2011-01-01から1年間の記事一覧

嫌悪し合う人々

近年、よく言われるのが嫌韓であるが、それ以上に、今、日本中を席巻しているのが、「嫌悪しあう人々」だろう。 それは、ネットを見ていれば、よく分かる。たとえば、ツイッターにおいて、彼らは、「自分」というアバターを登場させ、次々と、 今ここ で思っ…

東京の「中心」

東京の「中心」とはどこだろうか? つまり、東京の中で「ここ」だけは押さえていないと、まったく東京の雰囲気が分からない、今の東京で暮らす人たちの感情を、皮膚感覚で感じられない、といった場所は。 私は間違いなく、「電車の中」だと思う。 東京は、目…

神野直彦『「分かち合い」の経済学』

いつものように、videonews.com の紹介だが、近年、さかんに、大マスコミ様による増税論議がかまびすしい中、こういった利権まみれの、全然中立じゃない大マスコミという大本営連中の言うことを、へーこら、と聞いていたら大変なことになると、と。今、なに…

大澤真幸『不可能性の時代』

この前紹介した、リトルピープル論という本があったが、あの本も、基本的には、この大澤真幸さんの 戦後日本論 の延長で記述されていたように思う。 反現実とは何か? 見田宗介によれば、「現実」という語は、三つの反対語をもつ。「(現実と)理想」「(現…

鈴木貴博『「ワンピース世代」の反乱、「ガンダム世代」の憂鬱』

私はそもそも、ワンピースもガンダムもあまりいい「消費者」ではない。ガンダムも、まともに見たのは、初代ガンダムくらいで、それも、子供の頃だから、ちゃんと見ていたとは今では言えないくらいの記憶しかない。 ワンピースはさらにひどくて、昔は、間違い…

古川和男『原発安全革命』

私は基本的に、たいていのことは「構造化」できるという考えの方が、しっくりくることは確かだと思っている。 たとえば、インターネット上における、匿名と実名(顔出し)で言えば、この関係も一つの「構造」の問題だと考えている。 国家 ⊃ 実名(顔出し) …

小林正嗣『マルティン・ハイデガーの哲学と政治』

私は一般に哲学における、ニーチェ人気の歴史には、ある種の倒錯があると考えている。 ニーチェほど、二〇世紀の思想に広範な影響を残した十九世紀の思想家はいない。ファシズムに影響を与え、またハイデガーの徹底的な読解の対象となった。ニーチェは、実存…

ジョン・グレイ『自由主義論』

あれほど、ジャスミン革命について話していた論者が、アメリカのウォール街デモに言及、取材しないのは、なんなのだろう。きっとこれは彼らの考える、 ソーシャルネット の「悪い」使い方だからなのだろう。もちろん、こういった動きは日本にも波及するだろ…

普通のデモ=政治

私たちは、よく国会や官僚がやっていることが 政治 だと思っている。というか、思い込まされてきた。つまり、私たち以外にこの国にはこの国を、だれに頼まれるでもなく進んで、この国を良くしようとしてくれている人たちというものがいるらしく、彼らの日々…

非非日常の中の「非非友達」

私は日常という言葉に、いい印象を受けない。この言葉は、言うまでもなく、宮台さんが90年代にその「世紀末」を意識して、形式化された命題だったわけだが、その「終わりなき日常」の特徴は、言わば逆説的に定義されるものであった。 大塚英志がいみじくも…

非人間性の人間性

ここで、あらためて、 少女不十分 (講談社ノベルス)作者: 西尾維新,碧風羽出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/09/07メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 16人 クリック: 469回この商品を含むブログ (126件) を見る について考えてみたい。よく考えると…

西尾維新『少女不十分』

久しぶりに、西尾維新の小説を読んだのだが、うーん(まあ、これを読んだ、この人の読者はみんな同じように、考えこまされただろうが)。 この小説を書くのに、10年かかった、という言葉が何回か出てくるが、そういう意味では、彼の作品の一つの橋頭堡にな…

原発推進「逆ギレ」派

例えば、どういった時に人は 怒る のかを考えてみよう。あいかわらず、インターネットには「怒っている」人で、あふれかえっている。怒る、とは、どういった行為なのだろう。 もちろん、このように言ったときに、私は親が子供をしかることを問題にしているわ…

古市憲寿『絶望の国の幸福な若者たち』

よく考えることは、つまり、リバタリアンのことだ。彼らは、どういった社会を理想としているのか。例えば、日本の保守派には、英米的な自由主義、つまり、近年で言えば、ネオリベ的な新自由主義に親和的な人たちが、それなりの勢力を占めてきたような印象を…

私的「リア充」論

巷では、リア充なる言葉が、ろくな定義もされず、人それぞれの都合で使われている。一般には、アキバ事件を起こした、加藤だったかなんだっかが、ネットの掲示板に、いろいろ書きこんだそのルサンチマンが、いかにもリア充を dis ってると認識されたようで、…

仲正昌樹『いまこそハイエクに学べ』

ハイエクといえば、保守派の御本尊のような扱いで、ミルトン・フリードマンのネタ元みたいなイメージだが、実際のハイエクが何を言っていたのかを、彼の全集「全体」から見えてくるような、その主張の全貌をあぶりだしていくのが、掲題の本であるようだ。 た…

第二のクーデター

日本で原発推進の維持を、「くわだてる」連中がしきりに話をそらす重要な事実が、昨日、今日と長谷川幸洋さんによって報じられている。まさに、 第二のクーデター と言っていいだろう。管総理がなぜ、やめろやめろの大合唱になったのかと同じように、鉢呂経…

トーマス・フリードマン『フラット化する世界』

なぜ、戦後の日本は先進国になれたのか。それは、戦後すぐから始まる冷戦体制による、偶然だったのだろうか。日本の戦後の復興とは、アメリカへの工業製品輸出によるものだったと言えるだろうか。その場合には、なにが成功の鍵を握るだろう。 日本からアメリ…

ゴードン・ベル『ライフログのすすめ』

ライフログという考えについて、真剣に考えたことがある人はどれくらいいるだろうか。 人間には感覚といわれる器官がある。視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚。もちろん、人間の体内においては、そういったものとは一見無関係に、言わば、自律的に活動している器…

仁平典宏『「ボランティア」の誕生と終焉』

あいかわらず、日本の言論は 偽善 を告発するものに満ちている。どうも、学歴が高ければ高いほど、他人の「偽善」を告発することで、なにか「知的」なことを言った気分になれるようだ。 佐伯はかつて、かつてべ平連に対して感じた「気分」として次のように述…

「ばらばら」という言葉

楽しみにしていた「思想地図」の最新刊は、前回とは、まったく趣を異にした、まさに、緊急増刊号という体裁になっていて、内容も、まさに、ここ半年の、ほとんど感覚としては、ずっと続いていたように思える、 余震 の揺れのように、絶えず、この身を振るわ…

万世一系?

私は、そもそも、(天皇制の話でよく言われる)「万世一系」というのが、よく分からなかった。ようするに、あんたがいれば、あんたの親(この場合、父親)がいるよね、って話らしい。だから、一系、だと。 つまり、それって、普通の人間じゃん、と思うのだが…

マッケンジー・ワーク『ハッカー宣言』

私には、311以降に、いわゆる世間で「経済学」なるものを自らのバックボーンにしている人たちが、「さらした」醜態は、一体なんだったのかな、という気持ちが強い。 彼らは、さまざまな屁理屈を並べた後、結局のところ今は原発を動かすことが「経済合理的…

構造主義的ジャーナリズム論

ネットではないマスコミで、原発問題が、安全厨と危険厨に完全に国民を二分した、あの311以降のネットの状況について分析したものを、寡聞にして私は知らない。 つまり、ああいった完全に「党派」が分かれてしまうというのは、これだけソーシャルネットが…

福島の子供たちによる「子供宣言」

原発問題がやっかいなのは、その放射能という現象が、日本の戦後の出発点において、重要な意味をもってしまったがために、どこかダブー視されているところにあることではないだろうか。 放射能に対する態度は、広島長崎の原爆反対運動や平和運動とも関係し、…

福島の子供たちについて

今の日本で最も大きな問題は、間違いなく、福島の子供たちではないだろうか。 しかし、それは「どういう意味で」問題なのか。 非常に残念なのは、そもそもこういったときに、子供の教育政策は、どういったものであるべきなのか、という方向で語る論者が見当…

経産省「実質」解体論

福島原発の事故からの、一連のこの国の議論の流れは、ある意味「想定された」 つまらなさ に結果しているように思える。政治において、減原発に正面きって反対する人はいない。もちろん、心の中では歯軋りしている人は、星の数ほどいるのだろうが、だからと…

椎名林檎「林檎の唄」

罪という言葉は日本人には馴染みがない。 もちろん、古事記にも日本書紀にも、こんな言葉はないのだろう。普通に考えるなら、罪は聖書の創世記のアダムとイブの話を思い出すであろう。 おそらく、ニュートンの万有引力の話も、こういった聖書を意識していた…

吉永裕ノ介『ブレイクブレイド』

すでにコミックにして、10巻まできている作品だが、その第10巻は一つの区切りとなっているだろう。 この世界においては(クルゾン大陸)、地中から化石燃料が採れない。そのかわりに、ここにおける人間には、生まれつき「石英」という鉱物を通して魔力が…

お年寄りのIT化、ユビキタスのクラウド化、個人の多層化

近年もよく言われることが、インターネット利用者の分布が明らかに、貧富の差を反映している、ということだろう。 明らかに、貧乏な家庭では、インターネットをやっていない。今まで通り、テレビと新聞の 世界 を生きている。この状態をほっておいて、今の、…