2010-01-01から1年間の記事一覧

山崎養世『ジャパン・ショック』

日本はすでに「終わってる」。 こんなことを、つぶやく、知識人が近年、増えてきている。 お前(日本)はすでに死んでいる。 本当の財政危機は、現在すぐそこまで、忍び寄って来ています。3年後に消費税の税率を2倍に引き上げたとしても、税収は最大10兆…

ウルリッヒ・ベック『世界リスク社会論』

著者による講演集。 9・11、は、私も社会人で仕事をやってた最中で、仕事帰りに、家で、テレビをつけて、ニュースを見たのを覚えている。 テロ。 しかし、テロについては、日本はそれ以前に経験していた。 オウム真理教による、地下鉄サリン事件、である…

田村理『投票方法と個人主義』

それにしても思うのは、なぜ、民主主義国は、 秘密投票 を採用しているのだろうか。なぜ、このことの理由を明確に示す人がいないのだろうか。 二〇〇二年五月のフランス大統領選挙第二回投票の直前、論争が起こった。第一回投票で社会党のジョスパン候補をは…

河辺一郎『日本の外交は何を隠しているのか』

2006年初版の新書。 この前、MX テレビでやっていた映画「カジノ・ジャック」は、近年、アメリカで問題となった、ジャック・エイブラモフ、というロビイストが、オバマにチェンジするまでの、共和党政権内において、どういった存在であったのかを描いた…

浜田省吾「ある晴れた夏の日の午後」

浜省に「花火」という、奇妙な曲がある。というのは、歌詞が何を言いたいのかが分かりにくい、というところにある。 ただ、もう一つ理由があるように思える。浜省を聞くファンが、 何を期待して 聞いているのか、というところである。 彼は自分には、今なら…

冷泉彰彦「フェイスブック世代の光と闇」

村上龍さんがやってるメールサービスJMMの記事。 ソーシャル・ネットワーク先進国のアメリカにおける、フェースブックは、一種の、 ネット帝国 をすでに確立している。 全世界で加入者が公称5億人いるとか、30歳以下のアメリカ人の90%がアカウントを持…

川出良枝「自由とは何であって、何でないのか」

(自由や平等と、法には、どのような関係があるのだろうか。) 自由とはなんなのか。 こういったペダンティックな命題が哲学サークルでは、あいかわらず繰り返されている。彼らの言葉遊びナルシシズムはとどまるところを知らず、詩的文学表現に悦にいっては…

民主化の法則

人は本質的には他人に興味がないと、私がいうとき、私が頭にイメージしていたのは、 明治維新における、闇討ち(辻斬り) イラク戦争における、イラク人による自爆テロ この二つについて、であった。 こういった例は、私の命題が成立しないことを示している…

「月の女」礼賛

やっと最近、東さんの「一般意志 2.0」を読んだ。といっても、まだ連載途中のようだが。いろいろと書いてあるのだが、ここでは、その概説をしたいわけではない。ある記述が気になった、ということである。 ルソーはそもそも孤独を愛した思想家だった。彼は、…

松永昌三『福沢諭吉と中江兆民』

福沢諭吉と中江兆民を、ここのところ、よく読んでいる。例えば、稲葉さんは、福沢諭吉の『文明論之概略』と中江兆民の『三酔人経綸問答』の二冊を、近代日本の理解における無類の重要さを強調しているが、私も、まったく同感である( )。ところが、日本のあ…

子安宣邦『「近代の超克」とは何か』

歴史は結局のところ、 誰の視点 で見るのか、という点こそが最も重要なのではないか、そんな印象を、ここのところ持っている。結局のところ、なにか、普遍的、俯瞰的な立場というものがあって、そこから、大所高所で語る言説は、たとえその理屈に人々が、直…

山口義行「”中小企業の国際化”が日本経済を救う」

アメリカの「失われた10年」が始まったようだ。住宅販売が、まったく回復しない。まったく、昔の日本を思わせる事態になっている。ここ何年かの、日本の景気は、アメリカへの輸出でしのいでいた。アメリカの住宅バブルが、庶民のクレジットカード散財を促…

ビル・トッテン『アングロサクソン資本主義の正体』

ジジババにとっては、孫は、目の中に入れても痛くないそうで、甘えかわいがられるのだけはうまい、ガキどもに、あれ買ってこれ買ってとせがまれたら最後、のべつまくなし買い与えずにはいられない。 らしいよ。 もしこれが、「国家と国民」だったらどういう…

リアリズムの彼方

アニメ「ストパン」の愛すべきキャラを一人あげるなら、エーリカ・ハルトマン、しかいないだろう。 この、一見、目立たない存在は、このアニメに関心をもち見ている、オタク、たちにとっては、その存在は、明白である。 例えば、私たちは、テレビや、サブカ…

塩見直紀『半農半Xという生き方』

この本は、少し変な感じがした。 著者は、なぜ、自分が「半農半X」というキーワードを思い付いたのかについて、しつこいくらいに記述する。しかし、他方において、それが、具体的にどういうものを意味するのか、少なくとも、著者がどういう意味で、この言葉…

ETV特集「60年安保 市民たちの1か月」

おとといの、NHK教育でやってた、ETV特集 シリーズ 安保とその時代(3)「60年安保 市民たちの1か月」、は、私たちのような、60年安保を同時代で生きていない年代には、非常に分かりやすいまとめ方だったように思う。 私が特に、印象付けられたのは…

ホンダのカブ

今さらだが、ホンダのカブについて書こうと思う。 私たちが生まれてから、街を歩けば、当たり前のように走っていた、あの、 もっさい 形のバイクは、よく考えれば異様だった。だって、バイクとは、若者にとっては、嗜好品だったからだ。ナナハンなどといって…

斎藤貴男『消費税のカラクリ』

この本にも書いてあるが、斎藤貴男さんが、videonews.com で、宮台さんと、消費税でやりあったのは、いつの回であったか。宮台さんは、斎藤さんを格下に見てるのだろう、まるで、 できの悪い生徒 に諭(さと)すかのように、やたらと丁寧な口調で、消費税が…

きだが見た「ムラ」

前回、きだみのる、について紹介したのだが、彼は、村的な共同体、つまり、部落、を観察し、記述しながら(つまり、そこには、批判的な視点も当然存在する)、他方において、無理解にこういった村を全否定しようとする言説に対して、真っ向から反発する。 こ…

太田越知明『きだみのる』

きだみのる、といって、すぐに誰だ分かる人というのはどれだけいるのか。 といっても、私もほとんど知らないが(今回は、あくまで、その一側面の紹介であることを、ご了承を)。 掲題の本は、その、きだみのる、の伝記と言っていい。この方の経歴については…

トンデモ・コンサバ・ジャパン

なんだかよくわからないが、クール・ジャパン、なる用語が、ちまたを徘徊する。海外で、日本のカルチャーはクールだ、と。 それにひっかけて、日本を守りたい、面々。民主党政権になって、保守から革新に政権交代となり、圧力団体としての、支持政党が野に下…

湯浅さん書店

某本屋で、やってるわけだが、それに先立ち、ust で、佐高信さんとの対談が公開されている。 基本的に、私は、湯浅さんという方を知らないし、いい読者ではない。 wiki などを見て、日本思想史の学者になろうと、大学院で勉強されていた方ということで、少し…

マーク・ブキャナン『歴史は「べき乗則」で動く』

(掲題の本も、紀伊国屋新宿の福嶋さん書店で紹介されていたもの。) 湯浅さん書店を見て、一点だけ、違和感を感じたのは、まったく自然科学系の書物がなかったことだろうか。 例えば、少し前の日本では、ほとんどの人が百姓であった。みんな農民であった。…

浅野いにお『素晴らしい世界』

以前、ソラニンについて書いたことがあったが、こちらの作品は、より、作者の言いたいことが、直接描かれているように思える。 こういった、むしろ、有識者の人たちの間で、推薦されるこの漫画を、どのように読めばいいのか...。 各ストーリーは、アンソロジ…

いいよっっ

アニメ「ストライクウィッチーズ」の、テレビシリーズの第二部が、現在、放送中である。第二部ということは、第一部があったわけであるが、ある意味、そちらは話としては、完結していた。つまり、なぜ、この第二部が作られているのか、が問題ということであ…

大竹弘二『正戦と内戦』

カール・シュミットの、思想を紹介する、入門書としては、シュミットそのものの、多様な研究関心に対応して、それぞれに議論を行っているということでは、申し分ないのではないだろうか(往々にして、ナチ・コミットに議論が極論してしまう傾向がある中で)…

岩沢さんは言う、「さわるな」

(ガルデモのヴォーカルって、あんた誰? とか思ってネットをぐぐってたら、 なるほどね、と思いつつ、下記のような意味不明の文章を書いてしまってた...いつものことですが...。) 子供とは、なにものなのか。 アニメ「Angel Beats!」の第3話において、学…

フォークナー『八月の光』

久しぶりに、掲題の本を読んでみた。再読であるが、以前読んだのは、果して、いつだったのだろうか。忘れてしまった。まだ、社会人になっていなかっただろう。その頃の記憶もあまり残っていない。ただ、印象的だったことは間違いない。 (そもそも、フォーク…

トゥキュディデス『歴史』

また今年も、終戦記念日の8月になろうとしている。そして、8月は、お盆の時期でもある(ミシオちゃんの両親が「彼女の元に」帰ってくる時期だ)。なぜ、日本は8月に降伏したのだろう。もしかしたら、こんなお盆の先祖の意志がそこにはあったのかもしれな…

経済原論

経済とは、差異を突く運動である。その目的は、ひたすら、金銭の獲得にある。金銭を獲得するためには、借金も厭わない。つまり、見通しを間違えば、莫大な借金を負うことさえ、その末路の一つとして想定される、そういった運動である。 ここで、問題は、「主…