、必ずあるのが「内部告発」制度である。つまり、現場の直接の上司や共に働く同期などに告白することなく、 直接 会社のそういった機関に「内部告発」する仕組みで、ようするに、内部の法律違反などの「不正」を、だれにも特定…

公共政策のパラドックス

国家による公共政策には一つのパラドックスがある。それは、国民はその政策がほんとうのところはなんなのかを知らない、ということである。 知らないのに、「選択」する、とはこれいかに? 民主主義は多数決である。しかし、多くの公共政策は近年の、産業の…

トンデモ本「一般意志2.0」

例えば、柄谷行人の『探究1』『探究2』は、確かに扱っている内容は難しいのかもしれないが、少なくとも言おうとしていることは、まあ、分からなくはない。それは、そういった「言おうとしている」相手が、基本的には、そういった一般の読者を想定している…

友敵理論は「ポエム」である

カール・シュミットは、カントの三批判の延長として、「政治」を「友敵」を本質とするものとして定義した。 しかし、である。 そもそも、カール・シュミットはナチス時代のドイツの学者であり、この前紹介した、(ジョン・ロック流の)アメリカ型社会契約で…

楽しそうに「差別」をする社会学者

つい最近も、グーグル社が自社の社員で、女性差別的な発言をしていた人を解雇していた、といったことがニュースになっていた。 Google、女性差別発言の社員を解雇「一線を越えた」 それに対して、男性と女性で身体的な差異があるのは「当たり前」じゃないか…

植原亮『自然主義』

私は「哲学」という言葉が嫌いだ。それは、この言葉を使う連中が信頼できないからだが、むしろ彼ら自身が 哲学=ポエム ということを認めた上で使っているという意味で、うんざりだ、というわけである。しかし、ある意味で詩人は自らが書く詩において、とき…

なぜ「自生的秩序」は国家の干渉を否定するのか?

そもそも、ハイエクの言う「自生的秩序」というのは、進化論が言っているような意味での「均衡」なわけであろう。 だれも「コントロール」をしていなければ、強いものが生き残り、弱いものは死んでいく。それを「秩序」と呼ぶのは、そうやって、一方の人は死…

ルソーの「一般意志」とは何を言っているのか?

ルソーの「社会契約論」は、彼独自の文学的な韜晦な表現が多く、よく意味が読み取れない文章になっている。しかし、丁寧に読んでいくと、彼なりに言いたいことを述べている、という印象を受けてくる。 そもそも「一般意志」というのは、それ以前からかなり使…

世界の国家は「一つ」になってはならない

この前の憲法の話のときに少し書いたことであるが、アメリカ型憲法というか、まあ、ジョン・ロック的社会契約論において、社会契約を行うのは「ピープル」となっているだけで、ある「国民」が想定されていない。しかも、ここで「国民主権」という言い方も混…

思考女子

アニメ「とある科学の超電磁砲」の第一期の前半(第1話から第14話)と、アニメ「TARI TARI」はどこか似ている。もちろん、話の内容は言うまでもなく、まったく違っているが。 それを私がどういうところに感じるのかといえば、佐天涙子と坂井和奏が、とい…

貴族主義を標榜する千葉雅也先生

この前紹介した篠田英朗先生の『ほんとうの憲法』については、今週の videonews.com にさっそく登場されて、分かりやすい説明だったわけだが、聞いていて、なるほどな、と思わさせてもらった。 一つのポイントとして、この日本国憲法が、アメリカ占領軍によ…