2016-01-01から1ヶ月間の記事一覧

カンタン・メイヤスー『有限性の後で』

人間はそもそも、その一人「だけ」をとりだして考えることには意味があるだろうか? というのは、その一人だけであるなら、おそらく、百年もすれば死んでしまうであろう。なんらかの、科学の発展によって、一人で子供を再生産できるようになったり、何百年も…

観念論の「からくり」

観念論が分かりにくいのは、観念論のある部分は正しいが、ある部分は正しくないために、「正しい」と言う人を論破し、「正しくない」と言う人を論破し、ということになり、結局、観念論に変わる「何か」が別に、だれからも提示されないのだから、そのまま、…

岩原裕二『ディメンジョンW』

ところで、映画「屍者の帝国」は、いわゆるかなりの観客の割合で「腐女子」だった、というわけである。これってなんなのだろうと考えてみると、確かに、映画版と原作はかなり違っていて、特に違っているのが、主人公のワトソンとフライデーの関係が、映画版…

日本経済の論点

今週の、videonews.com での議論を考えて、日本の、高度経済成長期以降の経済構造を考えたとき、結局のところ、どういうことなのか、と思うわけである。どこにポイントがあるのか。どこが、国民の選択のキーなのだろうか? 日本の経済構造は、バブル崩壊以降…

「表象文学」というなんか別のもの

どうもこの世界には二つの文学作品があるようである。「文学」と「表象文学」と。 「文学」とは、さまざまなサブカルチャーのことで、そこには、いわゆる「純文学」も含む。一般的に市場で消費されている物語のことだと考えてもらっていい。それに対して、「…

奥村宏『資本主義という病』

社会主義批判とか、共産主義批判が行われるとき、例えば、戦後のソ連や中国やキューバや北朝鮮や東欧の国々といった、旧共産圏の国家政治体制が悲惨かつ失敗に終わった、といった意味において、社会主義や共産主義といった理論の「失敗」といった意味で使わ…

ブラック企業

昨日のSMAPの会見は、驚くというより異常な印象を受けるものであった。 まず、ここで「謝る」というなら、何を謝るのかをはっきりさせなければならない。 なぜ、謝るのか。だれに謝っているのか。なぜ謝っているのが自分なのか。なぜ、謝ることで許しを…

サイクス=ピコ協定の「見直し」は可能なのか?

ISによるパリのテロが起きた11月3日が、第一次世界大戦の「サイクス=ピコ協定」にでさかのぼる「復讐」の意図があったことは、ほとんどマスコミなどで言及されたことはないのではないか。 さて、冒頭で触れたパリでの同時多発テロ。これは地政学的に見…

国家は「だれのもの」か?

そもそも、金融政策はどこまで「フェア」なのだろうか? こういう言い方は奇妙に聞こえるかもしれない。しかし、現政権は「自民党」であり、安倍総理である。彼らがどこまで「フェア」なのかと聞いたら、あなたは嗤うであろう。安倍首相がどうして「フェア」…

加藤尚武『哲学原理の転換』

本当は多くの人が思っていることって、意外と似ているんじゃないのか、と思っている。 例えば、哲学にしても、ようするに、哲学がなんなのかの前に、哲学がどうのこうのと言っている人の、その「語っていること」が 曖昧 なんじゃないか、ということなわけで…

新国立競技場新問題

新国立競技場は、安倍首相の「白紙に戻す」という発言を受けて、ザハ・ハディドのデザイナーとしての契約を解除して、もう一度、コンペから行うことになり、A案とB案のうちの、A案が採択された、ということになっていた。 ところが、ザハ・ハディド側がA…

中国と韓国と日本

今回の日韓の政府同士の慰安婦問題についての「合意」は、非常に奇妙な印象を多くの人に与えた。この合意がなによりも変なのは、まったく、慰安婦たち「当事者」の合意なしに行われたことで、韓国側が今ごろになって、当事者からの理解に躍起になっている、…

トロッコ問題

リベラリズムのアイデンティティは、「左翼ではない」というところにある。つまり、お金持ちはどんどんお金持ちになればいいし、貧乏人がどんどん貧乏になるのは「しょうがない」というのが、基本的なリベラリズムにはある。リベラルは「格差社会」を肯定す…

アニメ「ミリオタ」元年

この前も書いたのだが、アニメにおける「ミリタリー」というのは、一体、どうなっていたのかな、と考えてみると、実はよく分からない印象を受けるわけである。 言うまでもなく、宮崎駿は、どう、だれが見ても「ミリオタ」なわけである。というか、かなりどっ…

ジョシュア・グリーン『モラル・トライブズ』

著者は、人間の道徳は一種の「部族」単位で、進化してきた「本能」に関係して形成されている、と考える。そういう意味では、「道徳とは本能的な感情的な反射的な」なにかだ、と言っているのと変わらない。 他者への思いやり......自分の取り分だけでなく、他…

ガルパンにわか

そもそもなぜ、今までのアニメには、「戦車」が本格的に描かれなかったのであろうか。ガルパンを見たときにだれもが思う、素朴な疑問なのではないか。そもそも、ここまでの戦車戦が描かれたアニメを見たことがない。はっきり言ってしまえば、そういう意味に…

善意の逆張り

哲学とは「真実」の学問である。正しいことを言うのが哲学である。つまり、どういうことか。この宇宙に「善悪」などない。あるのは。物理法則だけだ。これが、科学の結論だ。ということは、世間で言われる 善意 などというものは、そもそも「存在しない」わ…

『"日常系アニメ" ヒットの法則』

フロイトの言う「無意識」って、結局なんなのだろう、というと今だに、うまく説明できないっていう、この状態ってなんなのだろうな、と時々思ったりするわけである。 まあ、日本語が悪いのかもしれないが「無意識」って、「意識じゃない」と言ってるだけです…

『ガルパンの秘密』

文化というのは、突然、私たちの前に現れる。 つまり、「突然」ということは、これは、「時代」なのだ、ということになる。コンテンツは「事件」として、顕現する。 これが「文化論」というわけである。しかし、こういった視点においては、ある意味において…

中原圭介『格差社会アメリカを追う 日本のゆくえ』

早い話が、経営者と株主が、半期ごとに 利益をあげたい と考えたときに、一番、簡単な方法は「会社を売る」ことであろう。株主はどうせ、会社が傾きだしたら、その株が高止まりしている間に売り抜ければいい。経営者も、その間に「トンズラ」すればいい。 さ…

若田部昌澄『ネオアベノミクスの論点』

経済学って、ほとんど人口に膾炙していない理論であるけど、そもそも、金相場制と固定相場制と変動相場制って、まったく違うんですよね。つまり、このそれぞれによって お金の「定義」が違う わけです。これって、よく考えたら、すごいことですよね(そうい…