2015-01-01から1年間の記事一覧

三つの倫理

数学なんてものを、少々かじったことがある人には、倫理学における、功利主義とカントの義務論の「対立」のような議論は、ほとんどなにを言っているのか分からないような、衒学的な話に聞こえる。 というのは、どういうことかと言うと、ようするに、それぞれ…

<あなた>の倫理学

ときどき、倫理学というのはなんなのかな、ということを考えることがある。この場合、問われているのは <私>の倫理学 ではない、ということである。つまり、自分がなんなのかを語ることではない。そうではなく、「あなた」の倫理学について考えたい。つま…

野口晴哉『風邪の効用』

文系の人の話すことを聞いていると、とにかく、自分が「善」に対してナイーブであることをなんとしても否定しようとしているんじゃないのか、と思うことがある。つまり、 ワルぶっている というわけである。少し古い言葉を使うなら「つっぱる」でもいいが、…

韓国戦についての考察

昨日の野球で韓国に負けた試合は、2CHでずっとスレッドが立っていて、こういった展開だと、炎上するんだな、というのがよく分かる例であった。エースが試合を作って、ホルホルしていた連中が、最終回にああいった負け方をするというのは、エースを降ろし…

オリエンタリストへの「いらだち」

たまたま、サッカーの日本代表とカンボジア代表の試合を見ていたら、試合開始前に、この前のフランスでのテロについての、追悼セレモニーを行っていた。話を聞くと、どうも、予選の試合の他の会場でも行われていたそうで、ああ、こういうことなんだな、と思…

戦争のパラドックス

それほど、今回のフランスのパリのテロについて、情報を追っているわけではないが、結局、寿司屋が襲撃されたのかされなかったのかの話はどうなったのだろうか。ちょっと分からないのは、日本をテロのターゲットとしての、寿司屋の襲撃だったというなら、な…

中田考『イスラーム法とは何か?』

マイナンバーを、全国の市役所で配達させるって、簡易書留を全国の人に送るって、どんだけ、郵便局を儲けさせようとしているんですかね。そもそも、再配達をしないから、不在ってだけで、みんな市役所に帰ってくる。さて、いつになったら終わりますかねw そ…

一般意志の「終わり」

今回のパリでのテロにおいて、日本のインテリがショックを受けるのは当然であるように思われる。それは、言ってみるなら、 グローバリズム の中心が「攻撃」を受けた、ということを意味している。つまり、一般にグローバル企業と呼ばれる、一国家の中だけで…

エリート・パニック

今回のフランスのパリで起きたテロ事件について、ある種の「エリート・パニック」のような状況が起きていることは、非常に懸念される事態ではないかと思っている。 まず、そもそも、アメリカにしても、フランスにしても、明確にシリアへの空爆攻撃を両国の軍…

表象文化論批判としての「ハーモニー」

アニメ化映画「ハーモニー」を見て、あらためて、この作品について考えないといけないかな、といった印象を受けた。 この作品は、女子高生の 青春 の物語である。作品内においても、ゲーテの「若きウェルテルの悩み」がでてくるように、彼女たち三人は「青春…

今の日本に「ステマ」でない言論はあるのか?

そもそも、安倍首相のおじいちゃんにあたる、岸信介元首相が、アメリカのCIAのスパイであることは、周知の事実であるわけで、どう考えても。彼はA級戦犯であるのに、裁判で死刑にならなかったのは、アメリカと手打をして、アメリカのスパイになったから…

ひきこもりヒロイン

アニメ「終物語」は、まあ、原作通りの内容であったわけであるが、私はこの、老倉育(おいくらそだち)という「ひきこもり」を行っていた、いわば ひきこもりヒロイン という問題について考えてみたいわけである。 (しかし、その場合に、作者が主人公を「成…

牧野雅彦『精読 アレント『全体主義の起源』』

日本の民主党が、日本共産党との選挙協力に、なかなか踏み込めないのは、もちろん、民主党の中に、より自民党寄りの議員が多くいることが関係しているのであろうが、いずれにしろ、そういった保守系議員が、なんとしてでも、日本共産党とだけは一緒になりた…

山本正身『伊藤仁斎の思想世界』

人類の歴史をもしも、二つの拮抗した考えの「抗争」と考えるなら、それは エリート主義 vs 大衆社会論 だと思っている。私は基本的にこの二つの考え方が、この人類社会において覇を競ってきたと思っている。 エリート主義は言うまでもない。この社会を「支配…

柳実冬貴『対魔導学園35試験小隊2』

ときどき思うのだが、戦争が「終わる」とは、どういうことであろう? こんなことを言うと、頭がおかしいんじゃないか、と思われるかもしれない。戦争が終わるとは、文字通り、戦争が終わるということで、平和になるということでなんの不思議もないじゃないか…

日隅一雄『審議会革命』

安保法案がまだ衆議院を通過していないとき、videonews.com で、哲学者の萱野さんが、政府が砂川判決を根拠にして今回の安保法案が「合憲」であると言っていることが、基本的な高校生の国語レベルの最低限の読解力もなく主張していることに対して でも最終的…

自由ってなんだ?

シールズが叫ぶ「民主主義ってなんだ?」に対抗して、私はここで、「自由」について考えたい。 さて。自由ってなんだろう? 人Aが、人Bを、拘束しているとする。奴隷にしている、でもいい。この場合、人Aにとっては「人Bを拘束する自由(=奴隷にする自…

哲学=文学(=小説)

トマス・クーンの科学論を思い出してみても、彼の主張において、その科学者コミュニティが科学論文としての「決定」において、重要な役割をしていた。 科学者集団は、その「論文」が、その科学者集団によって「アクセプト」されたものとしての「印(しるし)…

TPP第三次世界大戦

それにしても、TPPであるが、これは成立するのだろうか? 私には普通に考えて成立しそうな印象がない。それは、アメリカの国内世論がかなり強行に反対している印象があるからだ。 ヒラリー・クリントンが早々に反対を表明していることを始めとして、よう…

ドローン国家=国民のいない<国家>

たとえば、社会学者のルーマンにしても、国家の近代化と、その「テクノロジー」は離して考えられないものであった。というのは、そもそも、国家というのはある矛盾を抱えているからである。 国家は非常に人口の単位が大きい組織である。人類の歴史を考えても…

著作権の非申告罪化

例えば、次のような未来を考えてみよう。 著作権の非申告罪化は、「この社会の悪」である、著作権違反を行う犯罪者をとりしまるために、当事者本人と 関係なく 人々が勝手に「犯罪者」を、社会の隅々から探し出してきて、あくまでもその「事実」に基いて、 …

福島第一はチェルノブイリの「何分の1」?

3・11以降、福島第一事故によって、多くの福島県民が「避難」を余儀なくされた。また、福島県産の農産物の検査によって、自由に農産物を全国に売れない、という事態にもなった。 この3・11を境にして、福島第一原発の事故処理の状況は、たんにこの原発…

安倍総理の正体

安保法制については、videonew.com の以下でも話されているように、参議院で可決される直前で、極小の野党の幾つかと協議を行い、付帯決議というものをつけて(つまり、その閣議決定)、それによって(与党言わく)「強行採決ではない」という形で法案は可決…

赤澤史朗『戦没者合祀と靖国神社』

私たち日本人は、この日本の土地に生まれ、死んでいく。その場合、問題は日本国家と各個人の関係だと言える。私たち日本人はこの日本に生まれると、とにかく、日本国家によって、日本に「所属」した日本人ということで管理される。しかし、問題はその後であ…

山崎雅弘『戦前回帰』

この前の、国連での安倍総理の口パク質疑応答について思ったのは、もはや日本のインテリジェンスたちは、安倍総理を人前でフリートークをさせてはならない、と考えているのではないか、と思ったわけである。 彼を好きに人前で話させてはならない。つまり、何…

湯之上隆『日本型モノづくりの敗北』

先週の videonews.com での掲題の著者の話は、現在日本で起きているバブル以降の景気の低迷。一言で言ってしまえば、 外需の低下 についての「理由」を非常によく説明していた、という印象がある。 なぜ、バブル以降の日本企業に「国際競争力」がなくなった…

加藤恵介「いくつかの区別について」

国連のユネスコの記憶遺産に中国が申請した南京大虐殺が採用されたことで、安倍政権は、戦前の松岡洋右を彷彿とさせる、国連脱退騒動でわいている(彼らにしてみれば、国連というより、ユネスコなのだろうが、まあ彼らの剣幕は、それくらいの勢いであること…

イランの若者

今週のサッカー日本代表の対イラン戦は、試合の内容はともかくとして、印象深く思われた。 それは、試合の内容において、日本が前半、まったく試合にならなかったことに対して言いたいわけではない。というのは、そういった光景ば、別に、W杯でも見れたこと…

丸山眞男「個人析出のさまざまなパターン」

60年代に政治学者の丸山によって書かれたこの論文を、なぜ、今になって再考する必要があるのかといえば、ここにおける分析がまさに、現代における「オタク」論を、ほとんど先取りしているから、と言うしかないであろう。 さて。「オタク」とは何者か? 例…

熟議民主主義を否定する「オタク」

私が考えていることは結構、単純で、ようするに、「集合知」の存在を認めろ、ということになるであろう。それは「集合知」の結果が正しいかどうかを聞いているのではなくて、こういったアプローチは事実上、さまざまに公共的に有効なのだから、まずはこの「…