2015-08-01から1ヶ月間の記事一覧

中野晃一『右傾化する日本政治』

日本政治の特徴とはなんだろうか。私は、党派性にあるのではないか、と思っている。 半藤 海軍は単純ですからね賊軍への差別もはっきりしていたんです。その点、陸軍は官軍と賊軍の関係が複雑で、差別も見えにくい。 ただ、陸軍は人数が多くて複雑だった代わ…

半藤一利 保阪正康『賊軍の昭和史』

日本の近代政治は、鳥羽伏見の戦いで、徳川幕府が薩長に負けたところから始まっていると言える。しかし、そのいきさつはあまりに奇妙であるだけでなく、滑稽ですらある。 半藤 (中略)ただ、幕末の戦争では天皇陛下は直接には関係ないんですよ。薩長対反薩…

石田勇治『ヒトラーとナチ・ドイツ』

私は、いわゆる3・11以降における、日本の言論空間における「エア御用」的なものを、一種の「エリート」主義の問題として考えていた。このことは、一部の有識者による 民主主義の否定(=エリート主義の民主主義に対する「優先」) に対して、その言説が…

北田暁大『嗤う日本の「ナショナリズム」』

ある時期から、ほとんどテレビを見ることがなくなった。しかしそれは、別に、自分に限ったことではないであろう。多くの人がそうなのではないか。まあ、厳密に言えば、日本代表のサッカーの試合はたまにはテレビで見ているし、コンテンツとして、ドラマやア…

マイケル・サンデル『民主政の不満』

アメリカという国は、移民によって作られた国である。つまり、イギリスに住んでいた、ある、一部の人たちが、そのイギリスでの生活が嫌で嫌でしょうがなく、どうしても、この生活から抜け出したくて、多少のリスクを犯してでも、アメリカという新規開拓に希…

新しい時代

現在の世界情勢は多くのことが、まさに、同時多発的に起きることで、なにがなんの因果関係によって、事態が進んでいるのかがなかなか判別できないのかな、と思っている、 つい最近のニュースを見ていても、よく分からない話題に多くの人がくいついていると思…

ネット「集合知」論

今回の佐野研二郎氏のオリンピックエンブレム問題を考えるとき、近年の一連の「集合知」問題として、どうしても印象づけられる。この問題は、明らかに「この問題」に限られた問題ではない。この問題が象徴する、もっと広くて、構造的な諸関係が、なんらかの…

セカンド・レイプ謝罪文

70年談話について、どうしても、もう一つ検討しておかなければならない点がある。 戦火を交えた国々でも、将来ある若者たちの命が数知れず失われました。中国、東南アジア、太平洋の島々など、戦場となった地域では、戦闘のみならず食糧難などにより多くの…

腐れビッチな謝罪文

それにしても、この70年談話って、なんて言うかな。読めば読むほど、相手をいらつかせる、腐れビッチな文章だよな。 ひどすぎる。 なんというか、こういうものを否定する倫理として、日本の多くの子どもたちはそれを、少年ジャンプ的な倫理として、子ども…

官僚ホルホル

バブル以降の官僚たちが考えていたことって、高度成長時代からバブルにかけて、なんでも官僚に「おまかせ」しておけば、国家経済は「成長」でき、みんなが幸せになれる、という幻想を抱かせることだったのであろう。 頭のいい官僚にお任せすれば、日本のあら…

安倍ちゃんのポエム

あのさー。今回の70年談話。これ。まずくないですかね? こんなのを、日本の公式文書にしていいんですかね? 私は少しでも早く、撤回すべきだと思うんですが、どうして他の人はそう思わないのですかね? わが国は先の大戦における行いについて、繰り返し痛…

民主主義の癌細胞

改めて70年談話を読み直してみたけど、やっぱり一つだけはっきりしていて、驚くべきことは、 謝っていない っていうことなんだよね。この絶対、謝ってなるものか、といった根性で書いているというのが、すごいですよね。 わが国は先の大戦における行いにつ…

諸星悠『空戦魔導士候補生の教官』

孔子の論語が興味深く、現代においても理解されるのは、そこに、「教える」側と「教えられる」側との諸関係の本質があると思われているからであろう。というか、この論語に「よって」、私たちはその関係を血肉とし、実践してきたと言ってもいい。そういう意…

メタ謝罪談話

言うまでもなく、あらゆる「行為」には、その責任が伴い、その責任にもとづいて、結果責任を引き受けることになる。それが、アカウンタビリティであって、この諸関係を整理していく作業が政治の役割だということが分かる。 そのように考えたとき、今回の70…

あっと『のんのんびより』

そもそも日本の人口において、どれくらいの人が、子どもの頃を田舎で過ごしていたのかは、過分にして知らない。しかし、そういった場合に、それが何を言おうとしているのかを考えることは、また、別の意味で難しかったりする。 この掲題の作品では、全校生徒…

三雲岳斗『ストライク・ザ・ブラッド』

このラノベの第一巻を読むと、ある程度、この作品の構造が分かるようになっている。私たちが作品を読むとき、結局その「リアリティ」を中心に読むことになる。つまり、つまらない作品というのは、それらの登場人物が「なぜ」そう振る舞うのかに 納得 を感じ…

西垣通『ネット社会の「正義」とは何か』

言うまでもなく、東浩紀さんの『一般意志2・0』という本は トンデモ本 である。つまり、いわゆる「トンデモ学会」というところがとりあげてもおかしくないような意味でのトンデモ本であるが、どうもそう思っていない若い人が多いようである。そういう意味…

魚川祐司『仏教思想のゼロポイント』

近年、「集合知」ということがよく言われるようになった。その場合、その意味はいわゆるビッグデータといったような「統計」処理によってあらわれる、なんらかの「一般意志」のようなものを意味するといったような「ネット情報論」による解釈が一般的ではあ…

保阪正康「安倍首相 空疎な天皇観」

有名なマルクスの言葉を紹介すれば、 ヘーゲルはどこかで言っている。あらゆる世界史上のいだいな出来事と人物は言わば二度現れると。彼はこうつけ加えるのを忘れていた。「一度目は悲劇(トラジック)として、二度目は茶番劇(ファルス)として」 となるわ…

今の状況は絶望的か?

今の国会の状況を見ると、安保法制もまったく、憲法違反の状況を改善して、合憲性を担保しようとしないまま、法案成立を与党の多数決で通そうとしている安倍政権の姿勢を見て、絶望的な気分に悩まされている人も多いのではないか、と思う。 しかし、私はそこ…

四書「大学」と一般意志2.0

最近の若者は朱子学における四書五経など読まないのだろうが、四書の中でも「大学」は、たんに記述が短いだけでなく、儒教であり朱子学のエッセンスがつまっているという意味で、その中身を通覧しておくことは、これから社会に出ていく上で、多くのことを考…

エーリッヒ・フロム『自由からの逃走』

こういうと変に聞こえるかもしれないが、なぜ子供たちは勉強をするのだろうか。別に学校に行くことが変だと言っているわけではない。学校には友達がいるわけであるし、子供が学校に行くことは本能のようなものであろう。しかし、なぜ勉強をするのだろうか。…