2008-01-01から1年間の記事一覧

桜庭一樹『私の男』

ということで、ひとまず、この問題作を、読んでみた。 作品は、『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』の、海野藻屑、を主人公(、腐野花)、にしたような、そんな感じであろうか。もし、海野藻屑、が、その後も生き続けて、大人になったとしたら。 腐野花が結婚…

浜田省吾「恋は魔法さ」

鈴木祥子が、サブ・ボーカルで参加している曲。阪神淡路大震災、のチャリティーとして作った曲、ということだ。 しかし、地震を題材に、というより、神戸を舞台にした、恋愛の喜び、希望、をうたったものですね。 阪神淡路大震災、については、私は、直接、…

ロバート・カニーゲル『無限の天才』

アメリカに、黒人の血をもつ大統領が生まれたことは、実に、歴史的な事件となった。欧米の社会は、変わろうとしている。それは、一言で言えば、「文化的な混血」ではないだろうか。 なぜ、このことが重要か。例えば、ナチスにとって、民族優越主義、こそが、…

横田由美子『ヒラリーをさがせ!』

自らを、「政治記者ではない」と語る、著者は、この本で、何人かの、政治的組織票ももたずに政治家になった、女性にインタビューをする。 著者が、そういった女性にインタビューをしたことは、彼女に言わせれば、話を聞きたかった相手だから、ということらし…

桜庭一樹『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』

昨日の、今日で、さっそく読んだ。 これこそ、彼女の、初期の作品の中で、ターニングポイントとなったもの、ということらしい。 主人公の、山田なぎさ、は、田舎の、女子中学生。漁師だった父は、幼い頃、海で亡くなり、母子家庭。兄は、中学を卒業したとき…

桜庭一樹『推定少女』

直木賞作家の、初期の作品。以前、ファミ通文庫だったものの、角川文庫での再販。 主人公の「僕」、巣籠カナ、は受験をひかえた、中学生。ある日、学校の裏で、宇宙船が墜落した、という噂がとびかっているとき、部屋で、義理の父親を、弓矢でうち、二階から…

伊藤正敏『寺社勢力の中世』

日本で生まれ、ここまで生きてきて、仏教というものが、葬式や墓参りや家の中の仏壇を通じて、ずっと身の周りにあったことを、当たり前に思う感覚は、普通であろう。 しかし、よく考えてみれば、そのことは、多くの歴史的事実の、蓄積の上で、実現されている…

柄谷行人「『世界共和国へ』に関するノート(9)」

最近の、株価の下落は、ものすごい。末恐しくならないだろうか。 今、日本で、ほとんどの人が、この不況で大変なことになっているのではないか。 少し前は、まわりには、ネット・株取引をやってる人がけっこういたものだ。タバコを吸ってるときも、いつも、…

ETV特集「里山で子どもたちが輝く」

千葉、木更津市の、里山で、土曜学校、が行われているという。 こうやって、都会の子供たちが、自然の中で、山の中で、暮している姿は、今、都会で暮している、田舎の出身の若者たちに、希望を与えないだろうか。 別に、子育てのためだからといって、田舎に…

呉善花『生活者の日本統治時代』

まず、著者自身の親の体験から、話を始める。 鹿児島で箸製造工場をやっていた叔父たち一家(五人)と父たち一家(三人)は、三人家族の日本人の家に間借りをしていた。父母や叔父たちがいうには、その家族も近所の人たちもたいへん親切にしてくれたという。…

NHKにっぽんの現場「トキ 人里に帰る」

先月、佐渡島で、トキが放鳥された。 トキは、日本を象徴する鳥であり、東アジアを象徴する鳥。中国を含め、数の減少が激しく、世界的にも、絶滅危惧種ということなんだそうだ。 日本における、絶滅の流れは戦後、急激に進行した。そして、あまりにも少なく…

団交

最近、大坂の橋本知事と、地元の高校生が、橋本が計画している、私学助成金の28億円の削減の案について、直接、話し合いの場ももったことが、ニュースとなっていた。 橋本は、テレビタレント弁護士。もともと、右寄りの考えのようで、自民党にほめ殺しをさ…

小島毅『父が子に語る日本史』

日本は、日本「ではない」。 このことの意味、なんですね。 この地方は、いまからおよそ千年前、アテルイという名の王が治めていました。京都の政府つまり「日本国」への服属を拒み、もし律令体制以外の政治機構も「国」と読んでしまってかまわないならば、…

サブミッションポート

前にもここで書いたが、私は、このブログを、Sharp の PDA「zaurus」で書いている。 PDAのすばらしさは、フタを開いて、電源ボタンを押せばすぐ使えることだ(ザウルスはホットブートに5秒ほどかかるが)。この辺りは、ケータイと同じで、組込み系の…

宮台真司『教育をめぐる虚構と真実』

国は、この何十年ずっと、教育改革をやってる。総理大臣が変わるたびに、教育改革を叫んできた。でも、自民党が教育改革を常に党是としているのは、理解できる。徳育や、天皇教育をやりたいのだろう。 この本には、一カ所、興味深い個所がある。 彼(津田君…

チャットモンチー「サラバ青春」

学校のことを考えていたら、なんか、この曲は、いい曲だな、と思えてきた。 学校とは、不思議な所である。ほとんど、日本中のだれもが、ここと関わらずに、子供時代を過ぎた人はいないだろう。 冬ソナを見たときも、むしろ、強烈な印象として残っているのは…

「オンエアー」

今、テレ東で、朝、8時にやってるドラマ。韓国では、今年、放送されたんじゃないだろうか。 新人監督が、脚本家のソ・ヨンウン、女優のオ・スンア、女優の所属する事務所のチャン社長、彼らと、お互いの、プロ意識としての葛藤を経ながら、テレビドラマを作…

崔文衡『日露戦争の世界史』

いやあ、一気に読んだ。これほど、おもしろいとは思わなかった。 まず、そもそも、こういう「世界史」を読んだことがなかった、ということに尽きるんじゃないだろうか。 日露戦争といえば、日本史の1ページだったり、歴史小説でもいいけど、ようするに、日…

呉善花『漢字廃止で韓国に何が起きたか』

韓国が、漢字廃止、ハングル専用の、学校教育政策をとったのは、1968年からだそうだ。 ハングルとは、日本語でいえば、かな文字となるのだろうが、おおざっぱに言えば、表音文字。ハングルも、単純な音声言語と考えるには複雑である。しかし、その複雑さ…

三雲岳斗『少女ノイズ』

主人公は、とある子供の頃のトラウマから、殺人事件の現場写真をとることを趣味としている、男子大学生。塾講師のバイトをすることになるのだが、その仕事は、その塾に通う、斎宮瞑という、ある一人の女子高生の、監視役のようなものだという。彼女は、毎日…

NHKスペシャル「病の起源・第4集 読字障害」

読字障害というのは、普段の生活にはまったく問題ないのに、一つ、文字を読んだり、書いたりというのが、非常に苦手という人のことをいうそうだ。 そして、驚くべきことに、日本人の、20人に一人が、この患者だという。 細かいことは忘れたけど、脳の、「…

NHKスペシャル「月と地球 46億年の物語」

今、日本の、月探査機「かぐや」ってのが、月の調査をしているそうだ。 一つ、たいへん興味深いことを言っていた。 直径2、30センチのクレーターまで、画像ではっきり見えるんだそうで、それを数えると、ちょうど、地球上に生命が誕生した頃のクレーター…

崔文衡『閔妃は誰に殺されたのか』

閔妃(ミンヒ)について、高校の世界史をちょっとやった人は、注釈にこの名前があったことを知っているかもしれない。 王后が殺害されるや女待医が前に近寄りハンカチで亡き王后の顔を覆った。そして亡骸は林の中で火葬にして、燃え残った灰の一部は土に埋め…

円高

しかし、世界同時株安が、どんどん進んでますね。恐慌前夜なんですかね。完全に、世界は、信用崩壊してきている。 そういう緊急事態だと思うのに、なんか、普通なんですよね。まわりの雰囲気が。事態の深刻さを分かっていない。テレビもお気楽な番組ばかりで…

「フラガール」

さっき、テレビでやってたので見た。 いやあ、おもしろかったですね。 常磐ハワイアンセンター、がモデルだそうで。少し前まで、日本中、炭鉱があって、産業の中心だったわけですね。それが、石油中心の産業への変換を通して、様相が一変した。すべて、廃坑…

丸山眞男「忠誠と反逆」

1960年の論文であるが、これをどう読むべきなんでしょうかね。 下記文庫の解説にもあるように、丸山は、戦中の、日本の官僚(これは、ナチの官僚の評価と通じるのだが)へのほとんど否定に近い評価がある。では、それに変わるものとして彼がどんなことを…

軍人恩給

まあ、とりあえず、こういうことには、いろいろ調べてくれる人っているもので、ググったら、こんなサイトがすぐみつかった。 読むと、まあ、それなりの額ですね。なんの条件もなく、これだけもらえるなら、けっこうおいしい。 ちょっと気になるのが、総額が…

金融安定化法

アメリカのこの法律、通ったのはいいけど、まったく、株価の下落がおさまらない。 どうも、この法律を再可決するときに、いろいろ変なものがくっついて、通されたみたいですね。特に、選挙の激戦区での、消費税の減税ですね。これだけの緊急事態だというのに…

NHKスペシャル「病の起源第3集・腰痛」

今まで、人間の、腰痛の起源は、二足歩行にこそある、という言い方が一般にされてきた。 もちろん、それは、確か、なのだが、しかし、この言い方は、正しくもない、とこの特集は言う。 たとえば、あるアフリカの狩猟民では、腰痛になる人がいない。 マラソン…

野田正彰『戦争と罪責』

1998年の出版。昔、雑誌「世界」に連載されていたときに、少し読んだことがあった。あらためて、読んでみて、やはりおもしろい。 ここに紹介しなかった部分にも、非常に多くの重要な認識が書かれています。私は、この本のまま、この本の記述の順序まで踏…